弁理士 口述試験 徹底解剖!!

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弁理士 口述試験 徹底解剖!!|弁理士試験|資格スクエア

【目次】

口述試験概要

口述試験 試験データ

  1. 口述試験の合格率
  2. 合格基準点

 

口述試験 過去問

口述試験のポイント

  1. ①口述試験は会話のキャッチボール
  2. ②聞かれたことだけに回答する

 

口述試験 デモンストレーション再現

終わりに

 

最後の砦

外敵の侵入から本拠地を防衛するための最後の存在です。

弁理士試験にとっての最後の砦となるのが口述試験です。

短答式筆記試験・論文式筆記試験をくぐりぬけた後、最後に待ち構える口述試験を攻略してクリアすれば、晴れて弁理士試験最終合格ということになり、事実上弁理士になることができます。

知的財産のプロとしての活躍の場はもうすぐそこ、というところになります。

そこで、今回は弁理士になるための最後の砦として立ち塞がる口述試験についてお話ししたいと思います。

 

※短答式筆記試験・論文式筆記試験について気になった方は以下の記事をご参考ください。

   ▼参考記事:
   資格スクエア-『弁理士 短答式筆記試験 徹底解剖!!』
   資格スクエア-『弁理士 論文式筆記試験 徹底解剖!!』

 

口述試験概要

口述試験の基本的な情報は以下の表のとおりです。

試験日時 10月中旬~下旬

口述試験は10月中旬~下旬に行われます。(平成29年度は10月21日及び10月22日

口述試験は、論文式筆記試験(選択科目)が終わってからおよそ3ヶ月程度あり、そこから勉強を始めれば十分間に合います。

その一方で、論文式筆記試験の合格発表が終わってからは1ヶ月きっているため、論文式筆記試験(選択科目)が終わったらその出来に関わらず、合格へのわずかな望みを持ちつつ口述試験に向けた勉強を始める必要があります。

※参考:平成29年度弁理士試験における口述試験前後の日程
・論文(必須科目)試験日- 7月2日
・論文(選択科目)試験日- 7月23日
・論文 合格発表日    – 9月27日
・口述 試験日      – 10月21日・10月22日

試験会場 東京

口述試験は、東京の1か所で行われます。

ここまででかなりの少数に絞られていることもあり、東京や関東首都圏内にお住まいの方以外にとっては前泊が必要になります。

金銭的に負担にはなると思いますが、弁理士になるための最後の投資だと思うとよいかもしれません。

また、その際には、会場や前泊の場所、会場までの行き方をしっかり確認しておくことは重要です。

試験科目 工業所有権に関する法令
  -特許・実用新案に関する法令
  -意匠に関する法令
  -商標に関する法令

口述試験では、主要四法と呼ばれる特許法実用新案法意匠法商標法について出題されます。

論文式筆記試験と同様に、下三法(条約・著作権法・不正競争防止法)は科目には含まれません。

試験時間 各科目10分程度

口述試験の試験時間は、特許・実用新案、意匠、商標それぞれ10分の計30分の試験です。

短答式筆記試験や論文式筆記試験に比べれば、試験時間は圧倒的に短いです。

ただ、面接官と対峙する緊張から時間が長く感じてしまったり短く感じてしまったりすることはあるかもしれません。

試験方法 面接方式
受験者が各科目の試験室を順次移動する方法により実施する

口述試験では、試験官と対面し問答式による面接方式で行われます。

紙面に向かって1人で戦う短答式・論文式筆記試験とは異なり、双方向的なやり取りとなります。

知識をしっかり入れておくことはもちろん、コミュニケーション時の態度や様子・人柄も見られることになります。

こうした要素は急に変えることはできず普段のものが出てしまうのが大半ではありますが、面接等のやり取りが苦手な人は特に事前に練習してある程度慣れておくことでコミュニケーションの面は多少は改善できるはずです。

弁理士に関する知識以外の部分で足を引っ張らないためにも、事前の対策は求められます。

法文貸与 試験の際、試験室内にあらかじめ用意されている弁理士試験用法文を試験委員の許可を受けて参照することができる

口述試験では、弁理士試験用法文が貸与されます。

注意しなければいけないポイントは、試験委員の許可を受けてから参照するということです。

すなわち、あらかじめ目の前に用意されているからといって勝手に利用してはならないのです。

緊張で暗記していた事項が飛んでしまうのは仕方がないのですが、その際でも冷静さを失うことなく試験委員に許可を求めた上で参照することが必要です。

免除制度 特許庁において審判又は審査の事務に5年以上従事した方
  ➡口述試験が免除

口述試験でも上記のように、特許庁において審判又は審査の事務に5年以上従事した方に免除が許されます。

ただ、特許庁で働いた経験のある方はごく少数であり、ほとんどの方は免除制度の恩恵にあずかることはなく口述試験を受けることになると思います。

口述試験を免除されないからといって心配する必要はありません。

口述試験の合格率からも分かるように、短答式筆記試験・論文式筆記試験の両方を突破した方であれば免除されなくても口述試験を突破するのはかなり容易であると言えます。

 

