弁理士試験の難易度は高い!?合格までの道と合格後の未来について解説

弁理士試験の難易度は高い!?合格までの道と合格後の未来について解説

はじめに

特許の申請など様々な知的財産を守る資格である弁理士。法律的な専門資格ではあるため、自分は勉強しても合格できないだろうと思っていませんか?
弁理士の資格は、しっかり勉強して試験に臨めば誰でも合格できる可能性がある資格です。
既に社会人として働いており、法律系の専門知識がない方でも十分に試験に合格できる可能性があります。
本記事では、弁理士試験の難易度だけでなく、弁理士試験に合格するための方法についても解説しています。
ぜひ最後までお読みくださいね。

1、弁理士ってなに?

(1)弁理士とは知的財産を守る仕事

弁理士の業務は、特許の申請だけでなく、商標、意匠の登録など知的財産を権利化するサポート業務です。
お客さまが丹精込めて作成した商品を権利化するために、必要な書類をまとめたうえで、申請をします。
申請の際は、その知的財産が過去に申請されたものと類似性の有無や、その技術が権利化するに値するものであることを証明しなければなりません。
このため、お客さまにどのような思いでその知的財産を作ったのかをヒアリングし、自分自身もその技術に対する専門的な理解が求められます。
法律に関する知識だけでなく、さまざまな分野の知識を問われ、どこを主張すれば権利化できるかを考えて申請しなければいけないため、スキルも問われる仕事といえますね。

(2)弁理士試験の概要

①弁理士試験のスケジュール

弁理士試験は、短答式試験と論文試験、口述試験の3つに分かれており、以下のスケジュールで開催されます。

・願書交付期間:3月上旬〜4月上旬(インターネットは2月上旬〜3月下旬)
・願書受付期間:3月下旬〜4月上旬
・受験手数料:12,000円
・1次試験(短答式):5月
・2次試験(論文式):7月 ※短答式試験の合格者のみ
・3次試験(口述式):10月 ※論文式試験の合格者のみ

チャンスは年に1回のみ。試験に合格しないと次の試験にはすすめません。

②各試験の内容

それぞれの試験の内容は以下の通りです。

・短答式試験:5肢択一式によるマークシート
・論文式試験:論文にて自分の考えを明確にする
・口述式試験:面接方式でコミュニケーションの有無を問われる

このように各試験で出題形式が異なるため、それに応じた対策が必要です。

③受験層

弁理士試験は、幅広い年代の方や、様々な職業の方が受験されています。
試験を受けている年齢は、30代の方が全体の約3割を占めており、続いて40代の方が多いです
また、職業別で受験されている方を見ていくと、会社員が全体の半分を占めているだけでなく、何かしらの職業に就かれている方が9割を占めます。
このため、弁理士の試験はある程度の社会経験を積んだ方が最も受験されているといえるでしょう。

④合格率

弁理士試験の合格率は過去3年分を見ると以下の通りです。

・平成30年:7.2%
・平成29年:6.5%
・平成28年:7.0%

各年度の合格率を見てもわかる通り、合格率は10%を切っています。

2、弁理士(弁理士)に合格するための難易度は高い?

弁理士試験は、司法試験ほどではないですが、難易度の高い試験となっています。

(1)合格率は10%未満

弁理士試験の合格率は10%未満で、例年6%~10%の間で推移しています。
過去の合格率の推移は以下の通りです。


受験者数は低下していますが、合格率は連動していないことが分かりますね。
志願者数が減少すると、合格率は上昇傾向になることが多いのですが、弁理士試験においては、その傾向は見られません。
ちなみに合格率が停滞している原因は、弁理士の就業人数が増加していることであると言われています。
弁理士の数は現在1万人を超えているため、弁理士の数が増加すると、1人あたりの出願業務取り扱い件数が減少します。

今後も弁理士の数は縮小する傾向にあると予想されるでしょう。
また、弁理士試験は誰でも受験できる試験であるため、法律的な知識が十分でない方も受験しているからです。
合格のためには、勉強や対策をしっかり行わなければ合格できません。

