【H27司法試験採点実感】要点をわかりやすくまとめました。

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法務省で毎年発表される司法試験の「採点実感」は、出題者であり、採点者でもある試験委員が「出題の意図」と「受験生の答案」のギャップなどを「意見」としてまとめたものです。

辛辣なコメントも多いですが、司法試験の答案作成にあたり、大いにヒントになるものです。しかし、分量はPDFで60ページと大部にわたります。 そこで、過去問を最重視する資格スクエアでは採点実感をわかりやすく、まとめなおしました。

過去問を解いたあとには必ずこの採点実感をチェックしてください。 また、これから学習する人も、「このテーマはここまで理解する必要がある」とか「こういう論点も聞かれている」ということが事前にわかりますので、学習の力点の置き方もわかります。

 

平成27年司法試験・公法系問題

【平成27年司法試験採点実感・公法系第1問】

1 はじめに
・問題の構成は従来の出題とは異なるが、出題の方針に変わりはない
・優秀な答案に特定のパターンはない

2総論
(1)全体構成等について
・①Cと の同一取扱い,②Dらとの差別的取扱い,③自分の意見等を述べたことで正式 採用されなかったことによる憲法上の権利侵害の3点が問題となるが、その一部しか論じていない答案も少なくない。
・①②③の相互関係に注意せよ。自爆する答案もあるが、問題の核心を見抜いている場合には好印象である。

(2)設問1のBの訴訟代理人の主張及びA市の反論について
・明らかに採用の余地がない主張はするな。
・ポイントを簡潔に述べよと出題したが、結論だけを書くのでは足りない。積極的・直接的・根本的な理由を明示する必要がある。

(3)設問2の「あなた自身の見解」について
・「あなた自身の見解」を論ぜよ。A市の反論が妥当でないことを論じるだけでは足りない。
・答案全体の一貫性に注意せよ。

(4)判断枠組みの定立について
・判例・学説を踏まえた判断枠組みを定立し、事実関係に即して結論を考えよ。どちらか一方が欠けてもいけない。

(5)その他
・裁量論に迷い込むな。あくまでも憲法上の主張や見解について論じることが求められている。

3 平等について
・「平等」の意義に注意せよ。
・本問との関係では、法適用の平等・法内容の平等の論述は不要である。パターン化した答案を書くな。
・何による差別の問題であるかを指摘し検討せよ。
・Cとの同一取扱いは悩ましい面もあるが、どうにか法的に構成に持ち込め。その能力が問われているのであり、簡単に諦めてはならない。

4 表現の自由について
・表現の自由の問題であることに注意せよ。
・制約の認定には慎重になれ
・本問では、Bの意見が公共の利益に関わるものである点が重要であるが、これを指摘できた答案は少数である。
・萎縮効果は、Bに対してのみならず、その他の者も含む一般に対してのものとして考えよ。

5 その他一般的指摘事項
・途中答案・設問2について配点に見合うだけの分量がない答案も多数あった。
・事実関係を誤った答案も散見された。問題文はしっかり読み、BCD等の記号も間違えるな。
・しかし、問題文を書き写すだけでは足りない。憲法的な評価を加えることが求められる
・加除や挿入は明確に分かるような形で答案を作成せよ。

 

【平成27年司法試験採点実感・公法系第2問】

1 出題の趣旨・2 採点方針
・会議中の指示に従って基本的な事実関係や関係法令の趣旨・構造の分析・検討が求められる。
・決して知識の量に重点を置くものではない

3 答案に求められる水準・採点実感
(1)全体的印象
・問題文等の指示を無視するな。
・答案構成はきちんと行った上、読み手にわかりやすい答案とせよ。見出し等の工夫も必要である。

(2)設問1
・差止め訴訟を挙げた上で、個々の訴訟要件を挙げることができていれば、一応の水準となる。
・最判平成24年2月9日を踏まえたこれらを解釈すれば、良好な答案となるが、これを意識せずに書かれた答案も多かった
・本件では明らかな訴訟要件について、不相当に多くの論述は不要である。

(3)設問2
・根拠規定・関係法規の相互関係や本件基準の法的性質の正しい理解がみられる答案もあり、差がついた。
・関係法令の趣旨を十分踏まえずに、他事考慮・考慮不尽の判断をするな。
・裁量基準・委任命令等についての基本的理解が不足している。

(4)設問3
・最判昭和58年2月18日の趣旨を踏まえた上での答案が求められるが、知らない・正確な知識を持っていない答案が有意な数あった。
・損失補償の要否について、順序立てて論じていない答案も相当数みられる。
・会議録の指示が、予測可能性について意義を有しているので注意せよ。

