【H26司法試験採点実感】要点をわかりやすくまとめました。

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法務省で毎年発表される司法試験の「採点実感」は、出題者であり、採点者でもある試験委員が「出題の意図」と「受験生の答案」のギャップなどを「意見」としてまとめたものです。

辛辣なコメントも多いですが、司法試験の答案作成にあたり、大いにヒントになるものです。しかし、分量はPDFで60ページと大部にわたります。 そこで、過去問を最重視する資格スクエアでは採点実感をわかりやすく、まとめなおしました。

過去問を解いたあとには必ずこの採点実感をチェックしてください。 また、これから学習する人も、「このテーマはここまで理解する必要がある」とか「こういう論点も聞かれている」ということが事前にわかりますので、学習の力点の置き方もわかります。

 

平成26年司法試験問題

 

【平成26年 司法試験 採点実感】

公法系第1問
1 採点の基本方針
・最も重要なポイントは、条例の目的が複合的であることである。この点について、筋の通った主張をしていれば高い評価が与えられる。
・これに対し、審査基準に内容の誤り・パターン化し表面な答案には厳しい評価が与えられる。
・「条例自体が違憲であると主張して」訴訟を提起しており、内容的にも適用違憲(処分違憲)を論じている答案は、厳しい答案となる。
・自己に有利な事実のみを取り上げ、自己に不利な事実を黙殺する答案は、厳しい評価をせざるを得ない。原告の主張では消極目的・被告の主張では積極目的として単純に論ずるのも厳しい評価となる。

2 採点実感
(1)問題の読み取りの不十分さについて
・目的が複合的であることについての分析が及んでいない答案が多数見られた。
・AEDが何であるあの知識が誤っている答案もあった。法律家の資質として、常識である。
(2)原告—被告—あなた自身の見解という全体構成について
・自分の見解を体系的・論理的に深く論じる必要がある。原告の主張の記載に時間をつ費やしすぎるな。
・「被告の反論についてポイントのみを簡潔に述べた上で」と問題文にはあるが、設問1で論述した原告主張に対する被告主張の対立軸を示す程度の記載が必要である。
(3)制約される憲法上の権利について
・制約される権利について、単純に「営業の自由」とのみの記載では薄い。事案に即した必要な検討をすべきである。
・営業の自由や職業選択の自由と人格的利益の結びつきを指摘できた答案は皆無であった。

(4)条例の違憲性について
ア 規制目的
・出発点は条例に規定されている目的である。もっとも、条文の文言に現れていない「
隠された目的」の位置付けにも注意せよ。

イ 違憲審査基準
・パターン化してはならないが、独自に違憲審査基準を創作してはならない。
・目的と手段の実質的関連性が必要であるとした場合には、問題に即した具体的検討が必要である。
・判断枠組みの定立にあたり、内実を伴った理由を示す必要がある。通常の審査よりも「厳格な審査を行うとしても、その基準は「厳格審査の基準・中間審査の基準」もあり得る。

ウ 平等違反
・平等原則違反と自由権侵害の相違点に注意せよ。

エ 具体的事案の検討
・問題文の事実関係を生かしきれていない答案が多数ある。また、水掛け論にならないような議論を展開する必要がある。
・原告であるC社の具体的事情を詳細に検討できた答案はほぼ皆無であった。

(5)答案全体の印象について
・審査基準の定立の段階で本件の詳細な具体的事情まで審査基準の定立の検討材料としてはいけない。また、定立した審査基準と、目的審査において求められる正当性のレベルをかみ合っていない答案も多数あった。
・判断基準の構築とおもに、事案の内容に即した個別的・具体的な検討が「あっさり」しすぎている。

(6)答案の書き方
・用語に注意せよ。「立法裁量」と「行政裁量」は異なる。また。審査基準を「やや下げる」「若干緩める」などということは、判例実務では使わない。
・原告の主張・被告の主張で、「原告の主張の正当化」との見出しは不適切である。「違憲性」「合憲性」との見出しが適当である。
・漢字の誤りは、その意味を正確に理解しているかの疑いを抱かせるものもあり注意せよ。
・「当てはめ」という言葉を使って機械的な「当てはめ」を行うな。

4 今後の法科大学院教育に求めるもの
・判例の内側に入れ。外在的な批判に終始すべきではない。他方、判例をなぞった解説に終始してもならない。判例を尊重しつつ、「地に足を付けた」検討をせよ。

