フレックス制でブラック企業入り?「ゆるい就活」をしていても注意が必要かも

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近年、残業代や制服代を支払わないなど、不当な経営をしているいわゆる「ブラック企業」が労働者の悩みの種となっています。そんな悩みを解決すべく各都道府県の労働局や、労働基準監督署内に設置された総合労働相談コーナーには、相談者が後を立たない状況のようです。

そういった状況を改善するべく、労働者自身が定められた時間帯の中で始業・終業の時間を決めることができる「フレックスタイム制」を採用する企業や、「ゆるい就活」と呼ばれる月15万円程の収入で、週休を増やそうとする働き方が話題になっています。

ブラック企業を事前に見極めるにはどこが基準となるのか?今回は労働問題に詳しい社労士の岡部先生にお話しを伺いました。

ブラック企業見極めチェックリスト

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一概に「ブラック企業」と言ってもその判断は「解雇」「賃金不払い」「労働時間」「パワハラ・セクハラ」「いじめ」などの側面から判断することになるため、その基準は膨大です。

具体的なイメージをお持ちいただくために、「ブラック企業」を見極める基準の一部を以下に列挙しましたので、ご参考にしてください。

・長時間労働や休日労働が当たり前の社風を持っている企業
・残業や休日労働をさせるが、適切な残業代の支払い等が無い企業
・入社3年以内の社員の離職率が極めて高く、偽りの数字を提示する企業
・過労での病気や休職者、死亡者を出したことがある企業
・業務と関係のないこと(経営者の私事等)にも社員を使用し、手当等の支払いもない企業
・業務上のケガや病気であるにもかかわらず、労災保険を使わず隠している企業
・経費の請求を会社にすることができず、社員が自腹で行っている企業
・求人広告の情報や説明会などでの情報がコロコロ変わり、採用時に採用条件の明示を行わない企業
・社員が自分の意見を言うと、すぐに給与が減額させられてしまう企業
・社員を減給や降格、転勤などによる恐怖で管理している企業
・経営者が、会社の資金を自分の財布だと考えている企業
・経営者の個人的判断によってすぐに解雇されてしまう企業
・ミスを犯した社員を、見せしめのために他の社員の前で非難する企業
・就業規則や業務マニュアルが整備されておらず、社員に見せないよう隠している企業、またはそれらの規則等がない企業
・社員のほとんどを管理職にすることで、残業代の支払いをしていない企業
・人事考課が社長一人または数人の幹部のみの裁量で自由に行われている企業
・定時の就業時間にタイムカードなどを打刻させ、その後労働させる企業
・退職が決まった社員に冷たくする、また退職後の社員に必要書類等を交付しない企業
・会社の勝手な都合により、平気で雇止めをする企業
・経営者の口利きで採用され、正規の手続を経ずに入社した社員がいる企業
・国籍・信条などによって採用拒否や解雇などを行う企業
・労働関係諸法令に違反している企業

フレックスタイム制の企業も実はブラックかも…

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フレックスタイム制を採用している企業でも、解雇やセクハラ・パワハラなどの問題は十分に起こりえますので、それらの側面から考えると当然に「ブラック認定」されることはあります。また、フレックスタイム制を採用していれば、「労働時間の問題はない」と考えるのも誤りです。

例えば、フレックスタイム制は始業および終業の時刻を労働者の決定にゆだねなければなりませんが、それを無視してコアタイムでない時間に会議への出席などを義務づけている場合や、フレックスタイム制でも当初定めていた労働時間を超過して働いた場合には当然その分の賃金の支払いが必要となりますが、その支払いがない場合、そもそも使用者が労働者の各日の労働時間を把握していない場合などは、「ブラック企業」に該当すると言えるでしょう。

「ゆるい就活」の注意点

「ゆるい就活」とは週休4日、週3日勤務で就職することを指します。週休4日ということはプライベートな時間を多くとれるため、公私の「私」の部分を充実させることができるものです。一見魅力的な制度のように聞こえますが、そこには次のような様々な注意点が存在します。

①週3日の勤務で成果を出さなければならない

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週3日できちんとした結果を出せるかが問われることになるため、3日間の労働の比重は重いものにならざるを得ません。

そのため、結果が出せない場合は結果を出せるまで残業をしなければならないという懸念も生まれますし、結果が出せない人は当然企業にとって必要ないということになります。「正社員より解雇しやすい」という間違った認識も持たれる可能性が高いため、解雇の増加も懸念されます。

②いざという時に社会保険の保障が享受できない

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会社の実態によって異なりますが、多くの場合この働き方では社会保険に加入することができないため、いざという時に社会保険の保障が享受できないことになります。

国民健康保険や国民年金よりも社会保険(健康保険・厚生年金保険)の方が多くを保障してくれ金額による手厚さも大きく、将来にも影響するため、それらも考慮する必要があります。

③「ゆるい就活」でもブラック企業に該当する可能性アリ

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上記のように「解雇・雇止め」の増加が懸念されるところですし、成果が出せなかった場合など、通常の正社員として週5日勤務している社員から邪険にされる可能性やパワハラなどを受ける可能性などもあります。

推測の域を出ませんが、このような問題点が懸念されるため、「ゆるい就活」をお考えの方は、これらを熟慮して決める必要があると思われます。

収入の面でも、長い人生を考えた場合十分とは言えませんので、現時点で「ゆるい就活」とは、将来にある目的や夢などを実現(たとえば難関資格取得や開業準備など)するためのひとつの手段と考えていただくのが適切かもしれません。

【特定社会保険労務士 岡部健史(オカベタケシ)プロフィール】
長野県出身。大学卒業後、金融機関に勤務。渉外業務を担当し年金に携わる。
その後、上部団体に出向し年金相談業務を担当。各支店を回り年間800人以上の年金相談及び請求の支援を行い、年金業務にやりがいを感じ社会保険労務士資格を取得。
現在は東京都調布市でライフワンズ社会保険労務士事務所を開業。
企業の労働問題解決から年金相談まで幅広く活動している。
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