スカイマークは再び浮上するのか―診断士さんに聞いてみた

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先日新興エアラインのスカイマークが、2年も経たずして米子空港から撤退するというニュースがありました。エアバスとの訴訟、JALとの提携難航など迷走が続いているスカイマーク。

消費者側から見ると、LCCとも違う、手頃な価格で適正なサービスを受けることができるエアラインは選択肢として残っていて欲しいものです。

今回は、中小企業診断士の吉田 尚志先生の解説のもと、競争の激しい航空業界の新規参入する企業についてお聞きしました。

 

■LCCの波にさらわれた関西国際空港

スカイマークが低迷を始めるきっかけは何だったのでしょうか?

「近年のスカイマークの迷走のきっかけはひとえにLCCと言う競合の出現です」

急速に日本でも拡大をしたLCC(ローコストキャリア)。簡素化されたサービスで低価格が売りです。

「スカイマークのサービスは、言うなれば“低コストで中価格なサービス”です。

しかし、スカイマークがこの様なビジネスモデルを構築する間にも、海外では“圧倒的低コストで低価格なサービス”が次々と生まれ、人気を博していました。これがLCCです。LCCはスカイマークにとって最も天敵になり得る存在であることは明白です。この点を深刻視しなかった経営陣の責任は非常に重いと言えるでしょう」

「実際、LCC元年と呼ばれた2013年からスカイマークは迷走を始めています。最も解りやすい事例として2012年~2013年の関西国際空港の例をご紹介しましょう。

2012年3月にスカイマークは関西国際空港に進出しました。東(羽田発着路線)で収益の約70%を稼ぐスカイマークにとって、関西国際空港進出は大きな成長の重要な一手と言えたのではないでしょうか。しかし、関西国際空港進出によって本格的に同路線で競合したのがLCC各社でした」

ジェットスター航空やピーチ・アビエーション、アジアから乗り入れる春秋航空など、関西国際空港はLCCの日本の総本山とも言える空港です。

「低価格が売りのLCCはスカイマークの天敵です。低価格のLCCに顧客は流れ、スカイマークの搭乗率は30%台まで落ち込み、わずか1年で関西国際空港からの撤退を余儀なくされたのです。スカイマークがLCCに、“駆逐された”と言える出来事であります」

「これをきっかけとして、スカイマークはA330~300と言う高価格機体の導入やキャビンアテンダントの制服刷新(ミニスカ制服とも話題になりました)に見られるように、サービス品質向上による差別化と言う名の、LCCからの“逃避戦略”を図っています」

 

■保有路線を活かした低価格化を

スカイマーク再建のためにはどのような手立てが必要なのでしょうか? 吉田氏は続けます。

「LCCとの差別化戦略を“逃避戦略”と表現したのには理由があります。これは、スカイマークと言う大きな体育会系の男が小さな犬を見て逃げ惑っている様に思えるからです。

現在LCCに奪われた、そしてこれから更に奪われるシェアはこの戦略ではほぼ不可能です。むしろ、志向すべきはLCCとの対決です。よって、今後はマス・マスタマイゼーションによるLCC化を果たす事がスカイマークの飛躍的な成長に繋がると考えられます」

スカイマークだからこそできるLCC化への戦略が必要なのですね。

「そもそも、“人の移動”こそが本質的な価値である航空業界はそれ以外のオプションを連ねすぎています。これを的確に捉えて、人の移動を本来の価格として、それ以外の部分をすべてオプション化したのがLCCと言う事業モデルです。

そして、スカイマークと日本のLCC各社との大きな違いは、保有路線の多さです。その為、もし仮にスカイマークがLCC化すれば、一気に日本最大のLCC会社へ変貌する事が出来るでしょう」

「ただし、これにはいくつかの条件があります。第1に、販売力の強化が必要です。LCC化を行い、搭乗率を効率的かつ効果的に高める為には、スカイマーク自身の販売力を高める必要があります。

第2に、燃費効率の良い航空機の導入です。そもそも低価格を売りにしている上に、短~中距離路線を1日に何度も飛ぶ事になるので、燃費効率は重要なファクターとなります。

これからは路線の開拓や高価格機体の購入ではなく、事業モデルそのものを変革する必要性がありそうです」

JALとのコードシェア便の模索などによって販売力強化の兆しを見せるスカイマーク。消費者の夏の旅行の選択肢にその名が上がることが期待されます。

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photo by : saku_y

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