行政法総論~総論・基本原則~

行政法総論~総論・基本原則~

行政書士試験の出題科目には、行政法があります。
例年かなり多くの出題がなされており、択一式は40問中19問、多肢選択式は3問中2問、40字の記述式問題では3問中1問と、全体46問の中では22問という約半分を占めているのです。

基本的にはひねくれた問題が無いため、基礎知識をしっかり身につけていれば点数はとれると思われます。
しかし近年、判例からの出題が多くなっている上に新しい判例も登場しているため、幅広いチェックが必要になるでしょう。
勿論、それぞれの条文を覚えることも気を抜いてはいけません。

行政法総論

憲法のところに「行政権」という言葉が出てきました。
内閣が持っている権利で、政治を実際に行うというものでしたね。

行政法はその行政を縛る法律で、「行政の組織・作用に関する国内公法」なのです。

そもそも行政とは、国防や治安維持といったニュースでよく聞くようなものから、営業関係の各種規制、教育、福祉、医療などのごく身近なものまで、ありとあらゆるものに関与しています。
私たちの生活には健康保険や年金、義務教育などが欠かせませんが、そういったものも行政の一貫ですから、国民と行政は切っても切り離せない関係にあるといえるでしょう。
しかし、それだけの力を持っているということは、行政が好き勝手やってしまったら国民の生活がめちゃくちゃになりかねないということでもあります。
ですから「行政は法律に基づかなければいけない」という原則があり、行政法を始めとする法律が、行政が権限を行使するにあたって縛りをきかせているのです。

行政法の基本原則

前述の通り、行政活動は法律に基づいている必要があります。
その大原則にはさらい派生原則があり、その1つが「法律の優位」の原則です。
これは、全ての行政活動は法律に違反してはいけない、という原則で、国民代表議会の意思(国会の意思、つまり法律)をもって行政判断に優先させる、ということになります。
法律が存在する以上、法律に従って活動しなくてはならないのです。

2つ目の原則が、「法律の留保」の原則です。
法律といってもありとあらゆるものに大して全ての決まりがあるわけではありません。
時代によって変わるものもあるため、実際に法律が出来るまで、はっきりした決まりの無い場合もあるでしょう。
では、法律が無いから行政は何をしてもよいのかというと、そういうわけではありません。
行政は法律の根拠に基づいて行われなくてはならないため、法律が無いときには行政権を行使することが許されないのです。

行政活動は、法律があればそれに従う必要があり、法律が無ければ何も出来ないという状況にあるわけです。
これは行政権の暴走を防ぐための大切な原則ですが、しかし、あらゆる行政活動に必ず法律が必要になってしまうと、柔軟かつ時代に即した行政がなされなくなってしまうおそれがあります。
そのため、行政権限が機動的に行使される必要性と、国民の権利や自由の保障をどう調和させるかという課題の下、法律の留保をどこまで適用させるかということについて論じられているのです。

法律の留保の範囲

法律の留保をどこまで適用するのか、という課題に対して存在する、一つの説が『侵害留保説』です。
行政活動に法律の根拠が必要になるのは、国民の権利や自由を侵害したり、新たな義務を課すという場合(侵害行政)のときだけで、それ以外のときには、行政府は自由に権限を行使出来るという明治以来の通説です。
この説を適用するならば、営業の自由に対して各種規制をしたり、租税を徴収したり財産権を規制したりという場合には法律の根拠が必要だけど、生活保護の支給や補助金交付、ゴミ収集や水道事業など、給付行政やサービス行政には法律の根拠がいらないということになります。

また、『権力留保説』という説もあります。
こちらは近年有力に主張されている説で、侵害行政はもちろん、給付行政についても公権力の行使である行政活動には法律の根拠が必要だとしています。 純粋なサービス行政を除く一切の行政には、法律の根拠を求めるのです。

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