(2)弁理士試験は何年もかけて最終合格する人が多い

弁理士の試験は、受験初回で合格する人は少なく、何年もかけて合格している人が多い試験です。
以下の図は、平成30年の弁理士試験に合格した人が過去に何回弁理士試験にチャレンジしたかを表したものです。


平均受験回数は4.42回です。
過去に1~5回の試験を受けられている方が最も多いことが分かりますね。
各試験に合格すると翌年はその試験が免除されるため、1年で全ての合格を目指すのではなく、何年かに分けて合格されている方の方が多いようです。

(3)試験ごとの合格率を比較する

弁理士試験は、短答式試験と論文式試験、口述式試験の3つに分かれており、それぞれの試験の合格率は以下の通りです。

短答式試験と論文式試験の合格率が低いことが分かりますね。
逆に口述式試験や9割以上の方が合格しています。
短答式試験と論文式試験の対策をいかにきちんと行うかが合格率に大きく関係していると言えるでしょう。

(4)短答式試験の難易度が高い

弁理士試験の中でもっとも難易度が高いのは、短答式試験といわれています。
平成29年度の短答式試験の通過率を見ても、その難易度の高さはわかりますよね。

①短答式試験の通過率

平成30年と平成29年の短答式試験の合格率は以下の通りです。

例年、1割〜2割の方しか通過していないことがわかりますね。
逆を言えば、受験者の8割前後はこの短答式試験で脱落します。

②短答式試験の出題形式

短答式試験は、5肢択一式のマークシート形式で、全60問あります。各出題科目の出題数と配点、合格基準点は以下の通りです。

全体の基準点だけでなく、全ての科目で基準点を上回らないと、試験を通過できません。
科目数が多いため、とても幅広い知識が問われる試験であるといえるでしょう。

③短答式試験が難しい理由

短答式試験が難しい理由は、問題の出題のされ方にも理由があります。
5つの選択肢の中から正しいと思われるものを選んでマークしていくのですが、正確な知識がないと正解を選べません。

例えば、以下のように出題されます。

・「以下の文章のうち正しくないものはいくつあるか」

そして、問題1つの文章がとても長いのです。
このため、マークシートとはいえ、勘や消去法で解けるような優しい問題ではないため注意が必要です。

(5)論文式試験の高難易度

論文式試験は、解答欄がとても長い記述式の試験のため、かなりの高難易度です。

①論文式試験の合格率

論文式試験の合格率は2.4割前後です。
論文式試験は、短答式試験を合格した人しか受験できませんが、そのうちの2割しか通過できないため、いかに難易度が高い試験であるかが分かりますね。

②論文式試験の出題科目

必須科目と選択科目に分かれており、出題形式や試験時間などは以下の通りです。

特に必須科目は、いずれの科目も基準点を下回ってはならず、合計も基準点を超える必要があります。
そして、全ての科目が合格基準点ぎりぎりだと、合計の合格基準点を上回れないため注意しましょう。

3、弁理士試験を対策する!合格するには?

(1)勉強を開始するスケジュール

弁理士試験に合格するためには、勉強のスケジュールをしっかり組み立てて、行う必要があります。
弁理士の試験の合格に必要な勉強時間は、3,000時間ともいわれており、とても膨大な時間を勉強に充てなければなりません。
具体的には、以下の流れで勉強するとよいでしょう。

・試験の1年前:勉強開始
・試験の4カ月前:短答式試験の集中対策
・短答式試験終了後:論文式試験の集中対策
・論文式試験終了後:口述式試験の集中対策

また、勉強開始の開始時には、参考書やテキストを一通り読み、弁理士試験がどのような試験なのかをおおまかに把握するところから始めます。
そして、その後過去問を解いていき、間違えたところは参考書で確認をして知識を磨いていくと効果的です。
言葉にすると簡単なように感じますが、弁理士試験はとても専門的なことを問われる試験ですので、ひたすら問題を解いて暗記して復習しての繰り返し。
最初の方は分からない単語が多く、理解がなかなか進まなくてももどかしさを感じてしまうかもしれませんが、根気よく勉強していきましょう。

