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弁理士 短答式筆記試験 徹底解剖!!

弁理士試験の第1の関門と言える短答式試験。近年では合格率は1割程度にとどまっており、大量に落ちてしまう難関試験となっています。試験の本丸と言える論文式試験に辿り着く前の強敵である短答式試験についてお話ししたいと思います。

 

弁理士 短答式筆記試験 徹底解剖!!|弁理士試験|資格スクエア

【目次】

短答式筆記試験概要

短答式筆記試験の難易度が高いと言える3つの理由

  1. ①選択肢が細かい
  2. ②文章が長い
  3. ③科目の幅が広い

 

短答式 試験データ

  1. 短答式筆記試験の合格率
  2. 合格基準点

 

短答式 過去問

短答式の解き方

終わりに

 

オリンピックでメダルを取るために、まず最初に必要なものは何でしょうか?

それは、オリンピックへの出場権です。もちろんのことながらオリンピックでメダルを取るためにはそもそもオリンピックに出るための予選で勝ち抜かなければなりません。

すなわち、オリンピックの予選は第1の関門であると言えます。メダルが期待されていた選手が国内の予選で敗退してしまったなんて話はよく聞くものです。

これは、何もスポーツの大会に限ったことではありません。

資格試験においてもその資格を得るために複数の試験をすべて合格しなければならない、最初の試験に受からなければそれ以降の試験を受ける権利すらないという場合がほとんどです。

弁理士試験はその最たる例です。

弁理士試験の第1の関門と言える短答式筆記試験は、近年の合格率は1割程度にとどまっており、10人に9人は不合格で大量に落ちてしまう難関試験となっています。

試験の本丸と言える論文式筆記試験に辿り着く前に、この短答式筆記試験の難易度にひるんでしまう人も多いところです。

そこで、今回は短答式筆記試験についてお話ししたいと思います。

 

 

※論文式筆記試験・口述試験について気になった方は以下の記事をご参考ください。

   ▼参考記事:
   資格スクエア-『弁理士 論文式筆記試験 徹底解剖!!』
   資格スクエア-『弁理士 口述試験 徹底解剖!!』

 

短答式筆記試験概要

試験日時 5月中旬~下旬

短答式筆記試験は5月中旬~下旬に行われます。(平成29年度は5月21日

短答式筆記試験を含め弁理士試験は1年に1回のみ行われることや短答式合格後から論文式筆記試験まで時間がそこまでないことも考慮すると、1年単位での勉強計画が重要になってきます。

※参考:平成29年度弁理士試験における論文式筆記試験前後の日程
・短答 合格発表日   - 6月12日
・論文(必須科目)試験日- 7月2日
・論文(選択科目)試験日- 7月23日

試験会場 東京・大阪・仙台・名古屋・福岡

短答式筆記試験は、東京・大阪・仙台・名古屋・福岡の全国主要都市5か所で行われます。

論文式筆記試験や口述試験に比べれば、地方在住の方に優しいですが、それでも遠い方や前泊が必要になる方はいらっしゃると思います。

会場や前泊の場所、会場までの行き方をしっかり確認しておくことは重要です。

試験科目
 及び 
 出題数
-特許・実用新案に関する法令 20題
-意匠に関する法令 10題
-商標に関する法令 10題
(上記3つの出題範囲には、工業所有権に関する条約に関する規定が含まれており、工業所有権法令の範囲内で条約の解釈・判断を考査する)
-工業所有権に関する条約 10題
-著作権法及び不正競争防止法 10題
計 60題

