行政書士の試験科目より 〜「成立上の牽連性」とは

行政書士の試験科目より 〜「成立上の牽連性」とは

行政書士試験の出題科目の1つである民法で定められている契約ですが、時には問題が発生することもあります。

債務を負っているはずの片方がその履行をしなかった場合や、また引き渡される物に瑕疵があった場合などについて見てきましたが、それでもそういったケースにはまだ契約は履行できる状態にあるでしょう。

では、物がなくなってしまった時、契約が履行できない場合はどうなるのでしょうか?

目的物の滅失(契約締結前)

売主と買主の間で不動産の売買契約が進められていました。
しかし、売主が買主に売却した不動産は実際の所、契約締結日の前日、第三者の放火により焼失していたのです。
こういった場合、売主と買主の契約はどうなってしまうのでしょう。

契約成立時点において、もはや給付の内容が実現不可能になってしまった場合を「原始的不能」と呼びます。
双務契約では、一方の債務が原始的不能によって成立しえない「無効」の場合、対価的関係に立っている他方の債務も無効となって成立しないため、結果的に契約自体が無効になるのです。
これは「成立上の牽連性」といいます。

上記の例の場合、第三者の放火が原因で物が焼失しているため、引渡は契約成立の次点ですでに実現不可能です。
したがって買主の建物引渡請求権は原始的不能であり、それに伴って対価的関係に立つ代金支払債務も成立しないため、双方の債務が不成立となってしまいます。
結果として、売買契約それ自体はなかったことになります。

さて、このケースは第三者による放火が原因です。
つまり、物の所有者たる売主は第三者によって物の所有権を失うという不利益を被っているため、第三者に対して民法709条「不法行為」に基づき損害賠償請求権を行使することが可能になります。

債権の発生原因はこの不法行為の他に、契約、事務管理、不当利益があります。

引き渡されるはずだった物が契約締結よりも前に無くなってしまった場合には、このようにして契約が無効になります。
では、次に契約締結後の焼失について見ていきましょう。

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