行政書士の試験科目より 自由権~精神の自由・思想良心の自由~

行政書士の試験科目より 自由権~精神の自由・思想良心の自由~


行政書士試験の出題科目の1つである憲法では、「基本的人権の尊重」という原則があります。

基本的人権の中には「自由権」がありますが、これはさらに「身体の自由」「精神の自由」「経済の自由」に分類することが可能です。

1 精神的自由とは

思想良心の自由は無制限であり、絶対的保障の権利です。
「公共の福祉」の理念の下では、他人に迷惑をかける場合に権利が制限されるのですから、頭の中だけでなら何をいくら考えても迷惑をかけることにはならないため、思想良心の自由はいかなる場合でも保障されることになります。

しかしそれを外に発信すると、時には制限されることもあります。
もちろん表現の自由も保障されていますから、何もしてはいけないわけではありませんが、その行為によって他人に迷惑をかけた場合は相応の処置がとられるのです。

たとえば、現行の政治に対して不満を抱く、これは思想良心の自由によって保障されますし、そのことを演説によって主張しよう、というのも一般国民であれば表現の自由の下に認められます。
これが、もしも「デモ行進」という形でそれをしようとなると、道路をふさぐことによって通行人を困らせてしまうでしょう。
そうなると全面的に認めることができず、何らかの制限が課されることになります。

また、学問の自由や、その中にある研究の自由・研究発表の自由でも、基本的には学ぶことや研究すること、その内容を発信することが認められているのですが、それによって誰かが迷惑を被ったり、人間の尊厳に関するものであると判断が下されたりした場合は、国家から制約を受けます。

2 思想良心の自由

憲法19条では、「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」と思想良心の自由を定めています。

何を考えるか、何を思うかということは個人の尊厳においても中核ですが、しかしこの権利が規定されたのは戦後になってからです。
戦前、反国家思想に対する弾圧や告白の強制などにより、この自由は激しく侵害されてきました。
個人の内心という領域が保護され、保証されることは民主主義の前提条件ですし、表現の自由などにも深く関わっています。

思想良心とは、個人の人格的な内面的精神活動を意味しています。
ここには世界観や人生観、主義、主張などが含まれます。
しかし不知と知、すなわち単にある事実を知っているかどうかは保障の対象にはならないため、裁判において証人が知っていることを証言するよう求めるのは19条に違反しないとされています。

頭の中で何を考えようと他人に迷惑をかけることはありませんから、特定の思想信条を持っていることによる制限は課されません。絶対的保障、つまり例外なく保障されるというわけです。

また、その思想・良心の内容を国家権力は強制的に引き出してはならない、という「沈黙の自由」も保障されています。江戸時代に行われていた、キリスト教徒か否かを判断するための制度である「踏み絵」は有名な話ですが、こういったことは現在の日本では許されない、というわけです。

思想良心の自由が用いられた判例では、税理士会政治献金事件が代表的でしょう。
これは、税理士が事務所を開くためには入会必須である税理士会の、政治献金のための特別会費徴収が、献金を望まない税理士の思想良心の自由を侵害しているという理由で提訴されたものです。

最高裁は、税理士会という、実質的に脱退不可能な団体である以上、様々な思想信条を有する会員の協力義務には限界があるとし、献金のための特別会費徴収の決議は無効であるとしました。

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