(2)試験の勉強時間を捻出する方法

弁理士試験を合格するためには、時間を捻出して勉強時間を確保する必要があります。
平日は2~4時間、休日は8~10時間が目安で、少なくとも週に20時間の勉強時間は必要です。
弁理士試験に合格された方の約9割が、何かしらの職業に就かれている社会人の方。
みなさん限られた時間を有効に使って勉強を進めていらっしゃいます。
具体的には以下の方法が考えられます。

①隙間時間を活用する

平日は、お仕事をされながら勉強を進めていく必要がありますが、まとまった勉強時間を確保しようとすると失敗します。
空いた時間を有効に使って、1日の勉強時間が合計で2~4時間は確保できるようにしましょう。
日常生活における隙間時間といえば、朝の通勤の時間やお昼休み、帰宅後から終身までの時間などさまざまです。
空いた時間があれば少しでも勉強できるように日ごろから勉強できる環境を整えておくのも有効ですね。

②朝の時間を活用する

朝早起きして勉強する時間に充てると、効果的に学習を進めていけます。
その理由は、以下の通りです。

・起床した直後は脳がリフレッシュしている状態
・朝の時間帯は会社から連絡が来る可能性が少ない

このため、集中した環境で勉強できるのが大きな理由です。
夜に勉強をしようと思っていても、残業が発生したり、疲れが溜まっていたりするとなかなか思うように勉強できませんよね。
そこで、朝早起きして勉強時間に充てることで、効果的に学習を進めていくことが可能です。

(3)試験ごとの対策

それぞれの試験には、試験の内容に応じた対策が必要です。

①短答式試験

短答式試験は、科目ごとの要点を理解して問題を要領よく解いていく力が問われます。
短答式試験は、多くの科目からの出題がありますが、特に主要4科目と言われる以下の科目を集中的に勉強していきましょう。

・特許、実用新案法
・意匠法
・商標法

これらの科目で得点できないとまず合格できません。
合格するためには、条文を一通り読んだ後に、過去問をひたすら解き、間違えたところは参考書を使って復習していく必要があります。
短答式試験は、問題文が長いため、短時間で問題文を読んで理解できるように、実践的な問題を反復で解き、出題形式に慣れるようにしましょう。

②論文式試験

論文式試験は、自分の考えを明確に示せるようにトレーニングをしなければなりません。
そのためには、短答式試験の勉強で身に着けた知識を元に、自分の考えを論文にまとめられるように、練習が必要です。

③口述式試験

口述試験は、弁理士として必要なコミュニケーション能力を見られる試験ですので、考えを言語化するトレーニングが必要です。
回答を口で説明する練習だけでなく、日ごろから要点を整理して論理的に話すように意識すると良いでしょう。

4、弁理士試験に落ちてしまう人の特徴

弁理士試験に落ちてしまう人には、特徴があります。
勉強を進めていく際は、その特徴に当てはまれないようにしましょう。

具体的には、以下の特徴が挙げられます。

(1)教材にあれこれ手を出す

落ちてしまう人は、色々な参考書にあれもこれもと手を出してしまい、中途半端に終わってしまう特徴があります。
逆に合格している人は、これと決めた参考書を徹底的にやりこむ傾向にあります。
参考書やテキストの違いは、内容の説明の仕方くらいで、内容自体には大きな違いはありません。
このため、自分に合ったテキストや参考書を探して、徹底的にそれをやり込む方がはるかに効率的であるといえます。

