行政書士の試験科目より 行政事件訴訟~取消訴訟はどのように進むのか?~

行政書士の試験科目より 行政事件訴訟~取消訴訟はどのように進むのか?~

行政書士試験の出題科目でもっとも重要といえるのは、出題数が多く、また配点も非常に高い行政法です。
合格後に行政書士として業務にあたったときでも、行政法の知識を兼ね備えていることが大前提となるでしょう。

行政法の中でも要注意なのが、行政争訟制度という分野です。
過去五年にわたって毎年出題されている上、判例を用いた問題も多く、十分勉強しておくことが必要と言えます。

行政争訟制度には行政不服申立てと行政事件訴訟があり、このうち行政事件訴訟は取消訴訟を中心とした問題構成になっているため、取消訴訟の理解が行政事件訴訟全体の出来に繋がるといっても過言ではありません。
取消訴訟の要件や、審理手続をしっかり押さえておきましょう。

1 審理の手順

取消訴訟の要件が満たされ、本案審理に進むと、いよいよ本格的に裁判が始まります。

取消訴訟の審理の進み方については、行政事件訴訟法だけを見ていては不充分です。
行政事件訴訟法は元々、民事訴訟法の特別法としてつくられたため、行政事件訴訟法に規定がないことについては民事訴訟法が適用されるのです。
審理手続については、民事訴訟と同じような進行がとられています。

審理方式は、訴訟手続の開始、審判範囲、終結などが訴訟当事者の自律的な判断に委ねられるという原則「処分権主義」、一定の期日において、当事者が裁判所で口頭陳述により訴訟の審理を進行する「口頭主義」、訴訟の元になる事実・証拠の提出を当事者の責任および権能とする「弁論主義」に基づいています。

基本的に裁判は当事者主義を採用し、当事者が主導的な役割を負っています。
これにおいて裁判所は公平な第三者として公正かつ慎重な判断をすべきとされ、積極的な職権行使はあまりしない傾向にあります。

一方、当事者に偏り過ぎると客観的な本案審理が出来なくなる可能性があるため、行政事件訴訟では「職権主義的制度」も取り入れられています。

職権主義的制度によって認められているものには、

・裁判所が必要性を認めたときには職権によって証拠調べができる「職権証拠調べ」(得られた結果については当事者の意見を聞く必要がある)
・訴訟関係をはっきりさせるため、行政庁に処分・裁決理由を明確にする資料提出を要求したり、採決後に取消訴訟が提起された場合はその記録を求めたりということが可能になる「釈明処分の特則」
・訴訟の結果によって権利利益を侵害される第三者がいるときには当事者、またはその第三者の申立てあるいは職権によって第三者を訴訟に参加させられたり、当該行政庁以外の行政庁を訴訟に参加させる必要性を認めた場合には当事者・その行政庁の申立てか職権により参加させることが可能になったりという「訴訟参加」

があります。

2 訴えの変更

裁判所は、

・原告からの申立てがある
・請求の基礎に変更がない
・口頭弁論終結に至るまでの期間内

であれば、決定をもって、取消訴訟目的の請求を、国または公共団体に対する損害賠償やその他の請求へと変更することが可能です。

3 執行停止

取消訴訟が提起された以上、そこで扱われる行政処分には何らかの問題があるとみられます。
とはいえ、裁判が始まってその瞬間に執行停止をするわけにはいきません。

取消訴訟が行われても、原則としては執行不停止がとられ、裁判が続いている間も当該処分は執行されていることになります。
例外として執行停止が可能になるのは、重大な損害を避けるべく緊急の必要性があるとされるときですが、その場合でも、執行停止することで公共の福祉に重大な影響を及ぼしたり、また、本案の理由がないと認められた場合には、結局のところ執行不停止がとられます。
しかし一方で、執行停止の理由が消滅したり、その他事情が変わったときには、執行停止の取消ができるようにもなります。

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