5 今後の法科大学院教育に求めるもの
・重要判例についての知識を再確認せよ。
・論点単位で論述の型を覚えるな。理論・法令・事実を適切に結びつける基本的な作業を普段から積み重ねよ。
・日本語能力不足の答案も相当数みられる。

 

平成27年司法試験・民事系科目問題

【平成27年司法試験採点実感・民事系科目第1問】

1.出題の趣旨
民事系は、以下のような能力が試されている
①当事者の利害関係を法的な観点から分析し構成する能力
②上記の前提としての、様々な法的主張の意義及び法律問題相互の関係を正確に理解
③それに即して論旨を展開する能力

2.採点方針
以下のような採点方針を採用している。
・1つの設問について複数の採点項目
・ある設問について深い考察がなされているものには高い評価
・論理的に矛盾する答案に低い評価

3.採点実感
(1)設問1について
◯小問(1):材木1の所有権の所在、
・所有権の取得、即時取得については、大多数の答案の言及があった
・即時取得の成否にあたっての186条・188条に言及があると、要件事実論の理解が伺われて良い
・加工についても言及せよ。

◯小問(2)
・不動産の付合(242条)の意義を明確した上で、248条を用いよ。
・請求額についても分析せよ。しかし、Dの反論に関する検討は、叙述の分量の少ない答案も相当数あった

(2)設問2について
◯小問(1)について:対抗要件具備による所有権喪失の抗弁の構造
・対抗要件の抗弁については、Fの177条の「第三者」該当性の理由づけをせよ
・対抗要件の抗弁についての要件事実について正確な理解を示せ。

◯小問(2)について:寄託契約に基づく保管料債権を被担保債権とする民事留置権の成否について
・留置権の成否について要件事実を意識して検討せよ。
・被担保債権が何かについては気をつけよ。196条に基づく必要費償還請求権ではない。

(3)設問3について
◯小問(1):一般に責任能力があるとされる年齢に達している未成年者がした不法行為について監督義務者である親の責任
・Hに責任能力(712条)について正確な理解を示せ
・Hの責任能力の有無に即した不法行為(709条or714条)をすべし

◯小問(2):幼児が被害者である場合にその親に不注意があった場合について過失相殺の可否
・時間切れ答案を除き概ね書けている
・過失相殺についての基礎的な理解を記述すべき
・被害者側の過失については、必ずしも判例法理に従う必要はない

(4)全体を通して
・体系的で過不足のない知識を。
・要件事実の指摘にとどまらず、実体法の解釈や事案への当てはめを十分にすべき。
・答案全体のバランスを考えよ

4.法科大学院における学習において望まれる事項
・具体的なケースに即し適切な法律構成
・自己の法的主張を適切に基礎付ける能力
・法律効果を起点とした制度や法規範の相互関係の理解

5 その他
答案作成上の注意として
・極端に小さな字を書かない
・潰れた字・書き殴った字もダメ
・「けだし」「思うに」も使わない

 

【平成27年司法試験採点実感・民事系第2問】

1 出題の趣旨
会社法の規律の基礎的な理解とともに、その応用を問う問題である。

2 採点方針及び採点実感
(1)全体
・記載順序に注意せよ。多少の不足があっても、高く評価される。
・問題文中にある様々な事情を摘示せよ。

(2)設問1について
・個々の事案をしっかりと拾え。何が「取引」(356条1項1号)にあたるかを特定せよ。
・「自己のために」か「第三者のために」なのかを明らかにせよ。これにともない推定損害額が異なるので注意。論理的な整合性がある答案は評価が高い。
・推定損害額とは別に、423条1項に基づく損害賠償請求の可否についても検討が必要である。相当因果関係の有無につき説得的に論じた答案は評価がよい。
・Bによる工場長Eの引き抜きについては、多くの答案ができている。
・損害論についても具体的な検討をすべきである。

(3)設問2について
・具体的な事実に即して、「事業の重要な一部の譲渡(467条1項2号)に該当するかを検討せよ。質的・量的側面からの記述が不可欠である。
・467条の「事業譲渡」の意義については著名な判例があるが、これにこだわる必要はない。理由付けをせよ。
・会社法上の必要な手続を欠く場合の事業譲渡の効力について、利害関係人の保護を考慮しつつ説得的論せよ。

(4)設問3について
・上場条件の決定の委任の可否の論述が欠けている答案が見られた。さらに
上場条件を取締役の廃止の決議の可否との整理ができていないと評価が悪い。
・取締役会で上場条件の廃止の決定ができるかについて、理由を示して結論を論述せよ。その後の答案の流れにも整合性を持たせろ。