 

 

公法系第2問
1 採点方針
・基本的な判例や概念等の正確な理解に基づいて、相応の言及をすることのできる応用能力を有しているか、事案を解決するに当たっての論理的な思考過程を、端的に分かりやすく整理・構成し、本件の具体的事情を踏まえた多面的で説得力のある法律論を展開することができているか、という点であり、知識の量に重点を置くものではない。

2 答案に求められる水準
(1)設問1
・採石法・採石法施行規則の関係規定を的確に指摘し、本件要綱が私人に対し法的拘束力を持たない行政規則であること、採石法が都道府県知事の裁量を認めるものであることを理解した上で、本件でC組合による跡地防災保証を採石認可の要件とすることの適法性を具体的に検討していれば、一応の水準にある。
・さらに具体的な事情に即した検討がなされている場合には、評価が上がる。

(2)設問2
・Aの岩石採取をやめさせるに採り得る処分について、採石法の関係規定を的確に指摘し、本件へのあてはめを適切に行っていれば、一応の水準の答案となる。
・さらに授益処分の撤回についての論述的確に行っていけば評価が上がる。

(3)設問3
・正しい訴訟類型を挙げた上で、問題となり得る訴訟要件について論じていれば、一応の水準の答案となる。
・本件事案に即して具体的かつ的確に論じていけば、評価が上がる。

3 採点実感
(1)全体的印象
・誤字・脱字には注意せよ。「適法」か「違法」かが判読できないものなどは意味がない。
・文意が分かりにくいものなどもあり、法律の能力以前の問題である。また、冒頭部分にこれから論じるテーマを提示するなどの工夫も必要である。読み手の存在を意識せよ。
・問題文の設定を理解できないと思われる答案も相当数見られた。「仮に」などの問題設定には注意が必要である。

(2)設問1:大きく差がついた問題
・行政法規にいう行政処分の「条件」の意味を誤解してつまずき、的外れな方向に論述を進める答案、処分要件の検討が不十分なまま行政裁量を援用し論述が粗雑な答案が目立つ。「本件要綱に関係する規定は、採石法33錠の7第1項の「条件」に該当するわけではない。
・まずは、採石認可の処分要件は何かから検討からされるべきである。
・広範な裁量権限を導くのにも、論拠を十分に記述すべきである。
・行政機関が策定する各種の基準額は、実際の行政実務で重要な意味を持つので、その法的な意味を、実例に即して、十分識別しながら学習する必要がある。

(3)設問2
・「岩石の採取をやめさせるために何らかの処分を行うことができるか」を問うているのであり、この問題文に的確に答える必要がる。また、採石認可処分がされていることを前提としている点にも注意を要する。

(4)設問3:比較的よくできていた問題
・「設問2で挙げられた処分をさせることを求める行政訴訟」について問うている点は注意せよ。
・非申請型義務付け訴訟の訴訟要件のうち「一定の処分」の該当性の検討において、処分の特定の検討が必要となるので注意せよ。

5 今後の法科大学院教育に求めるもの
・基本的概念の理解が不十分である。具体的な状況において、これらの概念を用いるのかといった視点での学習が不十分である。法律実務家を目指すものにとっては、あてはめも重要である。

 

 

刑事系第1問
1 採点の基本方針等
・具体的事例を法的に分析した上で、事案の解決に必要な範囲で法解釈論を展開し、事実を具体的に摘示しつつ法規範への当てはめを行って妥当な結論を導くこと、甲乙丙それぞれの論理的整合性を保つことが求められている。
・論じる点が多いため、事実認定上又は法律解釈上の重要な事項については手厚く論じる一方、必ずしも重要とはいえない事項については、簡潔な論述で済ませるなど工夫をする必要がある。

2 採点実感等
(1)全体について
・多くの答案は、甲乙丙それぞれについて前記各論点を論じており、本問の出題趣旨や大きな枠組みは理解できていた。

(2)甲の罪責について
・甲の罪責の検討においては、①Aに対する授乳等をやめるという不作為に及んだ行為につき、不真正不作為犯の実行行為性、②甲の実行行為によってAが死亡する現実的危険が生じた後、乙の故意によるAを連れ去る行為やタクシーの運転手の過失による事故という事情が介在してAが脳挫傷により死亡したことにつき、因果関係が問題となる。
・検討の順序としては、実行の着手が先であり、これに続き因果関係の有無や中止未遂罪の成否を検討すべきである。
・危険の現実化という要素を考慮する場合には、危険と結果のいずれについても具体的に捉える必要がある。
・さらに、中止未遂罪の成否も問題となる。