短答式筆記試験では、四法と呼ばれる特許法実用新案法意匠法商標法、下三法と呼ばれる条約著作権法不正競争防止法の全科目について万遍なく出題されます。

中でも、特許法に関しては出題が多くなっているため、まずは特許を押さえることが弁理士試験の勉強の第一歩となります。

特許法は、他の法律にも応用が利き他の科目を勉強する際の汎用性も高いため、まず特許法からやることが最も効率がよいと考えられます。

出題形式 5肢択一、マークシート方式

短答式筆記試験の問題形式はマークシートによる5択問題の選択式です。

文章で回答しなければならない論文式に比べたら楽そうに思う方もいるかもしれませんが、出題範囲が広く、内容もかなり細かいため難易度は相当高いのです。

試験時間 3.5時間

短答式筆記試験の試験時間は3.5時間とかなりの長丁場であることが分かります。

知識を入れることはもちろん、長時間持続可能な集中力や最後まで考え抜く精神力も必要になってきます。

免除制度 ・短答式筆記試験合格者
  ➡短答式筆記試験の合格発表日から2年間、すべての試験科目が免除
・工業所有権に関する科目の単位を修得し大学院を修了した方(平成20年1月以降に進学した方)
  ➡大学院の課程修了日から2年間、工業所有権に関する法令・条約の試験科目が免除
・特許庁において審判又は審査の事務に5年以上従事した方
  ➡工業所有権に関する法令・条約の試験科目が免除

上記のように、免除制度があります。

特出すべきなのは、短答式筆記試験に合格すると次の2年間免除となることです。

つまり、仮にその年に短答式筆記試験には受かったが論文式筆記試験に落ちてしまったという場合であっても、翌年は論文式筆記試験から受けることができるのです。

これは、次の1年を論文式筆記試験の勉強に注力できるため非常に重要な制度であると言えます。

実際、前年以降に短答に合格しているケースは非常に多い(平成29年度では合格者の63.9%が短答免除者)です。

勉強の始める時期的に論文までは手が回らなそうな人や普段の勉強時間に限りがあって短答・論文の両方を負うのは難しい人は、まずは短答にだけ注力し、免除制度を利用して翌年ないし2年後に論文式・口述を受かるというのも戦略の1つかもしれません。

短答式筆記試験の難易度が高いと言える3つの理由

以上より、短答式筆記試験はかなり難易度が高く合格するのも大変な試験であると言えます。

短答式筆記試験の難易度が高いと言える理由は3つあります。

①選択肢が細かい

基本的な知識が問われやすい論文式に比べて、短答式ではより細かい部分や例外を問われることが多いです。

例えば、「次の~のうち、正しいものは、いくつあるか」といった問題が多く出ますので、全ての選択肢それぞれについて吟味しなくてはならず、かなり正確に細かい知識を押さえておかないと正解に辿り着くことはできなくなっています。

②文章が長い

問題文はもちろんのこと、1つ1つの選択肢の文章が極めて長く分かりにくくなっているため、1つ1つの選択肢について正誤を見極めるのが難しく設定されており、結果として短答式試験を難しくしています。

一見すると3.5時間も試験時間があり余裕そうに思えますが、試験は全60問で各問題が問題文と5つの選択肢で構成されており、すべての問題文と選択肢を吟味する必要があることを考えるとおよそ360の文章(問題文と選択肢)を1つあたり35秒のペースで読み進めていかなければなりません。

ものによっては10行に及ぶ文章もあるため、早く文章を読んで情報を取り入れ、整理する必要があります。

また、見直しの時間や集中力を100%の状態で3.5時間ずっと続けるのは難しいことも考慮すれば、問題文や選択肢の文章が長いことがどれだけ厄介になってくるかがわかります。

③科目の幅が広い

上記の表にもあるように、弁理士試験には7科目(特許法・実用新案法・意匠法・商標法・著作権法・不正競争防止法・条約)から構成されており、それらの全範囲から出題されます。

各科目において多少の重みづけは異なれど、すべての科目から出題がなされることは確実です。

したがって、勉強に割く時間をうまく変えつつ全科目について勉強をしなければならず、それによって短答式の難易度が増すことになるのです。

 

短答式 試験データ

上記の説明で、短答式筆記試験がどのようなものか、わかっていただけたと思います。

同時に、短答式筆記試験が難しいと言われる理由にも言及しました。

そこで、次は実際に短答式筆記試験がどれくらい難しいものなのかや合格基準を過去の弁理士試験のデータを見ながら考えていきたいと思います。

短答式筆記試験の合格率

短答式筆記試験 合格率の推移

上記のグラフは、短答式筆記試験の合格率の推移を表しています。

短答式筆記試験の合格率は平均20%前後ですが、ここ5年で見ると平均11.9%となっておりかなり難しいことが分かります。

特に近年は10%前後と難化傾向にあります。

また、合格率の標準偏差を出すと8.4%になります。

すなわち、年によって合格率が大きく変化し、合格率にはバラツキがあることもわかります。

 

