はじめに
弁理士として特許事務所や企業内知財部門で働く場合、どのくらい残業があるのか気になりますね。
今回は、弁理士の残業時間の現実をご紹介したいと思います。
目次
1 特許事務所と企業内弁理士、残業時間が多いのはどっち?
弁理士、といっても特許事務所か企業内知財部門のいずれで働くのかで労働環境は変わります。
特許事務所や企業により状況は異なりますが、一般的なケースをご紹介したいと思います。
(1)特許事務所の場合
まず、特許事務所で弁理士として働くとなると、管理職待遇、もしくは基本給+歩合制になる場合が多くなります。
自分の所属する事務所がどのような給与体系になっているか、改めて就業規則を確認してみましょう。
管理職待遇とは、グループのリーダーや特許事務所のパートナーに昇格するケースが多くなります。
つまり、「残業」という概念がなくなる場合が多いです。
また、歩合制とは、特許事務所によって条件はいろいろですが、担当した案件の報酬の一定の割合を給与として受け取る、という給与体系です。
仕事をすればするほど受け取る給与の金額が大きくなる訳ですね。
このように歩合制の場合も残業という概念がなくなります。
自分が担当する仕事量を減らせば残業せずにすみます。
一般的に、特許事務所で弁理士として働く場合は、どのように仕事をするかは個人に任せられる場合が多く、一方でクライアントの対応は任されるために、就業時間をクライアントに合わせる必要がある場合もあります。
段取りよくクライアントとコミュニケーションを取って仕事を進められればクライアントに振り回されることもありませんが、実際のところ、急な依頼が多く、深夜まで仕事をしなければならないことも少なくありません。
一方、就業時間という概念がない特許事務所も多く、仕事さえしていれば特許事務所に出社してもよし、自宅で仕事をしてもよし、という自由な労働環境を採用するところもあります。
自由な労働環境の特許事務所ほど歩合制の場合が多く、仕事をすればするほど労働時間は長くなる(残業が多くなる)ことになりますが、一方で手取りも多くなる、という構図になります。
(2)企業内知財部門の場合
企業内知財部門に弁理士として勤務する場合は、他の知財部門の社員と労働環境が変わることはほとんどありません。
一般的に、企業内知財部門は、管理部門扱いになりますので、訴訟や突発的な事案が生じない限り、同じ会社組織の中では比較的残業が少ない部門になります。
最近は、生産性を重視される場合が多くなり、会社の取り組みとして残業をしないように業務の仕方を工夫することが求められることも多くなってきました。
グローバル企業の知財部門の場合は、現地の特許事務所と電話会議やTV会議をすることも多く、時差の関係で早朝出勤や残業が発生する場合があります。
このような場合、残業時間が発生しますが、フレックス制をとっている企業も多く、就業時間を調整できる場合が多いです。
知財部門で弁理士として働くとしても、他の知財部門の社員と勤務環境は変わることはありませんので、管理職に昇格した場合は、残業時間という概念がなくなる場合が多いようです。
部下のフォローをする時間だけ、遅くまで仕事をしなければならない場合もあります。
一般的なサラリーマンと同じですね。
2 ワークライフバランスと弁理士の仕事
上記のように企業内の知財部門で弁理士として働く場合は、その企業の制度に従うことになるので、一般的なサラリーマンと同じように企業毎に環境は異なりますし、個別に特別な勤務制度を希望することは難しいと思います。
特許事務所で弁理士として仕事をする場合、クライアントからの信頼が厚いほど、依頼される仕事も多く労働時間(残業時間)も増える場合があります。
一方で、個人に裁量を任される場合が多いので、自分のペースで仕事をすることができるケースも多いです。
在宅勤務を認める場合も多いので、例えば、子育て中の方もキャリアを中断しなくてすむわけです。
どのように仕事を進めることができるかは、特許事務所の考え方による部分が多いです。
現在、特許事務所に勤務している方は、先輩の弁理士に現状を確認してみるのも一案です。
また、弁理士試験に合格してから特許事務所に入所する場合は、入所するときに所長先生やすでに勤務している弁理士先生に自分の希望を伝えることも重要です。
弁理士資格があれば、自分が希望する仕事スタイルを認めてくれる組織を選ぶことができますし、ワークライフバランスをとることも可能になるのです。
3 サマリー
いかがだったでしょうか。
弁理士の就職先は大きく特許事務所と企業内知財部門に分けられます。
特許事務所で働く場合、管理職待遇、もしくは基本給+歩合制となることが多いです。
管理職待遇や歩合制であれば、残業という概念はなくなるでしょう。
また、企業内知財部門で働く場合、一般的な会社員に比べると残業は少ないようです。
ただ、グローバル企業で働く場合は、早朝出社などフレックスな働きか方を強いられることもあります。
4 まとめ
・特許事務所で弁理士として働くとなると、管理職待遇、もしくは基本給+歩合制になる場合が多い。
・自由な労働環境の特許事務所ほど歩合制の場合が多く、仕事をすればするほど労働時間は長くなることになりますが、一方で手取りも多くなるという構図になっている。
・一般的に、企業内知財部門は管理部門扱いになるので、訴訟や突発的な事案が生じない限り、同じ会社組織の中では比較的残業が少ない部門である。
・特許事務所で弁理士として仕事をする場合、クライアントからの信頼が厚いほど、依頼される仕事も多く労働時間(残業時間)も増える。
・特許事務所では、個人に裁量を任される場合が多いので、自分のペースで仕事をすることができる。
・弁理士資格があれば、自分が希望するワークライフバランスをとることも可能になる。