行政書士の試験科目より 国家賠償法~公の営造物に『瑕疵』があったら~

行政書士の試験科目より 国家賠償法~公の営造物に『瑕疵』があったら~


行政書士試験に出題される行政法では、国会賠償について定めています。

1 国または公共団体の加害公務員への求償

国家賠償法1条に基づく判例では、国や公共団体の賠償責任を認める以上は加害公務員に対して賠償請求をすることは認められない、とされています。
この理念は、1条が被害者救済を主目的とし、不法行為をした公務員に代わって国・公共団体に責任を負わせるというものです。

しかし、その不法な行為をした公務員があまりにも不注意だったり、わざとやったという場合にも国や公共団体が責任を負わなくてはならないというのは、流石に厳しい話ではないでしょうか。

国・公共団体には、被害者である国民からの損害賠償請求に対する免責が認められていません。
そのため違法行為をした公務員がいかなる者でも損害賠償をしなくてはならないのですが、1条2項に

前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があったときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

という規定があります。
つまり、国民に損害賠償はするけれど、当該違法行為が「故意」または「重過失」であったら、その公務員に求償できるということです(軽過失の場合はできません)。

国や公共団体が払う賠償金は、元を辿れば国民による税金です。
わざとではなく、また注意を払っていた上での違法行為ならばともかく故意・重過失の公務員の責任を、間接的とはいえ税金で補うというのはおかしな話であるため、そこは公務員本人がどうにかしろということです。

2 公の営造物の瑕疵に基づく国家賠償

国家賠償法2条第1項では、

道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。

としています。

設置又は管理に瑕疵がある、というのは、たとえば国道を通っていたら道路が陥没したせいでできた穴に落下して怪我をしたり、役場の階段の手すりが壊れていたために怪我をしたりという場合です。
道を歩いていたら雷に打たれた、などの自然災害はこれに含まれませんが、国や公共団体がきちんと管理していれば防げたような場合にはその賠償責任を負わなくてはならないのです。

公の営造物とは、「公共の用に供されている有体物」です。
「公物」とも呼ばれ、これは建物や道路、橋梁、堤防、空港といった不動産だけでなく、パトカーや警察犬、ピストル、刑務所にある脱水機などの動産も含まれます。
また、人工のものの他にも河川や海浜、湖沼などの「自然公物」も国会賠償法2条の対象ですが、公共の用に供するものに限られるので気をつけましょう。

3 設置・管理の瑕疵

国家賠償法2条の責任が認められるためには、当該営造物における設置又は管理の瑕疵があることが条件です。
判例では「当該営造物が通常有すべき安全性を欠いていること」が瑕疵とされています。

また、瑕疵の有無については無過失責任がとられており、国や公共団体に過失があったかどうかということは問われません。
当該営造物の構造や用法、場所的環境、利用状況などを総合的に考慮し、個別具体的に判断すべきとされているのです。

4 新開発の安全設備の設置

今、技術開発は日々進んでいるため、毎日のように次から次へと新しい安全設備が作られています。
とはいえ、全ての施設に、すぐさま新しい安全設備を設置するというのはとても無理な話でしょう。
では、新開発の安全設備が設置されていないことと、瑕疵の関係はどのようになっているのでしょうか。

判例では、安全設備の設置は有効性、普及性、事故発生の危険性および設置の必要性、設置の困難性など諸般の事情を考慮して決めるべきだとしています。
つまり、最新の設備が設置されていないからといっても、ただちに瑕疵だとはいえないということです。

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