※弁理士試験全体の試験データについて気になった方は以下の記事をご参考ください。

   ▼参考記事:
   過去の弁理士試験データ
   ・受験者数
   ・合格者数
   ・合格率

 

合格基準点

合格基準 総合得点の満点に対して65%の得点を基準として、論文式筆記試験及び口述試験を適正に行う視点から工業所有権審議会が相当と認めた得点以上であること。
ただし、科目別の合格基準を下回る科目が一つもないこと。
なお、科目別合格基準は各科目の満点の40%を原則とする。

総合得点の65%が合格基準、また各科目において満点の40%を科目別合格基準と定めています。

 
H25
H26
H27
H28
H29
合格点
  (60点)
39点
39点
39点
39点
39点
特許・実用新案
  (20点)
-
-
-
8点
8点
意匠
  (10点)
-
-
-
4点
4点
商標
  (10点)
-
-
-
4点
4点
条約
  (10点)
-
-
-
4点
4点
著作権
不正競争防止法
  (10点)
-
-
-
4点
4点

※科目別合格基準点は平成28年度弁理士試験より導入されたため、それ以前のデータは存在しない
※( )内数値は科目別満点の点数

実際過去の合格基準点のデータを見ても、全体60問のうち65%にあたる39点が合格点、満点の40%にあたる8点ないし4点が科目別合格基準点となっています。

各科目で合格基準が設けられていることにより、どの科目も万遍なく勉強をし一定水準の得点を取らなければなりません。

したがって、苦手科目を作らないことも合格するためには重要かもしれません。

 

短答式 過去問

短答式筆記試験概要 のところで問題形式はマークシートによる5肢択一であることはお伝えしました。

ここでは、過去問を通してもう少し短答式筆記試験について深掘りしていきたいと思います。

 

実際に過去問を見てみると、問題パターンが見えてきます。

出題パターンは6つです。

適切なものを選ばせる問題
 例)・「次のうち、正しいものは、どれか」
       ・「次のうち、最も適切なものは、どれか」

不適切なものを選ばせる問題
 例)・「次のうち、正しいものは、どれか」
       ・「次のうち、最も不適切なものは、どれか」

正しいものの数を選ばせる問題
 例)・「次のうち、正しいものは、いくつあるか」

不適切なものの数を選ばせる問題
 例)・「次のうち、誤っているものは、いくつあるか」

正解の組み合わせを選ばせる問題
 例)・「次のうち、正しいものの組み合わせは、どれか」
       ・「次のうち、あやまっているものの組み合わせは、どれか」

文章空欄補充問題
 例)・「空欄番号と語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか」

①・②の問題では正解の選択肢さえわかればよいですが、③・④・⑤の問題では、すべての選択肢を吟味しなければなりません。

したがって、広いかつ深い知識が求められるのです。

ちなみに、①~⑥がそれぞれどれくらいの頻度で出るのかを平成29年度の短答式筆記試験で調べてみた結果が以下の通りです。

①系:25問
②系:13問
③系:12問
④系:5問
⑤系:4問
⑥系:1問

3問に1問は、すべての選択肢を吟味しないと正解に辿り着けない問題が出されることが分かります。

 

弁理士試験過去問(問題及び解答)は特許庁のWebサイトから手に入れることができますので、過去問の内容を見てみたい方はぜひご確認してみてください(参照:特許庁-過去の弁理士試験問題)。

 

短答式の解き方

これまでの説明で、短答式筆記試験がどういうものか、どれくらい難しくてどんなところが難しいのか理解していただけたと思います。

 

ここでは、具体的にどのように短答式筆記試験の問題を解いていけばよいのか、についてお話ししたいと思います。

ポイントは1つ、全部の選択肢を判断することです。

短答式筆記試験では、かなりの割合で全ての選択肢を吟味しないと正解を導き出せないとお話ししました。

したがって、全ての選択肢においてなぜその選択肢は正しいのか/誤っているのかについての理由を説明できなければなりません。

逆に言えば、普段から正しい選択肢を選び、誤っている選択肢を排除する理由を意識しておけば、短答式筆記試験は解きやすいものとなっていくのです。

ここでは、受験生も苦手としている「期間」に関する過去問を例に解いてみたいと思います。

【平成18年度 第5問】
特許法又は実用新案法に規定する期間に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。
ただし、特許出願は、外国語書面出願でも国際出願に係るものでも実用新案登録に基づく特許出願でも、分割又は変更に係るものでもなく、特に文中に示した場合を除き、いかなる優先権の主張も伴わないものとする。
 