(3)丙の罪責について
・丙の罪責の検討においては、①甲との共犯関係、②病院で適切な 治療を受けさせない限りAを救命することが不可能な状態となった後,甲の母親から電話で訪問したいと言われたが、嘘をついて断った点についての法的構成、が問題となっている。
・②の点については、作為による殺人罪の単独正犯としての実行行為を認定するか、作為による殺人罪の幇助行為と認定するか、見て見ぬふりの不作為犯を犯している間の一事情と認定する構成があり得るが、どちらの構成によったとしても、その成立要件に事実関係をあてはめていくことが求められる。
・各犯罪の故意・罪数も問題となっている。

(4)乙の罪責について
・乙の罪責の検討においては、住居侵入罪の保護法益及び実行行為の意義、未成年者略取罪の主体及び略取の意義が論点となっている。
・未成年者略取罪の成否については、甲のAに対する養育状況を問題とする必要がある。

(5)その他
・達筆である必要はないが、採点者に読まれることを意識し、なるべく読みやすい字で答案を書くことが求められる。

3 今後の法科大学院教育に求めるもの
・刑法の学習においては、総論の体系上の位置付けや相互の関係を十分に理解した上、これらを意識しつつ、各論に関する知識を修得することが必要である。
・答案を書く際には、体系的位置付けを意識しつつ、検討の順序にも注意して論理的に論述することが求められる。
・判例の学習の際には、単に結論のみを覚えるのではなく、具体的事案の内容や結論に至る理論構成等を意識する必要がある。

 

 

刑事系第2問
1 採点方針・採点実感
〔設問1〕1
・198条に基づく任意捜査の一環として被疑者取調べがいかなる限度で許されるかについて、その法的判断枠組みの適用上いかなる意味を持つのかを意識しつつ、各取調べの適法性を論じることを求めている。
・最決昭和59年2月29日(高輪グリーンマンション殺人事件)の判断枠組みを明確に示す必要がある。
・①「甲の取調べ」時点と、「②甲の取調べ」時点とでは、甲に対する容疑の程度に差異が生じていることにも留意が必要である。

〔設問1〕2
・多くの答案は、起訴後の被告人の取調べが公判中心主義及び当事者主義の要請と觝触するおそれがあり、その許容性に問題があることを多くの答案が指摘できていた。しかし、その理解は表面的かつ抽象的な理解にとどまっている。
・198条が「被疑者」としているのみで、「被告人」の取調べについて何ら規定がないことを指摘・検討する答案は少ない。

〔設問2〕
・検察が講じるべき措置として訴因変更が問題となることはおおむね理解されていた。
・さらに、本事例では、公判前整理手続の開始前、検察官による具体的な主張・立証がされておらず、それに対する被告人側のアリバイ等の主張も行われていない段階であることに留意が必要である。
・第一事実・第に事実それぞれにつちえ、訴因変更の要否及び可否を論じることが求められているが、第一事実の訴因変更の要否について検討を欠く答案が一定数あった。
・最決平成13年4月11日の理解は重要であり、多くの答案でも正しく理解されていたが、本件との異同に留意した論述が求められている。
・訴因変更の可否については、刑事訴訟法312条1項所定の「公訴事実の同一性」の有無に関する判断基準・方法を明らかにする必要がある
・第二事実に関し、起訴状記載の訴因である窃盗の事実と、検察官が新たに立証しようとする窃盗譲り受との間でそれを認めることができるか、両者の具体的な事実を比較してあてはめ、結論を導くことが求められる。
・公訴事実の同一性の判断基準を定立することは多くの答案でできていたが、理解が正確でないものを多かった。

 

 

民事系第1問
1.出題の趣旨
民事系は、以下のような能力が試されている
①当事者の利害関係を法的な観点から分析し構成する能力
②上記の前提としての、様々な法的主張の意義及び法律問題相互の関係を正確に理解
③それに即して論旨を展開する能力

2.採点方針
以下のような採点方針を採用している。
・1つの設問について複数の採点項目
・ある設問について深い考察がなされているものには高い評価
・論理的に矛盾する答案に低い評価

