国家賠償法~国家賠償制度とはどんな制度?~

国家賠償法~国家賠償制度とはどんな制度?~

行政書士試験に出題される行政法では、国家補償制度について定めています。

国家補償制度の分野は、行政書士試験で毎年出題されます。
特に国家賠償法の1条と2条の成立要件が重要です。

 

国家補償制度

国や地方公共団体の行う行政活動によって、国民が損害を被ったりすることがあります。
たとえば公共事業として道路を作るとき、その道路を引くところに民家があった場合には国民の土地を取り上げることもあるのです。
それでは国民の権利や利益が侵害されてしまいますから、この場合ですと相応のお金を払って土地を買い取ると言うように、国民側に生じた損失や損害を補填する制度として、国家補償制度が存在しています。

国家補償制度には、『損失補償制度』と『国家賠償制度』の2つがあります。
前者は国や公共団体の適法行為によって国民が被った損失を補填するもので、憲法29条第3項と関係しています。
反対に後者は、国や公共団体の違法行為によって国民が損害を被った場合、それを賠償するもので憲法17条と関連しています。

 

国家賠償制度

国家賠償制度とは、国や公共団体の「違法」な行政活動により、国民に生じた損害を賠償するための制度です。
明治時代の憲法では国家賠償というものはなく、国家のはたらきを実行する公務員が違法行為をした場合は国家の行為として扱うのではなく、その公務員個人の責任とされていました。
が、個人の責任としてしまうと、被害者である国民の救済が不十分になる可能性があります。
また、公務員も自分だけの責任にされてしまうとなると、国民からの不法行為責任追及をおそれるようになり、公務の遂行が消極的になってしまうことが考えられます。

そのため、日本国憲法では国家無答責の考え方が全面的に排除されました。
国や公共団体の賠償責任が明確になり、国家賠償法が制定されたのです。
これにより、違法行為をした公務員に代わり、国や公共団体が賠償責任を負うことになりました。

 

公務員の不法行為に基づく国家賠償

国家賠償制度は大きく、国家賠償法1条の場合と2条の場合に分かれます。

公務員の違法行為による損害の場合には、1条第1項「国または公共団体の公権力の行使に当たる公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」が適用されます。
要件はここにあるように、

・「公権力の行使」に当たる行為である
・「公務員の行為」である
・「職務を行うについて」発生した損害である
・公務員に「故意・過失」がある
・「違法」な当該加害行為である
・行為によって損害が発生したという因果関係にある

ということです。

しかし、そもそも「公権力の行使」というのはどういうことなのでしょうか。
判例によると、物品購入のような純然たる私経済作用(民法を適用)と公の営造物の設置管理作用(国家賠償法2条を適用)を除く、すべての作用をいうとされています。
権力的作用などという言葉を聞くと、行政行為や強制執行、即時強制などを想像しがちですが、それだけでなく行政指導や公立小学校の授業などのような非権力的作用も含まれているのです。
広く国民の救済を図る、それが公権力の行使に当たる行為なのです。

「公務員」の定義も押さえておきましょう。
この場合の公務員は、国家公務員や地方公務員だけでなく公団の職員や、戸籍事務を扱っている船長や機長のような、公権力の行使を委任された民間人のことも指しています。
また、立法権や司法権に属す公務員も含まれ、判例でも国会の立法行為や裁判所の判決に1条の適用が認められていますが、国会議員や裁判官の場合には国家賠償がそのまま成立するのではなく、違法性の判断が限定されるので気をつけましょう。

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