「試用期間」というものは会社とどういう契約になるの?何に注意すればいいの?

0

就職活動の結果、晴れて入社。

会社に正式採用される前に「試用期間」というものがあります。

新入社員にとって試用期間はちょっと不安定な立場かもしれません。

一方、新しい会社で働いていけるかどうか、新入社員も会社も互いに見極めている時期ともいえます。

今回は、新入社員のための試用期間の注意ポイントについて社労士の前川先生にお伺いしました。

0a4c9820dffaec1af314816692bc4f17_s
ー試用期間と通常の雇用期間はどう違うのでしょうか。また、新入社員のどんなことを見られているのでしょうか。

試用期間とは、新入社員が会社の従業員として適格性があるかどうかを見極める、会社が任意に設けた「試用」あるいは「見習い」期間です。

その結果によって、本採用の可否や配属先などが決定されます。

いわゆるテスト期間であるため、身分保障は比較的不安定なものになると言えます。

法律的な面から見れば、試用期間は使用者の解約権が留保された労働契約であると言われます。

簡単に言えば、会社が解雇(解約権の行使)を幾分かしやすい期間、ということです。

このため、会社はより厳しく試用期間中の新入社員の働きぶりを見ることになります。

では、適格性を判断する上で、どのようなことが会社から見られているのでしょうか。

・欠勤・遅刻・・・割合が高いと、今後の労務の提供が充分にされないとみなされる。なお、無断欠勤はもってのほか。

・必要な書類の提出・・・提出期限を守れないと、従業員として、また社会人としての約束ごとやルールを守れない人とみなされる。

・虚偽・・・履歴書や報告に嘘がある場合、社内外の信頼関係の構築に支障があるとみなされる。

・注意力・・・ミスを繰り返し改善されない場合、業務処理能力等に問題があるとみなされる。特に注意力や正確性を必要とする業務につく場合は厳しく判断される。

・言動・・・言葉づかいや態度が反抗的である場合やうまくコミュニケーションできない場合、社内秩序に悪影響を与え、周囲とうまく協力できない人とみなされる。

私生活上では、飲酒運転や犯罪行為を起こさないのは当然として、最近はFacebookなどのSNSへの、会社に関する書き込みが問題となることも増えていますので、注意が必要です。

様々な観点がありますが、最も会社が重視することのひとつは、協調性や素直さです。

会社は、最初から新入社員に高い能力を期待していません。

素直さやひたむきさは「のびしろ」と捉えられ、多少今が荒くても、長い目で見て成長が期待できると考えます。

上司や先輩の指示にはしっかり従いましょう。

ー試用期間中に体調不良で会社を休んでしまった。有給は貰えますか。
結論からいうと、貰える場合があります。

法律上は、「雇入日から起算して6ヶ月継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して」、初めて有給休暇が付与されるとされています。

しかし、会社によっては、就業規則において、入社日をもって8割の出勤率を満たしたとして、新入社員にも一定の日数の有給休暇を付与するところもあります。

従って、就業規則を確認し、試用期間中であっても有給休暇が付与されているかを確認しましょう。

なお、有給休暇を申請できるのは事前ですから、欠勤等した後に有給休暇に振り替えるということは原則としてできません。

ただ、会社によっては、そのような場合でも事後振替を認めるところもあります。

以上のことから、就業規則上に

①有給休暇の権利はいつから発生しているか
②欠勤等した場合、有給休暇の事後振替に関する規定はあるか

を確認することになります。

大事なことは、体調不良であっても、欠勤する場合には直ちに会社に連絡し、有給休暇を取得する旨を伝え、定められた手続きに則って有給休暇の申請をするということでしょう。

b916da54d50076ba39d6f646f5206f71_s

ー試用期間中に退職したいと思ったとき、どうすればいいでしょうか。

せっかく大変な就職活動を乗り越えて入社したものの、残念ながら縁がなかったということはあるでしょう。

なんとなく社風が合わない、聞いていた労働条件と違う、仕事内容についていけないということ等は、実際に働いてみないとわからないことです。

試用期間は、双方を見極める、いわばテスト期間です。

仕事のいろはを覚え始めた時点で、仕事の楽しさやおもしろさがわからないのは当然です。

どんな仕事でも、習熟には時間が必要です。覚えることも多く、困難さを感じることでしょう。

しかし、納得しがたい違和感を感じたり、この先本採用されてもやっていける見通しが立たないということであれば、早めに方向転換を図るのもひとつです。

法律上は、試用期間中にかかわらず、労働者からの退職は2週間前に予告をすれば解約できるとされています。

退職について悩んだら、まずは上司に相談してみましょう。

退職の意思が固まっている場合には、上司に自己都合で退職したい旨を口頭で伝え、退職願を提出するようにしましょう。

退職の時期については会社によってルールがあるので、確認が必要となります。

また、最近ではメールやline等で退職の意思表示をし、いきなり来なくなる方もいますが、社会人としての資質を疑われます。

まずは、直接、口頭で上司に伝えるようにしてください。

長い人生、どこで誰と誰がつながっているかわかりません。

同じ業界に転職する可能性が高いとすればなおさら、しこりを残すような辞め方は、自分の評価を下げることになるでしょう。

特定社会保険労務士 前川美樹 プロフィール

石川県金沢市生まれ
約10年間医療現場や福祉現場での勤務を経て、新八重洲法律事務所に入所。
2011年、社会保険労務士登録、同事務所内で前川社会保険労務士事務所を開設。
人事労務に関する相談業務、人事制度設計のコンサルタント業務、社会・労働保険の手続業務を主に行い、弁護士との連携によるワンストップサービスを心がけ、日々の業務にあたっている。
経営法曹会議賛助会員 医療労務コンサルタント研修修了
Share.

About Author

Leave A Reply