3.採点実感
(1)設問1について
・Aの主張の法的な位置づけとしては、賃料の不払いというAの債務不履行を否定するものということができる。設問1での争点は、第一に、債務不履行の存否である。
・Aの主張を正当化するためには、Aの賃料を120万円払い過ぎていたことを基礎付ける必要がある。そのための法律構成が設問1の中心的な争点である。方向性としては、①甲建物が免震構造を有していないことにより、賃料が当然に減額されるという考え方、②賃料減額請求権(611条1項)を類推適用するという考え方、③瑕疵担保責任に基づく考え方(559条、570条)があり得る。
・AがCに対して120万円の債権を有しているとすると、今後6か月分の賃料は払わなくてもよいはずであるというAの主張は、この120万円の債権と賃料債権とを相殺する旨の意思表示である。

(2)設問2について
(ア)小問1について
・和解契約の当事者とされていた本件胎児が流産したことによって生ずるFD間の基本的な法律関係を確認する問題である。
・886条2項により、本件胎児の相続人としての地位が失われるので、Fは配偶者ともともに相続することになり、その法定相続分にしたがって、AのDに対する損害賠償請求権を承継することが示されれば足りる(886条について、解除条件説をとるか、停止条件説をとるかは直接関係しない)。
・BによってDとの間でされた和解はFに影響を与えないことは契約の相対性から明らか。
(イ)小問2・(ウ)小問3について
・本件胎児が相続人でなくなったことが和解契約にどのような影響を与えるかを十分に意識した上で論理を展開する法的な思考力と応用力が問われることになる。
・小問2には複数の答えが考えられるものであり、小問2と小問3は連続したものである。両者を整合的に解決する必要がある。

(3)設問3について
・所有権に基づく返還請求の要件について、設問において指定された事実がそれぞれ要件としての意義を有するか否かを問うものである。
・多くの答案は、適切な解答を示すものであった。
・論述の前提として所有権に基づく返還請求権の要件を的確に指摘する必要がある。
・下線部の事実①・③が「請求権を行使しようとする者が所有権を有すること」という要件に関わるものであり,また,下線部の事実⑤が「相手方が占有をしていること」という要件に関わるものである。
・上記の検討の際には, Hが丁土地の所有権の全部を有することに基づいて返還請求権を行使するもの であるか,それとも共有者がする共有物の保存行為として丁土地の明渡請求権を行使するものであるかという法律構成の観点を明確に示す必要がある。
・下線部の事実②・④については,民法第177条の「第三者」の意味に関する一般的な考察を前提として,それらの事実が持つ法律上の意義を指摘する必要がある。
・下線部の事実⑥に関しては,Kが丁土地を占有しているという相手方占有要件を考える上で,建物を所有する者を実体に従って判断することが妨げられないことかを適切に指摘する必要がある。

(4)全体を通し補足的に指摘しておくべき事項
・複数の解釈が可能となるような曖昧な表現は避けるよう留意すべきである。
・答案の書き方として、設問(3)では①・②・③…という数字を用いているのであるから、これと別に、①原告所有、②…などと記述することは望ましくない。

 

 

民事系第2問
1 採点方針及び採点実感
(1)設問1
・Eについて、そもそも取締役としての株主総会の選任決議を欠き、代表取締役としての取締役会決議も欠いており、本件株式発行は代表取締役でない者によってされたものであることを指摘する必要がある(この点を指摘した答案は多くはない)。
・新株発行無効の訴えについて、提訴期間が徒過しているためこれを提起することができないことは、多くの答案で触れられている。
・非公開会社の提訴期間については注意が必要。
・新株発行不存在といえるか否かについては,どのような結論を採っても,理由が適切に述べられていれば,同等に評価される。

(2)設問2
・Hの立場では、①Eについて表見代表取締役に関する規定(354条)を類推適用することができること、②Eに代表権がないとしても,故意に不実の事項を登記した場合の効果(908条2項)が認められることを,それぞれ主張することが考えられる。
・これに対し、借入金の返還請求を否定する甲社の立場としては,Eに代表権がないことを主張し,上記①②に係る瑕疵についてHに悪意又は重過失があったこと,③本件借入れは,甲社にとって多額の借財(362条4項2号)に該当するところ,その 取締役会の決議を経ておらず,かつ,Hは取締役会の決議を欠いていることを知り又は知ることができたこと,④本件借入れは,甲社の事業上の必要性によるも のではなく,Eの個人的な思惑によるものである点で,権限濫用行為に該当するところ,Hはこれを知り又は知ることができたことを、主張することが考えられる。
・もっとも、上記4点全てを論じることができた答案はほとんどなく、多くは①と③の一方又は双方を指摘するにとどまっていた。
・また、主張を挙げるだけでなく、その当否を論じる必要があることが求められている点にも注意せよ。

