国家賠償法~何が公務員の不法行為にあたるのか、監督責任と免責はあるの?~

国家賠償法~何が公務員の不法行為にあたるのか、監督責任と免責はあるの?~

行政書士試験に出題される行政法では、国家賠償制度について定められています。

国家賠償法第1条にある、公務員の不法行為に基づく国家賠償の成立要件の1つに「公務員の行為である」ということがありました。
この「公務員」は国家公務員や地方公務員のみならず、公権力の行使を委任されている民間人なども含まれるほか、国会の立法行為や裁判所への判決をしている国会議員や裁判官へも適用されます。

が、この二者については、そのまま国会賠償が成立するわけではありません。
判例によると、国会議員の場合は、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているのに国会があえて立法行為を行うというように、容易に想定出来ない例外的なケースが「違法」とされています。
裁判官の場合は、その裁判官が違法・不当な目的で裁判したなどのように、裁判官に与えられた権限の趣旨に明らかに背いた権力行使であると認められる特別の事情があるケースが違法とされます。

なお、複数の公務員が関わった1つの行政活動に対して国民が国家賠償を請求する場合、加害者となる公務員を特定する必要はないとされています。
判例では、一定の条件を満たせば公務員の特定は不要としているのです。

 

「職務を行うについて」とは

国会賠償法1条の成立要件の1つ、「職務を行うについて」とはどのようなことでしょうか。

判例では、その行為が客観的に職務行為の外形を備えていればよいという「外形標準説」が採用されています。
この考えでは「誰の目から見ても公務中であると思われる」場合では「公務員の主観的意図は問わない」ということになり、元となった判例では、非番の警察官が制服姿で職務質問を装って金品を持ち逃げしようとし、騒いだ被害者を拳銃で射殺したという事件が取り上げられました。
制服を着ていれば、普通に考えて職務中だと思われますから「客観的に職務行為の外形を備えて」いることになります。
国側は、公務中ではないのだから国家賠償法の適用外だと主張したのですが、上記の考え方によって認められなかったのです。

 

公務員の故意・過失

国家賠償法1条では、公務員の故意・過失を国家賠償成立の条件としています。

これは「過失責任主義」の採用で、加害公務員に故意または過失がなければいけないということです。

 

違法な加害行為

1条にある「違法に」とは、どのようなことでしょうか。

これは厳密な法規違反だけでなく、裁量権の逸脱や濫用、健全な社会通念や信義則違反のような、客観的に見て正当性を欠いているような場合も含まれます。
また、違法とされるのは公務員の積極的な作為(やろうと思ってやること)だけでなく、法令上の作為義務を持つ公務員がそれを履行しない、不作為(やらなくてはならないのにやらないこと)も違法なのです。

判例では、警察官が、ナイフを所持して暴れている人のナイフを取り上げて保管しなかったというケースなどが扱われました。

 

加害行為によって損害が生じるとは(因果関係)

国会賠償法が適用されるには、加害行為と損害の間に、相当因果関係が必要になります。
自分が被った損害を、関係無いのに国のせいにしてはいけない、ということです。

また、この「損害」は物質的損害だけでなく、精神的損害(慰謝料)も含まれています。

 

監督責任と免責

民法における使用者責任では、使用者が被用者の選任や監督について相当の注意をしていれば、使用者が免責されるとしています。
ですが国家賠償法にはこのような規定が無いため、国や公共団体が加害公務員の選任・監督にあたって十分注意していて、またそれが証明されたという場合でも、免責されるわけではありません。

また、被害者側の規定も使用者責任と異なります。
使用者責任では、被害者は使用者(企業)と被用者(不法行為をした者)両方、不真正連帯債務の関係である両者に損害賠償を請求することが可能なのですが、国家賠償においては国・公共団体の賠償責任が認められている以上、加害公務員に対する賠償請求は認められないとされています。

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