国家賠償法~免責・求償・賠償責任・民法との関係・相互主義・行政訴訟~

国家賠償法~免責・求償・賠償責任・民法との関係・相互主義・行政訴訟~

行政書士試験に出題される行政法では、国家賠償について定められています。

国家賠償法2条では、公の営造物に瑕疵があったために国民が損害を被った場合、国や公共団体は賠償する責任があるとしています。
これは無過失責任であるため、国・公共団体が自分の注意を主張しても変わりません。
ただ、天災のように不可抗力な損害については責任を負わないことになります。

 

国家賠償法2条の効果

また、被害者の行動が想定外のものだった場合にも、判例は国会賠償を否定しています。
幼児がテニスの審判台に上り、座席部分の背当てになっているパイプを後部から両手で握って降りようとしたため審判台が転倒し、その下敷きになって死亡したというケースがあります。
幼児の行動が事故に起因したのは事実ですが、このような行動は設置管理者に想定出来ないと考えられたため、国家賠償責任は負わないとされました。

では、財政的な理由で、安全性の保持が出来なかった場合はどうでしょうか。
これについては、高知落石事件の判例があります。
この事件が起きた国道ではたびたび落石があり、道路管理者は「落石注意」の看板を立てていたのですが、通行車に落石があたったために同乗者が死亡し、賠償を求められた管理者は予算不足を理由に免責を主張しました。
しかし、予算不足があっただろうことは認められたものの、それがただちに免責事項にはならないという判決が下されたのです。

予算の有無は免責の理由にはならない、ということです。

 

求償

公の営造物の瑕疵による損害への国家賠償において、それが自然災害や予測不可能な行動が理由ではなければ国や公共団体の免責は認められていません。
そのため被害者には賠償をしなくてはなりませんが、しかし1条同様、その分を実質責任者と言える者に払わせることは可能です。

これについては、国家賠償法2条第2項で定められています。
「前項の場合において、他に損害の原因について席に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。」とされており、損害の原因において責任のある人が他にいれば、国や公共団体は被害者に賠償した分の額をその人に請求する求償権を有することになります。
公共工事は「国」という概念がするわけでも、またそれを管理する公務員が直接するわけでもなく、大抵は請負業者が実際にやるものです。
もしもその業者が手を抜いて工事をしたため、欠陥が生じて何か事故が起こった場合には、国・公共団体は業者に対して賠償額を求償出来るということです。

第1条でも触れましたが、賠償金というのは国民の税金から支払われるものです。
業者の手抜きが原因なのに税金を使うのは道理に反しますから、このような権利が認められているのです。

 

賠償責任

求償権があるといっても、国民に対して直接賠償責任を負っているのは国又は公共団体です。

しかし、時には加害公務員の選任監督者・営造物の設置管理者と、公務員の俸給や給与の負担者・営造物の設置管理費用負担者という費用負担者が異なることもあります。
その場合には、被害者の国民はどちらに対しても損害賠償請求をすることが可能です。

 

民法・特別法との関係

国家賠償法は、国家賠償における一般法です。
特別法があるときにはその特別法が優先的に適用され、なければ国家賠償法が適用されることになります。
また、国家賠償法にも特別法にも規定がなければ、民法が適用されます。

消火活動に当たっていた消防隊員の過失が原因で、鎮火後に再び火災が発生したという事件で、民法の不法行為の特別法にあたる失火責任法を適用した判例があります。
この判例では、国家賠償法1条第1項の規定が適用され得る場合でも、民法の規定が補充的に適用されるとしています。

 

相互主義

国家賠償というものは、国や公共団体に対して国民、つまり日本人が求めることの出来るものです。
では、外国人が被害者となってしまった場合は国家賠償法に基づき賠償請求することは可能なのでしょうか。

国家賠償法では、相互主義が採用されています。
これは、被害に遭った外国人の所属する国において、日本人も救済を受けられるという保証があれば、損害賠償請求が認められるというものです。

 

行政訴訟

違法な行政処分があり、そのために被害が出た場合の国家賠償請求をするにあたって、その処分の取消や無効確認判決を事前に得ておく必要はありません。

行政訴訟と国家賠償請求は、別のものとして扱われます。

 

消滅時効

国家賠償法では、損害賠償請求権の消滅時効に関する規定がありません。
規定が無い場合には、民法が適用されることになります。

適用されるのは民法724条で、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知ってから3年、不法行為時から20年が経過すると、消滅時効が成立します。

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