行政書士の試験科目より 行政法総論~行政法の法源・公法と私法~

行政書士の試験科目より 行政法総論~行政法の法源・公法と私法~

行政書士試験で出題される行政法には、「法律に基づいて行われなくてはならない」という大原則がありました。

1 行政法の法源

行政法という単独の法典は存在せず、法源は様々な形で存在しています。
日本は成文法中心主義ですから、原則である成分法源ももちろん多くあります。
成文法としてあるのは、国の根本規範である憲法や、国会で制定される法律、行政機関が制定する法規範の命令、国家観の国際法上の権利義務が定められた条約、地方公共団体の議会による自主立法の条例、の5つです。

では、文書化されていない法形式の「不文法」はどうでしょうか。
産業の発達、世界情勢、自然災害……。世の中が目まぐるしく変わるため行政がやらなくてはならないこともどんどん変化していきます。
立法と現実にはどうしてもタイムラグが生じるため、いちいち法律を待っていたら行政は何もできなくなってしまうでしょう。
その間を埋めるのが不文法で、「慣習法」「判例」「条例」の3つがあります。

慣習法は、長期にわたって国民(国際法の場合は複数国の住民)がやり続けてきたことが、「はっきり法律にはなっていないけれどももはやこれは法律と同じように大切なルールだろう」というように、国民の中で法的確信を得たものです。

たとえば、中学校や高校にある「学則」を思い出してみてください。学校生活を過ごす上で必要な心得やルールが、生徒手帳などに書いてあったと思います。しかし、それにはない、はっきりとした「学則」ではない「決まりごと」も、学校にはあったのではないでしょうか。1年生の間は何色の靴下しか履いてはいけないとか、裏庭に入ってよいのは3年生だけだとか。

そういった、はっきり明文化されているわけではないけれど、みんなの間に存在する「ルール」が慣習法なのです。

判例は、試験勉強でも多く使うと思います。
これは実際に行われた裁判の判決が事実上の拘束力を持ったもので、まだ法律ができていないことや、法律が曖昧なために実際の問題に適用するとどうなるか、という場合に参考にされることがあるのです。

条理とは法の一般原則で、憲法など数多くの「法」の基礎となる、普遍的原理のことです。
平等原則や比例原則、禁反言の原則、信義誠実の原則などがこれにあたります。
法律にはわざわざ「人の嫌がることをしてはいけません」などという条文はありませんが、そういった条理を土台として、具体的な条文が成り立っているのです。

2 公法と私法

法律を『公法』と『私法』に分ける『公法・私法二元論』は伝統的な通説として、公法関係と私法関係をはっきり二分してきました。
公法は行政法など国家と市民権を規律する法で、行政上の法律関係に適用されます。
一方で私法は、私人同士の法律関係を規律するもので、民法などがこれにあたります。

公法と私法の関係は全く異なるものとされ、公権力の行使が問題となった事案では公法だけを適用し、私法の適用は認めないというように、そのはたらきが区別されていたのです。
ただ、現在では公法と私法の区別だけではなく、事案ごとに適用すべき法律をそれぞれ個別に検討して決定すべきである、という立場が一般的になっており、そのような判例もあります。

私法の適用が否定された主な判例には、農地買収処分と民法177条、生活保護費は譲渡(債権譲渡)や相続の対象とならないとした朝日訴訟、公営住宅利用権の相続性、建築基準法65条は民法234条第1項を排除するものである、などがあります。
私法の適用を肯定した主な判例は、農地買収処分に基づく物権変動と民法177条、滞納処分と民法177条、公営住宅の利用と民法・借家法、国有財産法上の普通財産の払い下げの結果生じた代金債権は民法の消滅時効の規定が適用される、などです。

行政書士カテゴリの最新記事