行政書士の試験科目より 地方自治~住民自治と団体自治・地方公共団体~

行政書士の試験科目より 地方自治~住民自治と団体自治・地方公共団体~

行政書士試験で出題される憲法では、財政や地方自治について定められています。

1 公金支出の制限・皇室財産

自由権に関する記事で、国民個人の宗教は自由だけれど政治は宗教と切り離さなくてはならない、『政教分離』について解説しました。

憲法88条
「すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。」

憲法89条
「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育、若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。」

憲法89条は政教分離のためにあり、財政面での保障の意味になっています。

2 地方自治

今までは国会や内閣や最高裁判所といった、国の中枢について見てきましたが、日本のことを全て同じ場所で治めるわけにはいきません。そこから分化させ、都道府県や市町村ごとに自治を行うことを『地方自治』といいます。

憲法92条にある

「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」

ということが地方自治の本旨で、中央政府の権力を抑制したり、代表民主制を補完したりなどの役割を持っています。

行政書士試験では、地方自治法の出題数が増えているのでしっかり押さえておきましょう。

住民自治と団体自治の違いについては、憲法93条以降で触れられています。

93条第1項
「地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。」

および第2項
「地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。」

94条
「地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する機能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる」

95条
「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。」

地方自治には住民自治と団体自治の2つがあります。

住民自治は住民の意思にもとづいてなされる地方自治で、民主主義的要素が濃いといえるでしょう。
国から独立した団体に地方自治が委ねられ、団体自らの意思・責任の下で行われる自由主義的、よび地方分権的要素の含まれる団体自治は国と地方自治体の繋がりであるのに対し、住民自治は地方自治体と住民の繋がりであるといえます。
住民自治には、憲法93条の議員の直接選挙や95条にある特別法の住民投票、地方自治法で定められている条例の制定改廃請求や知事等のリコールといった、様々な制度があります。

3 地方公共団体の事務

憲法上に明文化された「地方公共団体」ですが、この範囲をどこまでにするかは少し注意が必要です。
もちろん、都道府県や市町村は含まれるのですが、東京23区のような特別区は判例上、憲法上の地方公共団体には含まれません(あくまで「憲法上の」)。

地方公共団体の事務には自治事務と法定受託事務があり、前者は地方公共団体独自のもの、後者は第1号と第2号があり、第1号は国から委託されているもので、第2号は都道府県から委託されたものだという違いがあります。 その他、地方公共団体は条例を制定する権利も持っています。

憲法94条では

「地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権利を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。」

とされています。

しかし重要なのは、制定する条例は「事務を行うために必要な範囲」であること、「法律に反しない内容であること」という決まりがあるということです。

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