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商法

行政書士試験に出題される商法は、特に商法総則の商人・商行為の概念や、商法と民法の違いを押さえておくことが必要です。

行政書士試験における商法・会社法は、例年択一式で40問中5問の出題がされています。
この科目は条文や判例からの出題が多く、重要なものは暗記しておくべきでしょう。
基本的にはひねくれた問題はあまり出ないため、基礎をしっかり習得し、落ち着いて取り組むことが必要です。

商法では、商法総論の出題傾向が高く、また商業の主体となり得る商人についての認識も重要項目といえます。
そもそも商法は、民法の特別法として扱われており、迅速な処理や取引の安全が要求される商取引には適さない民法と異なる規定をしている部分も少なくありません。
また、商人に関する規定も会社法とよく似ている部分があるため、他の法と混ざらないよう注意しましょう。
 

商法総論

商法は、商人および商取引に関する法律です。
私人同士で行う取引では民法の規定で足りますが、営利を目的とし、多数の相手と反復継続的なやりとりを大量に行う商取引では、迅速性と安全性がより求められるため特別なルールの商法が用意されているのです。
また、商取引は業界ごとに特有の慣習があるため、一種の慣習法(条文規定は無いが、「今までずっとこうされてきたのだから今回もこうするべきだろう」という考え方によって決める)の体を成しています。
ですから商法の1条2項では、商事に関して問題が発生したら、まず商法の適用を検討し、商法に規定がなければ商慣習法の適用を検討し、さらにそれも無ければ民法を適用すると規定しているのです。

民法と商法の大きな違いは、

・代理
 民法:原則顕名が必要、本人が死亡すると代理権も消滅
商法:顕名がなくても有効、本人の死亡による代理権消滅はない
・委任
 民法:特約が無い限り無償、受任者に善管注意義務がある
 商法:当然に有償(報酬制)、受任者は委任の本旨に反しない限りであれば委任を受けない行為も出来る
・諾否通知義務
 民法:申込みに対する拒否を自由に出来る
 商法:平常取引関係にある人(レストランと、そこにいつも野菜を卸している業者などの関係)に対しては、遅滞なく諾否の通知をしなければ承諾とみなす
・送付品の保管
 民法:一方的に送付された物なら保管義務はない
 商法:商人は申込みと共に受け取った物に保管義務を負う(申込者の費用によって)
・多数債務者間の債務
 民法:各自平等の割合で債務を負担、保証人は補充性・分別の利益を有する、連帯保証は特約
 商法:少なくとも1人について商行為ならば連帯債務、主債務が商行為から生じた場合、もしくは保証が商行為である場合は当然に連帯保証
・流質契約
 民法:原則禁止
 商法:権利者にとっての商行為によって生じた債務の担保のための質権なら可能
・金銭消費貸借
 民法:特約が無い限り原則として無利息
 商法:商人間なら特約がなくても法定利息の請求可能(しなくてもよい)
・法定利率
 民法:年5分(5%)
 商法:年6分(6%)
・消滅時効
 民法:通常の債権なら10年
 商法:商事債権は5年
・留置権
 民法:留置物は債務者の所有物に限らない、留置物と被担保債権の牽連性が必要
 商法:留置物となるのは債務者所有の物・有価証券に限る、留置物と被担保債権の牽連性は不要

というものがあります。

 

商人

商業を行う主体は「商人」です。
「人」とはいうものの、会社法5条によって「会社も当然に商人である」とされています。
商人と定義されるのは、自己の名で商行為をなすことを業とする「固有の商人」、店舗などの施設で物を売ることを業とする、または鉱業を営む「擬制商人」、資本金50万円未満の個人商人の「小商人」です。

