行政不服申立て~申立て中の執行停止は出来るのか、申立ての教示制度~

行政不服申立て~申立て中の執行停止は出来るのか、申立ての教示制度~

行政書士試験の出題科目である行政法は、試験の中で最もボリュームのある科目です。
試験勉強をするにあたって1番時間をかけることにもなると思いますが、その行政法の中でも難易度が高いとされているのが行政争訟制度です。
出題率も非常に高く、行政争訟をマスターすることが合格への第一歩と考えても良いかもしれません。

その行政争訟制度ですが、行政不服申立てと行政事件争訟で審査の範囲や方法が異なるため注意が必要です。
審理手続には職権主義・職権探知主義・当事者主義という考え方が並立しています。

 

審査手続のポイント

審査請求では、審査庁は審査請求人からの審査請求を受理すると、審査請求書の副本を処分庁に送付して相当の期間を定めた上で弁明書の提出を求めることが可能です。
その求めを受けた処分庁は、弁明書を正本・副本の2通提出しなくてはいけません。

そうして送付された弁明書の内容は審査庁によって審査され、副本の方が審査請求人に送付されます。
しかし審査庁が審査請求の全てを認容して当該処分の取消を判断した場合には、この送付はなされません。
その弁明書の副本が審査請求人に届くと、今度は審査請求人がそれに対する反論書を提出することが出来ます。
一律で定められた期間はありませんが、審査庁が反論書の提出に相当な期間を定めていれば、それに従わなくてはいけません。

審査請求を取り下げたい時は、裁決があるまでの間ならば、いつでも書面ですることが可能です。

なお、手続の承継が認められるのは申立人の死亡時(相続人が承継)と申立人の合併(合併後存続する法人か新設法人が承継)です。

 

 

執行停止の条件

では、実際に不服申立てが提起出来たとしましょう。
しかしあくまで申立ての段階ですから、そこでいきなり当該処分の効力、処分の執行、手続きの続行は原則停止されることはありません。
これは執行不停止の原則といい、不服申立てが頻発することによって行政が停滞するのを防ぐためのものです。

例外として執行停止の必要があると審査庁が認める場合には、審査庁が処分庁の上級庁であれば審査請求人の申立てか職権で、上級庁以外ならば申立てにより、執行停止が可能になります。
また、審査請求人の申立てがあり、執行が続行することで重大な損害が出る可能性を避ける緊急の必要性があるときには、執行停止しなくてはいけません。
が、執行停止によって公共の福祉に重大な損害が及ぼされるおそれのある場合、処分の執行や手続の続行が出来なくなるおそれがある場合、本案について理由がない場合は、執行停止しなくてもよくなります。

もし執行停止された場合でも、それによって公共の福祉に重大な影響が及ぼされたり、処分の執行や手続の続行を不可能にすることが明らかになったり、その他事情が変更したならば、その停止を取り消す事も出来ます。

 

 

教示制度

行政不服審査法57条には、教示制度というものが設けられています。

これは、国民が不服申立てをする機会を保障するための制度で、申立てのやり方を教えてくれるというものです。
不服申立て期間は3か月と短いため、その期間を知らなかったり、また、そもそも不服申立てという制度自体を知らなくて不服申立ての機会を失ってしまった、という国民が出る可能性も低くはありません。
そういったことを防ぐため、行政庁は不服申立てのことを国民伝える必要があるのです。

不服申立ての出来る処分を行うときには、行政庁は必ず教示をしなくてはならない義務があります。
不服申立てが出来ること、および申立て先となる行政庁と申立期間を書面で教示します(口頭の処分なら教示は不要)。

また、利害関係者から教示を請求されたときには、不服申立ての可否および可能な場合の申立て先・期間を、書面か口頭のどちらかで教示します。
書面化を要求された場合には書面で教示しなくてはいけません。

 

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