未経験からはじめる弁理士キャリア

未経験からはじめる弁理士キャリア


知財業界に携わったことがない方で弁理士試験を目指そうとしている方の中には、実務経験がなければ弁理士試験に合格しても仕方がないのでは?と不安に思っていらっしゃる方も多いと思います。

いえいえ、弁理士試験に合格できるほどの知識があれば、この知的財産業界では立派に業務を行うことができます。

今回は、弁理士試験に合格すれば未経験でも未経験じゃない、そんな知的財産関係の実務の実態をお話したいと思います。

1 論文試験の事例問題が実務に直結する

論文試験の問題の種類は、大きくは①法趣旨を記述する②事例に則して項目を列挙し論点を記述する、という2種類があります。

まず①の法趣旨を問う論文試験対策ついては、基本書を理解し、アウトプットするほかに攻略方法はありません。

②の事例問題についても地道に答案練習をすることが合格への近道ですが、さらに未経験の方にとっては格好の「実務経験を積む」よい機会になります。

(1)特許事務所の実務経験で活かす

例えば、弁理士として特許事務所で働く場合、特許庁への特許等の出願書類である明細書等の作成が主な業務になります。この明細書の作成においては、発明者から発明を引き出し、その情報を文章に整える必要があります。

実務においては、技術的な発明のポイントを見出すだけでなく、出願人は発明者本人かそれとも適切に発明者から特許を受ける権利を譲り受けている人もしくは法人であるかどうか、製品は発売されていないかどうか、といった情報を正確に引き出し把握しなければなりません。

なぜこのようなことを確認しなくてはならないか、については弁理士試験の勉強をしている方にとっては簡単な論点ですね。

特許を受ける権利の適切な承継、会社が出願する事例では職務発明、すでに発売されている製品についての特許出願の場合は新規性喪失の例外適用の可否、などを検討しなければならないことはすぐにわかります。

(2)企業の知的財産部門で活かす

また、企業の知的財産部門に所属していると、「他社競合会社の製品が当社の特許侵害している」という相談がよくあります。この場合、まず何を確認しないといけないか、については、論文試験の勉強をしている方は、すぐに項目を挙げることができますね。

特許権侵害の事例問題は頻出問題なので、模擬試験でもよく出願されます。

もし同じような事例問題が出たときにどのような答案構成をするか、を考えながら開発者からの相談を検討すると漏れのない検討ができます。

2 未経験でもハンディにはならない

このように、知的財産に関する業務においては弁理士試験の勉強がすぐに役立ちます。

弁理士試験で獲得した知識が実務にすぐに役立つので、例えば、特許事務所に転職する場合、未経験ということがハンディになる確率はかなり低くなります。

また、未経験でも特許事務所に勤務する場合は、弁理士資格を持っていると給与のほかに手当がもらえる場合が多いです。未経験で手当がもらえる職種は極めて珍しいのではないでしょうか。

また一般企業でも弁理士試験に合格していると未経験でも知的財産部門に転職しやすい上に一部の企業では資格手当が支給される場合があります。

3 論文試験の勉強は文章構成力アップにも

未経験で弁理士としてキャリアをスタートする前でも、論文試験の対策をすることで日ごろの業務においてスキルアップ効果が期待できます。

報告書に限らず普段の業務において文章を書くときは、「相手に言いたいこと」が相手に伝わるように作成しますね。これはまさに論文試験の解答で心がけることと同じことです。

つまり、「自分が理解していること」を採点官に理解しやすいように作成することと同じなのです。

例えば、皆さんは、普段の仕事で報告書を書くことが多いのではないでしょうか。この時、大項目、小項目、報告内容が多い場合は中項目に分けて、項目立てして作成しているでしょうか。

弁理士試験の論文試験で訓練する「問題文から課題を抽出し、項目を列挙し答案構成すること」は、理路整然と報告書を書くことと同じです。報告書を作成するときも論文試験のように答案構成の要領で作成してみてください。

意外にも早くかつ整然と報告書が作成できることに気がつくと思います。

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