商行為にあたるのは、性質上当然に商行為とされる「絶対的商行為」、営業を目的として反復継続して行うと商行為になる「営業的商行為」、商人が営業のためにすることではじめて商行為になる「附属的商行為」です。
絶対的商行為を分類してみましょう。
物を安く仕入れ、より高く売る小売・卸売・製造加工業などは「投機購買とその実行行為」とされます。
原始取得にあたる農産物・海産物・鉱物の譲渡行為はこれに含まれません。
その反対に、物を高く売る契約を先にしておいて、後から安く仕入れる先物取引・予約販売業は「投機売却とその実行行為」にあたります。
他に、証券会社等が商品取引所や証券取引所で行う「取引所においてする取引」、手形や株券などの有価証券の発行・裏書・引き受けをする「手形その他の商業証券に関する行為」があります。
営業的商行為は、営業が目的、かつ反復継続することで商行為とみなされます。
貸ビル業やリース・レンタル業などは「投機貸借とその実行行為」にあたり、この目的物は動産と不動産に限られます。
洋服の仕立業やクリーニングは「他人のための製造加工業」で、その際に必要な材料や費用は注文者の負担となります。
電力会社・ガス会社などの「電気・ガスの供給」、人身や貨物の運送を契約する運送業者による「運送」、土木・建築請負業や人材派遣業の「作業・労務の請負」、新聞会社や出版社、印刷会社、写真撮影業の「出版・印刷・撮影」、ホテルや宿泊施設、レストラン、パチンコ店、テーマパークなど「客の来集を目的とする場屋業」、金融機関や両替商など「両替その他の銀行取引」(自己の資金を貸し付ける貸金業者や質屋営業は含まない)、生保・損保の引受(営利保険のみ、相互保険や社会保険は含まない)、倉庫業者やトランクルーム業など「寄託の引受け」、問屋・準問屋・運送取扱人など「仲立ち、取次ぎ」、損保の代理店など締約代理商の行為にあたる「商行為の代理の引受け」も営業的商行為に含まれます。

未成年者が法定代理人から営業許可をもらって単独で商行為をしたり、後見人が成年被後見人のために営業をする場合には、その旨の登記をすることが必要です。
親権者は当然に代理権を有するため、親権者が未成年者の代わりに商行為をする場合には登記は不要です。

 

商号

商人は営業活動をするにあたり、「商号」を決めることになります。
これは営業活動における、自分を表すための名称で、原則自由に選定することが出来ますが、文字で表せる、かつ発音出来るものでないといけないため、図形や模様、記号などは商号に出来ません(商標には可能)。
また、「商号使用の制限」に基づき、
・会社は商号1つのみ、個人商人は1つの営業について1つの商号を使用可能
・会社は商号の中に会社の種類を示す文字を用いる必要があり、また、他の種類の会社と誤認されかねない文字は使用不可能
・個人商人は、商号の中に会社と誤認されるおそれがある文字を使用出来ない
・会社・個人商人を問わず、不正の目的をもって、他の会社・商人だと誤認されるようなおそれのある商号を使用することは禁止(違反者には侵害の停止・予防の請求が可能)
という決まりを守らなければなりません。

商号を他人に譲渡するには、営業と共にする、または営業を廃止するという場合にしか出来ません。
これは商号が、その商人の営業上の名称という意味を持ち、社会的・経済的信用を表すはたらきを担っているためで、商号の譲渡を第三者に対抗するためには登記が必要になります。
では、譲渡ではなく、他人に自分の商号を貸与した場合はどうなるのでしょう。
他人に商号を貸して営業させる「名板貸し」が行われた場合、貸人は、借人のした取引によって生じた債務を連帯して弁済する責任を負います(判例では、相手方が善意無過失であるときのみとしている)。

営業を譲渡する「営業譲渡」も可能です。
これは一種の債権契約にあたり、一定の営業目的のために組織化されている有機的一体としての機能的財産の移転が目的で、営業譲渡が行われると譲渡人には「競業避止義務」が生じ、同一の市町村の区域内および隣接する市町村の区域内で20年間(30年まで延長可能)の同一の営業の禁止、不正競争を目的とした同一の営業の禁止が課せられます。
譲渡された譲受人も、債権者に対して責任を負います。
商号が続用されたときには原則、譲渡人の営業上の債務について弁済の責任を負いますが、譲渡人の債務について責任を負わない旨の登記を遅滞なくした場合、または譲受人および譲渡人から債権者に通知した場合は例外として弁済の責任を負わないことになります。
商号が続用されないと、原則として譲渡人の営業上の債務について弁済の責任を負うことはありませんが、譲受人が債務引受けの公告をするとその責任を負います。
営業譲渡があった場合の債務者は、商号が続用されたときには、債務者・弁済者が譲受人に対して善意・無重過失で弁済すると有効な弁済となりますが、商号が続用されず譲渡人の債権が営業譲渡から除外されていると、債務者が譲受人に弁済してもそれは有効になりません。