3 法科大学院教育に求められるもの
・取締役の競業取引に関する規律,事業譲渡の意義及び事業の重要な一部の譲渡に関する規律,新株予約権の発行及び行使に関する規律について、理解が不十分である。

 

【平成27年司法試験採点実感・民事系科目第3問】

1 民事訴訟法における評価基準
以下の3つを評価基準とする。そのうえで、問題文に示されている事項を吟味し、順序立てて、自らの言葉で検討結果を表現する姿勢が評価される。
(1)基本的な原理原則や概念を正しく理解し、基本的な知識を習得しているか
(2)問題文をよく読み、的確に把握し、正面から答えているか
(3)具体的に掘り下げた考察をしているか

このような評価基準のもと、優秀、良好、一応の水準、不良の4つに分けて評価している。

2 ダメな答案の例
・最高裁の判決内容や検討すべき事項の吟味が不十分な答案
・自分の結論に向けた論述において最高裁の判例をうまく活用できていない答案
・題意を理解せず問題文を書き写す答案
・理由を述べず結論だけ述べる答案
・典型的な論証パターンを書き連ねた答案
・丸暗記した判例の内容を記載する答案

3 設問1
(1)第1の点(反訴請求債権を自働債権として本訴請求債権と相殺する抗弁を適法としても平成3年判決と抵触しない理由)
・本訴で相殺の抗弁が審理されると反訴の訴訟係属が消滅し反訴について本案判決がないので既判力の矛盾抵触が生じない、とする答案が多い。しかし、これはダメな答案である。
・弁論の併合された状態でも、反対債権の存否についての判断が矛盾する恐れが懸念される場合を問うている。
・上記は弁論の分離された場合である。これに気づいている答案もあったが、予備的反訴の場合に弁論が分離できない理由についての記述は不正確、不十分なものが多かった

(2)第2の点(反訴原告が、相殺による簡易迅速な決済の便益と、債務名義を得るという便益の2つの利益を同時に享受しない理由)

・期待された論述は以下の通り。
①相殺の抗弁は最後に審理される抗弁であり、相殺の抗弁以外の抗弁が受け入れられて請求が棄却される場合には、相殺の担保的利益は享受されない。他方で、その場合は反訴が審理され、債務名義を得ることができる。
②相殺の抗弁が審理されると、予備的反訴の解除条件が成就し、反訴請求について審理されないから、Yは債務名義は得られず、担保的利益を得る。
③よって担保的利益と債務名義の2つを同時に得ることはない

・①がない答案が大半

・予備的反訴の解除条件は「本訴において相殺の抗弁が審理されること」であるのに「本訴において相殺の抗弁が認められること」と誤解している答案が結構あった。

(3)第3の点(訴え変更の手続をせず、予備的反訴として扱うことが処分権主義に反しない理由、その場合、反訴被告の利益を害さないか)

・114条2項の既判力を指摘し、反訴の訴訟係属が消滅しても反訴被告は反対債権の不存在にかかる既判力ある判断を得ることができるから、反訴被告の利益は害されない、と指摘できている答案は多かった

・しかし、予備的反訴に変更されることが処分権主義に反しない理由については、Yの合理的意思に合致するとだけ述べる答案が大半。この内容では高い評価は得られない。Yの合理的意思の内容を具体的に検討することが必要。

4 設問2(控訴審が相殺の抗弁を認めて本訴請求を棄却した第一審判決を取り消し、改めて請求棄却の判決をすることが、控訴したXに原判決の不利益変更となるか)

・114条各項の内容を正確に理解し、不利益変更禁止の原則を理解している答案は一定の結論を導くことができていた
・Yによる控訴を前提とした答案が見られたが、問題文で明確に除外してあるので論外
・114条2項の既判力の内容として、反対債権が相殺により消滅したとの判断に既判力が生じると記載している答案が相当数あったが、受験者の基本的な理解が疑われるものであり、高い評価は得られない
・比較が求められているのに比較しない答案、控訴審がとるべき判決の内容を明示しない答案があり、問題文に即しておらず論外

5 設問3(XのYに対する損害賠償請求事件の第一審が確定したあとに、YからXに対し不当利得返還を求めることは確定判決の既判力の作用とどのように関係するか)

・不当利得の要件、Yの言い分の要件へのあてはめについては大多数が正確に記載していた
・しかし、利得、損失、因果関係を個別に検討せずに、抽象的に「Yがその言い分にあるような主張をすることは認められない」と述べる答案が殆ど。
・既判力の消極的採用や積極的作用に絡めて、Yの後訴における請求棄却を結論づければ高い評価であるが、そのような答案は皆無。
・信義則や問題文で検討しなくてよいとされている学説を論じている者がいたが、論外