(3)設問3
・非公開会社の提訴期間には注意せよ。多数の答案が誤った記述をしている。
・Dに対する株主代表訴訟では、取締役の員数(331条4項)を満たしていないため、任期満了により退任したDがなお取締役としての権利義務を有する地位にあること(346条1項)を前提に論ずることが必要である(この点を論じた答案は少ない)。これに対し、Dの監視義務違反については、一定数の答案が検討していた。
・Eに対する株主代表訴訟については、事実上の取締役に該当するなどして、会社法423条1項の類推適用により、Eの任務懈怠責任を肯定する余地があることは、多くの答案で論じられている。これに対し、Eの任務懈怠の内容を正確に指摘した答案は少ない。
・Eに対する株主代表訴訟について、所有権移転陶器義務について、そのような債務について、株主代表訴訟の対象とすることが認められるかにつき触れた答案は多いが、詳しく論じることができた答案はほとんどみられなかった。

 

 

民事系第3問
1 出題の趣旨
①民事訴訟法の基本的な原理・原則や概念を正しく理解し,基礎的な知識を習得しているか,
②それらを前提として, 問題文をよく読み,設問で問われていることを的確に把握し,それに正面から答え ているか,
③抽象論に終始せず,設問の事例に即して具体的に,かつ,掘り下げた 考察をしているか,
といった点を評価することを狙いとしている。

2 採点方針
・答案の採点に当たっては,上記①から③までの観点を重視するものとした
・上記②と関連するが,問題文において問われていることに正面から答えていなければ,点を与えてはいない

3 採点実感等
(1)全体を通じて
・問題文にある設問自体を相当行にわたって書き写している答案,相互の関係性を明らかにしないで複数の論点を羅列する答案等が散見された。必要な解答を入念に構成した上で、答案を書き始めるべきである。
(2)設問1について
・判旨が挙げるような取引行為と訴訟手続の違いや,手続の不安定を招くといった点を否定的な立場の根拠とすることに説得力があるかを踏まえるべきことが問題文に示されている。そのような流れで論述して構わないが、それぞれの結論のみではなく、結論に至る過程を説得的に論ずる必要がある。
・訴訟行為への表見法理の適用の可否について、一般的に展開することに過度に重点を置き、訴訟上の和解の点については極めて淡白な記載しかない答案は、与えられた事案に即した検討を行うという姿勢に欠けるとの評価を免れない。
・本問では、訴訟上の和解の効力を維持する方向での論述が求められている。本問における和解は訴訟行為としては無効であるが,私法上の和解としては効力が認められるとし,かつ,それで論述を終えるものか, これに加えて,再訴を提起して私法上の和解の効力を主張すればよいとするものは、題意に答えていない。

(3)設問2について
・本問では、最高裁判所の判決が明示されており、その内容を踏まえるべきことが要求されていたが、当該判決に触れていない答案やその内容を踏まえたのかどうかが不明と言わざるを得ない答案が相当数あった。
・答案としては,上記最高裁判所の判決について,訴訟代理人の権限には一定の限界ないし制限が存在するものとしている判例であると説明し,その上で,本問 の和解条項第1項について,L2弁護士に与えられた権限の範囲内にあるかどうかを論ずることまではできている答案かは比較的多かった。

(4)設問3について
・和解条項第2項及び第5項について生じる既判力により本件後遺障害に基づく損害賠償請求権の主張が遮断される、という原則を、論述を始めるに当たり指摘することは、議論の展開を明確にする意味でも有用である。
・その上で、上記原則に対する例外と言うべき、①本件後遺障害に基づく損害賠償請求権の主張を遮断しない限度にまで縮小させる,あるいは,②本件和解契約は同請求権を対象として締結されたものではないから,本件の和解条項第2項及び第5項には同請求権を不存在とする趣旨の既判力は生じない、との立論を行うことが求められている。
・本問では、人身損害の損害賠償を主に念頭において117条が作られた趣旨を参考にしてほしいとの観点が示されているにもかかわらず,人身損害の特殊性を指摘しない答案や,単純に民事訴訟法第117条を類推適用すべきであると論述する答案が相当数あった

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