 

商業登記

取引の相手方を保護するため、商人・会社はその情報を公開する必要があります。
そのための制度が「商業登記」です。

商業登記には一般的効力と特殊的効力があります。
一般的効力には、登記事項が登記されていないと善意の第三者に対抗出来ない「消極的効力」、登記事項が登記されると正当事由が無い限りは善意の第三者に対抗出来る「積極的効力」、故意又は過失によって不実の登記をした者はそれによって善意の第三者に対抗出来ない「不実登記の効力」が含まれます。
特殊的効力には、登記によって新たな法律関係が創設されるという「創設的効力」があります。
登記無しにはその効力が認められないというもので、会社の設立登記などがこれにあたります。
また、「補完的効力」という、登記をすることで法律関係に関する一定の瑕疵の主張が出来なくなるというものも特殊的効力にあたります。
他にも、登記によって保護が強化されたり対抗力が付与されたりという「保護強化的効力」も特殊的効力の1つです。

 

商業使用人

個人商人以外の場合、商人は自分の営業活動に助力してくれる存在として、従業員を雇い事業に従事させることがあります。
これを「商業使用人」といい、商業使用人は商人の指揮命令に服し、商人の営業上の代理権を有しています。

商業使用人の1つが「支配人」です。
一般的には支店長や営業所長などと呼ばれる支配人は商人に代わり、その営業に関する一切の、裁判上または裁判外の権限を有することになります。
支配人になれるのは自然人のみで、意思能力があれば制限行為能力者でもよいとされています。
支配人は営業主の商人によって選任され、選任・就任が行われた旨は登記する必要があります。
支配人は支配人代理権により、商人に代わって自ら裁判を行うことや、弁護士を選任して訴訟させること、契約や解除など営業に関する一切の法律行為をすることが出来るほか、その営業所における従業員の選任・解任といった人事権も有するため、商法によって包括的な代理権が与えられているといえます(商人が支配人の代理権に制限を加えても善意の第三者には対抗出来ない)。
反面、支配人は善管注意義務を負い、「自ら営業を行う」「自己または第三者のためにその商人の営業の部類に属する取引をする(支配人が違反した場合、その行為によって支配人または第三者が得た利益額は商人に生じた損害額と推定)」「他の商人または会社、もしくは外国会社の使用人となる」「会社の取締役、執行役、または業務を執行する社員となる」場合には商人の許諾を受ける必要があります。
また、何の権限も無いのに肩書だけが与えられている「表見支配人」の場合には、相手方が悪意・重過失でない限り、その使用人は一切の裁判外の権限を有するものとみなされます。

部長や課長、係長といった中間管理職にあたる人を「ある種類または特定の事項の委任を受けた使用人」といい、商人から委任された商人の営業に関する特定の種類・事項については一切の裁判外の行為をする権限が付与されます。
もしその権限に制限が加えられていたとしても、善意の第三者への対抗は不可能です。
他にも、デパートやショッピングセンターなどの店員も「物品の販売等を目的とする店舗の使用人」にあたり、店舗内にある物品ならば販売・賃貸等を出来るという権限が認められています。
しかし、相手方(買い手)がその人が店員ではないとわかっている、悪意のときにはこのルールは適用されません。

 

代理商

商人の使用人ではないけれども、商人のためにその平常の営業の部類に属する取引の代理・媒介を行う人のことを「代理商」といいます。
代理商は独立の商人として扱われ、個人商人でも法人でもなることが可能です。
旅行代理店や損害保険の代理店など、商人から取引に関する代理権を委任されている代理商を「締約代理商」、本人たる商人と取引の相手方との契約を媒介〈仲介・斡旋〉するだけの代理商を「媒介代理商」といいます。

本人と代理商は民法上の「委任又は準委任関係」にあたるため、民法の委任に関する規定および商行為に関する商法上の規定が適用されることになります。
善管注意義務や競業避止義務等が代理商に課せられます。

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