6 法科大学院に求めるもの
知識の量は試していない。判例丸暗記やパターン化された論証の答案は評価しない。考えさせる授業が求められる。
民事訴訟法の勉強をする際には常に要件事実を意識してほしい。
既判力、解除条件の趣旨や意義をわかっていないと話にならないので、しっかりと基本を意識してほしい。

7 その他
小さい字、潰れた字、書きなぐった字の答案は気を付けるべし。「けだし」「思うに」などの用語も使わないでほしい。

 

平成27年司法試験・刑事系科目問題

【平成27年司法試験採点実感・刑事系第1問】

1 出題の趣旨・2 採点の基本方針
出題の趣旨は、
・刑事実体法及びその解釈論の知識と理解を問う
・具体的な事実関係を分析して法規範を適用する能力・論理的な思考力・論述力を試す
ことにある。特に、甲の罪責を論ずるに当たっては、刑法の体系的理解が不可欠である。

3 採点実感
(1)全体について
・重要度を考慮し濃淡をつけて論述せよ。
・途中答案は例年に比べ少なかった。
・法的三段論本に意識せよ。ただし、重要度の低い点については、形式的な三段論法にこだわる必要はない。

(2)甲の罪責について
・建造物侵入罪を忘れるな。もっとも、厚く書く必要はない。
・窃盗罪・横領罪どちらの罪を成立させても良いが、正確な知識のもと説得的に論述せよ。
・窃盗罪の汽水時期と侵害の急白性の終了時期が一致しないことが意識されていない答案が大多数である。
・防衛行為ないし自救行為の必要性・相当性に当たっては、これらの要件が具体的に何を意味するかを明示せよ。
・構成要件該当事実の錯誤と、違法性阻却事由の錯誤の双方を論述できていた答案は少数にとどまる。

(3)乙の罪責について
・共謀共同正犯の成否の論述を怠るな。
・抽象的事実の錯誤について、業務上横領と窃盗罪の重なり合いにつき判断した判例はないことから、各自の基準を立てよ。

(4)丙の罪責について
・問題文中の事実について、占有の要件との関係における意味合いを示すと評価が高い
・不法領得の意思については、その規範を定立し、事実を当てはめて一定の結論に至ることが求められる。最判平16.11.30を踏まえると評価が高い。

(5)その他
・採点者に読まれることを意識せよ。読みやすい字で丁寧に書け。

4 今後の法科大学院教育に求めるもの
総論の理論体系を意識しつつ、検討の順序にも注意せよ。
判例学習には、具体的事案の内容を意識することが不可欠である。

 

【平成27年司法試験採点実感・刑事系科目第2問】

1 採点方針
[設問1]について
・「秘密録音」のテーマの下における通信傍受と、会話の一方当事者が相手方に秘密で行う会話録音との異同に注意せよ。
・毒樹の果実の議論である。違法収集証拠である第一次証拠から派生して得られた第二次証拠の証拠能力という典型的な問題はそのものではない。

[設問2]について
・検察官の立場に身をおいた論述が求められている

2 採点実感
[設問1]について
・強制処分と任意処分の区別についての議論が、197条1項但書の「強制の処分」の意義の問題であることを意識せよ。
・重要な権利説を採用する場合、判例の文言をどのように解釈するかを明示せよ。
・具体的事実を並べるな。事情を評価せよ。
・強制処分性の判断と、任意処分の相当性の判断に齟齬をきたさないように注意せよ。
・【捜査②】において、強制処分にあたるとした場合の結論に注意せよ。検証に当たらないとすれば、根拠規定を欠くから違法となり、検証にあたるとすれば、令状なく行ったことから違法となるのである。
・本件事案では、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律の検討は不要である。

[設問2]
◯前段について
・最判昭和41年7月1日の事案を踏まえた問題点の検討・論述が求められているが、仮に知らなかったとしても、基本的事項を理解していれば、必要な検討を加えることは可能である。
・最判昭和61年4月25日、最判平成15年2月14日も踏まえた議論が求められる。この際、同一目的・直接利用関係や密接関連性の具体的意味内容やその判断枠組みの理解が不十分な答案が少なくない。

◯後段について
・要証事実との関係で書面の記載内容の真実性が問題となるか否かの検討が必要となることについては、おおむね理解されていた。
・「原供述」「公判供述」「書面」の関係性に注意せよ。
・本件文書について、非伝聞とする理由付けは様々である。
・伝聞例外を検討するにあたって、要件が適切に検討できている答案は多くはなかった。

4 法科大学院教育に求めるもの
・生の事実に含まれた個々の事情あるいはその複合がが、法規範の適用においてもつ意味を分析・検討せよ。
・刑事手続きを動態として理解しておくことが重要である。

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