口述試験 試験データ

上記の説明で、口述試験がどのようなものか、分かっていただけたと思います。

次は、実際に口述試験がどれくらい難しいものなのかや合格基準を過去の弁理士試験のデータを見ながら考えていきたいと思います。

口述試験の合格率

口述試験 合格率の推移

上記のグラフは、口述試験の合格率の推移を表しています。

口述試験の合格率の平均は88.0%であり、およそ10人受ければ9人は受かるという計算になります。

ここ5年の平均合格率は91.5%と近年は特に易化の傾向にあります。

合格率がかなり高いですが、難関の短答式・論文式筆記試験を合格して口述試験までたどり着いたことを考えればこの合格率の高さはある程度納得できます。

逆に言えば、口述試験までたどり着く力があれば口述試験はもう手中に収めたと言っても過言ではないのです。

また、合格率の標準偏差を出すと10.2%になります。

すなわち、年による合格率の変化はそれなりに大きいことを意味しますが、これは平成21年度あたりから一時期難化傾向にあったが近年再び易化傾向にあることが影響していると考えられます。

 

※弁理士試験全体の試験データについて気になった方は以下の記事をご参考ください。

   ▼参考記事:
   過去の弁理士試験データ
   ・受験者数
   ・合格者数
   ・合格率

 

合格基準点

合格基準 採点基準をA、B、Cのゾーン方式とし、合格基準はC評価が2つ以上ないこと。

口述試験では、特許・実用新案、意匠、商標の3科目のうち2つ以上C評価がないことが合格基準と定められています。

すなわち、合否に関して以下のような対応表が成り立ちます。

特許・実用新案
意匠
商標
合否
A
A
A
合格
A
A
B
合格
A
B
A
合格
B
A
A
合格
A
B
B
合格
B
A
B
合格
B
B
A
合格
A
A
C
合格
A
C
A
合格
C
A
A
合格
B
B
B
合格
A
B
C
合格
A
C
B
合格
B
A
C
合格
C
A
B
合格
B
C
A
合格
C
B
A
合格
B
B
C
合格
B
C
B
合格
C
B
B
合格
A
C
C
不合格
C
A
C
不合格
C
C
A
不合格
B
C
C
不合格
C
B
C
不合格
C
C
B
不合格
C
C
C
不合格

 

上記のように、Cが1つまでなら合格になります。

仮に、Aを1つとっても残り2科目がCなら不合格となってしまいます。

合格点を見極めながら、口述試験の勉強に取り組む必要があります。

 

口述試験 過去問

口述試験は、面接方式での試験となります。

すなわち、試験官から出された質問に対して会話を通じて適切に回答することになります。

ここでは、過去の試験を通して口述試験について深掘りしていきたいと思います。

 

口述試験では毎年、出題された問題テーマが公開されます。

それらに目を向けてみると、同じあるいは似たような問題テーマが出題されることが多々あります。

この理由は、論文式筆記試験の過去問を分析した際にもお伝えしたように、それぞれの科目について重要な概念や基本的な用語は決まっているからです。(参照:資格スクエア-『弁理士 論文式筆記試験 徹底解剖!!』)

結局のところ、質問の仕方を変化させながら重要な概念は何度も何度も繰り返し問われるのです。

参照)平成13~29年度の口述試験(必須科目)の最多出題頻度キーワード
      -特許・実用新案科目…「特許無効審判」
      (H13、H14、H16、H18、H19、H20、H21、H22、H23、H24、H25、H27の12回
      -意匠科目…「侵害」「意匠権侵害」「権利侵害」
      (H14、H15、H16、H17、H18、H19、H20、H21、H22、H24、H25、H29の12回
      -商標科目…「マドリッド協定の議定書(及びそれに)に基づく特例」
      (H14、H15、H16、H17、H19、H20、H21、H22、H23、H24、H25、H26の12回

※口述試験における問題テーマの出題頻度についてより詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。

   ▼参考記事:
   資格スクエア-『弁理士試験過去問 徹底分析‼』

 

