「第2の明るい廃墟」を生まぬために―診断士が見るショッピングセンターの行方とは

0

インターネットでは話題となっていた「明るい廃墟」こと『ピエリ守山』が先日リニューアルされました。

あのピエリ守山が「もう廃虚とは言わせない」とリニューアルオープンするので実際に見に行ってきました(Gigazine)

ピエリ守山は立地の悪さなどは指摘されていましたが、相次ぐ新規参入で客が激減するといった問題を抱えていました。

このようなショッピングモールの商圏の争いはピエリ守山だけに限りません。多くの郊外/地方ショッピングセンターが同様の課題を抱えているかと思います。先日は武蔵小杉に『グランツリー武蔵小杉』が開業、同じ沿線上にあるたまプラーザや南町田への影響も考えられます。

グランツリー武蔵小杉/初日12万人(流通ニュース)

既存のショッピングモールはどう在るべきなのか―。今日は中小企業診断士の視点から、吉田 尚志先生にショッピングセンターの行方についてお聞きしました。

■コンセプトが曖昧だと後手に回る

まず冒頭の『ピエリ守山』が「明るい廃墟」となったのは、どのような要因が考えられますか。

「要因はズバリ、競合との差別化が不十分だったからと言えます」

「ピエリ守山は、2カ月遅れで出来た『イオンモール草津』を筆頭に他のショッピングセンターに駆逐されたと言えるでしょう。なぜ駆逐されることになったのか。それを紐解くには、2つのキーワードを考える必要があります。

(1)コンセプト(特徴)

ピエリ守山の当初のコンセプトは「豊かな自然にかこまれて1日を“クルージング”」と言うものでした。これは「郊外なので自然があります、いろんなテナントあるから楽しいよ!」とも読み取れます。このコピー、顧客から見てどこに特徴があるといえるのでしょうか。コンセプトが曖昧なまま、ピエリ守山はイオンモール草津と同様にゼネラル型のテナント誘致を行っています。これが差別化出来なかった要因です。イオンモールは当時から全国的にブランド力を保有していたので、同じような戦略をとったピエリ守山が、後から出来たイオンモール草津の二番煎じ感が出てしまいました。

(2)商圏

また、大型ショッピングセンターの特長の一つとして、商圏が非常に広い事が挙げられます。その為、通常は“大型ショッピングセンターvs地域の店”と言う構図になりがちです。しかし、このエリアではショッピングセンターの乱立により“他SC vs ピエリ守山 vs 他SC”という構図になってしまいました。わざわざ顧客は、他のSCを素通りして特徴のないピエリ守山に行く必要がなくなってしまったのです」

■事業に必要とされる“物理的定義”とは

今後、既存のショッピングセンターが“第2の明るい廃墟”とならないためにどのような手立てが必要になるのでしょうか。

コンセプトを明確にするために、物理的定義を活用することです」

「コンセプトと言う言葉はかなり曖昧な表現に思われがちです。しかし、これは結局のところ「誰に、何を、どの様に」売るのかと言うことです。ドメイン設定と同義と捉えて良いでしょう。

先に見たピエリ守山のコンセプト「豊かな自然にかこまれて1日を“クルージング”」。このコンセプトには全くもって物理的な定義が含まれていません。「何を基軸とするのか」これを規定して売り出していくべきです」

「ただし物理的定義には、“思想の発展性”が備わりにくいと言うデメリットもあります。少し解りにくいかと思いますので、具体例を出します。

例えば、映画事業を営んでいる企業は、事業ドメインを「映画の放映」と定義するのが物理的定義です。この場合、映画の放映に事業が縛られて発展的なアイデア(美味しいポップコーンの提供など)は生まれにくいとことを差します。

ピエリ守山の二の舞を踏まないためには、イオンモールに代表されうゼネラル型ショッピングセンターとの圧倒的な差別化が必要と言えます。その為にはやはり物理的定義を織り込むのが一番早いのです。

リニューアルオープンしたピエリ守山もこれを認識している様です。GAPやH&M、ZARAを筆頭に明らかにアパレル関連のテナント誘致(全テナント中約半数がアパレル関連)をしています。売り場面積で言えば、大部分がアパレル関連です。これならば、他のSCとの差別化も可能です。

多数の有名アパレルブランド誘致に成功したピエリ守山が以前の活気を取り戻す日も近いかもしれません」

今日は地方のショッピングセンターの変化を見ながら、これから必要とされる要素を分析しました。いかがでしたか? ちょっと前までは週末ごとに足を運んでいた、ショッピングモールに久々に訪れてみると思わぬ発見があるかもしれませんよ!

中小企業診断士についてもっと知る

【画像】

photo by : Satoshi KAYA

Share.

About Author

Leave A Reply