(2)過去問を単なる問題集としか考えていない

過去問を単なる演習問題としか考えていない人は、過去問を自分の力を試すためにしか使わないばかりか、同じ問題だからやってもしょうがないと考えて、解かない場合もあります。
しかし、合格する人は、過去問をしっかり解いたうえでその問題を分析し、少しでも弁理士試験について理解を深めようとします。
出題された意図や、どのような聞き方で問われるかなど、試験の「本質」ともいえる部分を理解できている人が合格するといえますね。
また、過去問を積極的に解くことで、テキストや参考書のどの部分を見たらよいかが分かるようになります。
効率的に学習をするためにも、過去問は弁理士試験の理解を深めるツールとして積極的に活用していきましょう。

(3)条文に立ち返ることを怠る

問題を解いた後に、回答の解説だけを読んで満足してしまう人は、落ちてしまう傾向にあります。
反対に、合格する人は問題ごとに法文集を開く作業を怠りません。
条文に立ち返ることを癖づけている習慣を身に着けることで、理解を深めていく傾向にあります。
どんな問題も全て条文を根拠に出題されるため、回答の解説で満足するのではなく、条文に立ち返る癖を付けましょう。

(4)細かく完璧にやろうとする

最初から完璧に理解しようとする人は、不合格となるケースが多いです。この場合、分からないことがあるとそこで止まってしまい、なかなか次にすすめません。
合格する人は、全てを完璧にするのではなく、全体像をまず把握することに努め、細かい知識を補強していくことで、理解力を上げていきます。
このため、少しわからないところがあっても、試験の傾向や自分の得意不得意など総合的に判断して、進めていきます。

(5)コツコツ知識を積み上げていく

コツコツ積み上げることは良いことに感じるかもしれません。
しかし、目的は試験に合格することですので、コツコツやっていても試験に間に合わないのでは意味がありません。
このため、合格する人は試験日をゴールに設定し、そこから逆算して勉強を進めていきます。
コツコツやることは良いのですが、あくまでプロセスを大事に進めていくことが大事ですね。

5、弁理士試験突破後の未来予想図!

弁理士試験に合格し、実務修習という研修を受け、弁理士会に登録すると晴れて弁理士として働くことができます。
弁理士のお仕事で得られるものは、大きく分けて以下の2つがあります。

・大きな達成感が得られる
・知識やスキルを磨いていける  

弁理士はお客様の知的財産を権利化するために、日ごろからお客さまとコミュニケーションをとりながら、手続きを進めていきます。
納期に追われる仕事で、専門的な知識も必要です。
しかし、苦労して工夫を重ねた結果、申請が認めらえた時には大きな達成感を味わうことができるだけでなく、お客さまからとても感謝してい頂けます。
また、弁理士は日進月歩で変わっていく法律や制度、専門的な知識を積極的に学んでいかなければなりません。
学んだ知識や得たスキルは、成果に結びつきやすいため、効率的に自分を磨いていける仕事です。
大変なことも多いですが、とても魅力的な仕事であることは間違いありません。

6、さあ、弁理士試験に挑戦しよう!

弁理士試験は、勉強時間を確保して計画的に進めていけば、合格できる試験です。
そして、弁理士試験に合格された方のほとんどが一度社会人になってから合格を勝ち取っています。
もしあなたが、今からでも挑戦できる専門資格を考えているのであれば、ぜひ弁理士試験に挑戦してみましょう。
今後の自分の可能性を高められること間違いなしです!

7、サマリー

この記事では、弁理士試験の難易度について解説してきましたがいかがでしたでしょうか?
確かに弁理士試験は合格率が低く、試験も複数回あるため、難関な試験であることは間違いありません。
しかし、正しい対策を行ったうえで受験すれば、誰にでも合格できる可能性がある試験です。
この記事を読み返して頂き、今後の弁理士試験の対策に役立ててくださいね。

8、まとめ

  • 弁理士試験の合格率は毎年6%~10%のため難関な試験である
  • 短答式試験と論文式試験が特に難関
  • 合格している人は複数回受験している人が大半
  • 社会人経験があるひとの合格の割合の人が圧倒的に多い
  • 適切な対策を施せば誰でも弁理士試験に合格できる可能性がある
  • 不合格の人には一定の特徴がある

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