口述試験のポイント

これまでの説明で、口述試験がどういうものか、どの程度の難易度でどんな特徴があるのか理解していただけたと思います。

ここでは、口述試験において覚えておくべきポイントについてお話いたします。

ポイントは2つあります。

弁理士試験 口述試験 ポイント

①口述試験は会話のキャッチボール

口述試験は、他の2つの試験とは異なり、相手ありきの試験です。

したがって、双方向的なコミュニケーションであることを忘れてはなりません。

短答式・論文式筆記試験は、数を絞る試験です。

それに対して、口述試験は受からせる試験です。

したがって、もし多少詰まってしまったとしても試験官は待ってくれます。

一番よくないのは、黙ってしまうことです。

自分が知識があること、弁理士にふさわしいことを示す唯一の方法は声に出しての回答であり、黙ってしまってはせっかく知識を持っていてもそれが試験官には伝わらないのです。

仮に、間違えたりしてももう一度聞き返してくれたり助け舟を出してくれたりすることもありますから、試験官との対話を楽しむくらいの余裕で臨めると良いのです。

 

②聞かれたことだけに回答する

口述試験では、試験官の手元に各々の質問に対する合格基準があります。

これは、Aという質問に対して、Bが答えられていれば次の質問に進んでよいという基準です。

したがって、Aという質問に対してはBを答えなければならなく、さらにいうとB'、B''、、、まで答える必要はないのです。

例えば、「〇〇の際に□□という規定はありますか?」というYES/NOを求められた質問に対しては、「あります/ありません」で答えればよく、その際の時期的要件などの追加情報までは必要ないのです。

重要なのは、試験官に問われたことに忠実に回答することです。

仮に条件まで求められているときでも、その際は試験官は続けて「では、その時の時期的要件は何ですか?」のように質問しますからそこで答えれば全く問題ありません。

また、これをうまく利用することもできます。

それは必要最小限に回答をとどめるということです。

例えば、解答が3つあるうち1つ回答することができれば次に進んでもよいという基準が設定されている場合などでは、あえてすべて回答しようとせず1つだけ言うのです。

この状況なら1つの回答で次に進めますし、仮に2・3つ求められている場合は試験官はさらに「他にありませんか?」と質問してきますから問題はありません。

逆に、この状況で全て回答しようとしてどれか1つが間違えていた場合はかえって試験官は次に進めることができなくなるのです。

このようなリスクを避けるためにも必要最小限に応えるテクニックは利用する価値があるかもしれません。

ただ、忘れていけないのは、あくまで全てに回答できるように準備をしておくことが第一で、それを怠ってはいけないということです。

 

口述試験 デモンストレーション再現

上記の説明で、口述試験の重要な点を理解いただけたと思います。

ここでは、実際に口述試験がどのように行われるかを知っていただきたいと思います。

以下は、模擬的に実際に行われた特許法の口述試験のデモンストレーションを再現したものですので、上記のポイントも踏まえつつ見ていただけらなと思います。

特に、青文字下線部分にはポイントやテクニックが隠されておりタップorクリックするとそれらが表示されますので、何が重要でどのようなテクニックが隠されているのか考えながら見ていただけると幸いです。

 

受験生「○○○○(氏名)と申します。よろしくお願いいたします。」入室の際は部屋を開けてくれる方がいるので、そのまま入りお辞儀をする

試験官「はい、お座りください。」指示されてから席に着く

受験生「失礼いたします。」

試験官「はい、こちらの方では今回は特許法の方を始めさせていただきます。緊張せずにリラックスしてお答えいただければと思います。」

受験生「はい。よろしくお願いします。」

試験官「それでは、開始します。本日はですね、出願人の救済という観点からお伺いいたします。まずですね、出願の分割とはどういった手続ですか。」

受験生「はい。……。条文を参照してもよろしいでしょうか?」条文を参照したいときは試験官にその許可を求めてから

試験官「はい、ご覧ください。」

(貸与された法文集を参照する)

受験生「はい。出願の分割とは、特許出願人が2以上の発明を包含する特許出願の一部を1又は2以上の新たな特許出願とすることです。」 条文を見ながら回答してはならず、必ずしっかり確認したうえで法文集を閉じて戻してから回答する

