行政書士の試験科目より 幸福追求権~憲法13条と新しい人権~

行政書士の試験科目より 幸福追求権~憲法13条と新しい人権~


行政書士試験に出題される憲法では、「基本的人権の尊重」が原則の1つとして定められています。

これを規定しているのが憲法13条で、「すべての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」というように明文化されています。

これは非常に重要な条文であり、行政書士試験の出題科目全体にも影響しているものであるため、頭に入れておきましょう。

1. 幸福追求権

人権規定のルーツとなっているのが、13条にある「幸福追求権」です。

この権利は、人は全員、人間らしく幸福に生きるために生まれてくるのだという考えの元に存在していて、その幸せは自由に意思を表現したり商売をしたりすることで得られるものだとされています。

そのため規定されているのが13条よりも後に続く、表現の自由や営業の自由などになるのですが、時代が進むにつれ社会や価値観が変化したため、日本国憲法が制定された当時には想定されていなかったような人権の必要性が出てきました。

日本国憲法が公布されたのは1946年ですが、その時に比べ、今は様々な技術が遥かに発達している状態です。しかしその技術発達は利益と同時に問題も生み出し、工業化に伴う環境悪化や公害、通信技術の発達によるプライバシーの侵害などが引き起こされ始めました。

それらの問題によって生じた人権侵害を防ぐため、新しい人権が求められたのです。新しく人権を規定するに当たってルーツとなるのは、13条の幸福追求権です。

しかし何でもかんでも認められるわけではなく、13条の条文にあるように、それが人間らしく共存するために必要不可欠な権利であることが必要です。

新しい人権には、プライバシー権、肖像権、アクセス権、自己決定権、環境権、嫌煙権などがあります。このうち最高裁で認められているものは、プライバシー権と肖像権です。

2. プライバシー権

人には誰しも、他人に知られたくないようなことがあります。

それを死ぬまで自分だけ、あるいは一部分の人の間だけに留めておくことができればよいのですが、生年月日や前科など、国が持っている情報も中にはあるでしょう。

プライバシー権では、そのようなことをバラさないでくれ、と国に対して言うことができます。定義上では「私生活をみだりに公開されない法的保障ないし権利」とされていて、自分の情報が他人に知られることを防ぐことを可能としています。

最近ではその効力がより広範に及んでおり、自分の情報をコントロールする権利である「情報プライバシー権」として考えられるようになりました。

プライバシー権を認めた判例では、みだりに写真を撮られない権利(肖像権)、みだりに自分の前科を公表されない権利、指紋押捺を強制されない自由が認められています。

3. その他の判例

新しい権利が確立しても、それが必ず認められるというわけではありません。

たとえば、速度違反をした際にオービスで写真を撮ると、運転者だけでなく助手席に乗っていた人まで写真に写ってしまう可能性が高いです。

運転者は速度違反の被疑者だから良いとしても、そうでない人の写真まで撮るのはプライバシーの侵害ではないのか、ということが問題になりましたが、最高裁は、自動速度監視装置による運転者の撮影は現に行われている犯罪の証拠保全であるため緊急性を要し、またその方法も一般的に許容される限度内なので憲法13条には違反せず、それは同乗者についても同じだという判決を下しました。

みだりに写真を撮られない、肖像権は認められているのですが、それが全面的に適用されるとは限らないということになります。

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