(イ) 特許庁長官は、遠隔の地にある特許出願人から、拒絶査定不服審判を請求することができる期間の経過後に当該期間の延長の請求がなされた場合、特許法の規定によっては当該期間を延長することができない。
(ロ) 特許庁長官は、遠隔又は交通不便の地にない特許出願人から、特許法第108条第1項に規定する第1年から第3年までの各年分の特許料の納付すべき期間の経過前に当該期間の延長の請求がなされた場合、特許法の規定によっては当該期間を延長することができない。
(ハ) パリ条約の規定による優先権の主張を伴う特許出願の出願審査の請求は、当該特許出願の日から3年以内にすることができる。
(ニ) 審査官が、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えた場合、特許庁長官は、特許法の規定により職権でその期間を延長することができる。
(ホ) 特許出願人は、当該特許出願の日から9年6月を経過するまでは、いつでもその特許出願を実用新案登録出願に変更することができる。
 
1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 5つ

  ▼解答・解説はこちら  

正解 2
 
(イ) 〇
 法定期間経過後は、その手続期間は満了し、手続をすることができなくなっている。このため、期間延長の請求は、その期間が経過する前にしなければならない(青本「特4条」参照)。よって、正しい。
 なお、指定期間については、省令で定めるものについては、その期間が経過した後であっても、省令で定める期間内に限り、延長を請求することができる(特5条③)。

(ロ) ✕
 特許料の納付期間が延長されるケースには、特4条と、特108条③とがある。このうち、特108条③については、特4条と異なり、「遠隔又は交通不便の地にある者のため」との限定はなく、これに該当しない者であっても、延長請求をすることができる(特108条③)。よって、誤り。

(ハ) 〇 (類題:H22-1(イ))
 優先権の主張を伴う特許出願であっても、出願日は遡及せず(パリ4条B)、我が国への現実の出願日が出願日となる。従って、出願審査の請求も、我が国への出願の日から3年以内にすることができる。よって、正しい。

(ニ) ✕
 指定期間を延長する権限は、当該期間を指定した行政官にある。従って、審査官が指定した期間を、特許庁長官が延長することはない(特5条①)。よって、誤り。

(ホ) ✕
 特許出願の実用新案登録出願への変更は、「拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があった日から3月を経過した後又は特許出願の日から9年6月を経過した後」はできない(実10条①但書)。従って、いずれかの期間が経過した後は、変更することができず、特許出願の日から9年6月経過前であっても、最初の拒絶査定謄本の送達日から30日を経過していれば、変更することができない。よって、誤り。

 
以上より、正しい選択肢は、(イ)(ハ)の2つであるから、正解は「2」となる。

 

このように、各選択肢についてどういう理由・根拠で正しいのか/誤っているのかを判断することが重要です。

なお、資格スクエアの短答対策ゼミは、上記のような資料や演習・解き方を基本とした講座となっております。

ぜひ、資格スクエアの弁理士講座もチェックしていただきたいと思います(参照:資格スクエア-短答対策ゼミ)。

終わりに

今回は、弁理士試験の中で短答式筆記試験についてお伝えしてきました。

5つの選択肢から正解を選ぶというシンプルな形式でありながら内容は広く深いためかなり難易度が高いことが分かっていただけたと思います。

逆に言えば、短答式筆記試験において正確な知識を身につけておくことで、その次の論文式筆記試験に役立つのです。

さらには、最後の壁である口述試験でも法令の知識が問われますので、短答式筆記試験で正確な知識を身につけておくことは一石二鳥どころか一石三鳥であるということができるのです。

問題演習を繰り返しながら広く深い知識を身につけていき、ぜひ”第1の関門”である短答式筆記試験を乗り越えていってほしいと思います。

 

資格スクエアの弁理士講座