試験官「はい、そうですね。それでは、次にですね、分割の効果とは何でしょうか?」

受験生「はい。分割の効果は遡及効を得られるということです。」「遡及効」等の使い慣れた言葉も条文に即して回答する

試験官「うーん、条文に即して言ってください。」

受験生「はい。分割の効果は、新たな特許出願は元の特許出願をしたときにしたものとみなされます。」

試験官「はい、そうですね。それではですね、次の質問をします。元の特許出願の時に遡及しない規定はありますか?」

受験生「いいえ。ありません。」

試験官「本当にありませんか?」このような場合では自分の解答が間違っていることがほとんどであり、試験官の誘導にのった方がよいことが多い

受験生「失礼しました。あります。」

試験官「はい、ありますよね。それではですね、こちら例えばどのような規定になりますか?」

受験生「はい。29条の2に規定する他の特許出願に該当する場合、または実用新案法3条の2に規定する特許出願に該当する場合は遡及しません。」解答が複数ある場合にあえて1つだけ回答するというテクニック

試験官「はい、他にありませんか。」

受験生「はい。他には30条3項の新規性喪失の例外の手続規定については遡及しません。」

試験官「はい、結構です。それでは次の質問に移りますね。それではですね、今度は出願の変更についてお聞きします。こちらなんですけども、特許出願から実用新案登録出願に変更することはできますか?」YES/NOで答える問題はYES/NOで答え、それ以上答えなくてよい

受験生「はい。できます。」

試験官「はい、そうですよね。それでは、そのような時期的な要件にはどのようなものがありますか?」

受験生「はい。特許出願についての最初の拒絶査定謄本送達日から3月以内であって特許出願の日から9年6月以内であれば出願の変更を行うことができます。」

試験官「はい、その通りです。それではですね、実用新案権の存続期間についてお答えください。」

受験生「はい。出願から10年です。」

試験官「はい。条文に即してもう少し具体的に言っていただけますか?」

受験生「はい。出願の日から10年です。」時期的要件では「日」なのか「時」なのかといった細かい部分まで正確に条文に即して回答する

試験官「はい、そういうことになります。それでは次の質問に移ります。特許出願から実用新案登録出願に変更する際の時期的要件は何故実用新案権の存続期間の10年ではなく特許出願の日から9年6月以内としているのでしょうか?」

受験生「申し訳ありません。もう一度問題文を読み上げていただいてもよろしいでしょうか?」問題文が長い場合はもう一度読んでもらうよう頼んでも構わない

試験官「はい、それではですね、もう一度言いますのでよく聞いていてください。」

受験生「お願いします。」

試験官「それではいきますよ、特許出願から、特許出願から、実用新案登録出願に、変更する際の時期的要件、時期的要件はですね、何故、実用新案権の存続期間の、10年ではなく、特許出願の日から、9年6月以内としている、その理由をお答えください。」

受験生「はい。実益がないためです。」

試験官「はい、もう少し詳しくお願いできますか。」

受験生「はい。実用新案登録出願へ変更された出願が登録されるには一定期間を要するので出願から9年6月を超えて変更を認めたとしても登録されるときにはすぐに存続期間が満了してしまうので、変更を認める実益がないためそのように規定しております。」

試験官「はい、その通りですね。それではですね、こちらですべて終了になります。次の意匠法頑張ってください。」

受験生「ありがとうございました。」

 

 

上記はあくまで一例に過ぎないですが、ほとんどの場合このような形で進んでいきます。

上記のようなやり取りが10分で行うことができれば、基本的には合格ラインに達したと考えて差し支えありません。

実際の口述試験では、7~8分経過すると一度ベルが鳴ります。

このベルが鳴るまでに終えた(=8分以内に終えた)場合、その後合否に関係のない関連した質問(将来について等雑談)をされることがありますが、ここまで到達したら基本的に合格と言えます。

ベルが鳴った後でも10分以内に用意された全ての問題を終えれば合格に達するので、焦る必要はありません。

ただし、10分を過ぎた場合はきわどいラインに入ってきます。

試験官が続けてくれる場合もありますが、もし切り上げられてしまった場合はC評価がつくかもしれません。

また、停まってしまった問題をスキップした場合で、最後まで終えてそのスキップした問題に戻ってきたときは、その1問に回答できれば合格ということになります。

このような合格ラインはあくまで目安なので参考程度に利用していただき、一番はどんな質問をされても回答できるような準備をしていただくことになります。

終わりに

今回は、弁理士試験の中で口述試験についてお伝えしてきました。

油断は禁物ですが、難関の短答式・論文式筆記試験を突破し最後の砦である口述試験に到達するだけの力があれば、かなりの高確率で合格を勝ち取ることができるということが理解していただけたと思います。

“弁理士”と名乗るための最後の砦である口述試験を突破し、目標の弁理士試験の合格を手にしていただけることを願っております。

 

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