行政書士の試験科目より 〜憲法とは~ 憲法の理念・日本国憲法の構造

行政書士の試験科目より 〜憲法とは~ 憲法の理念・日本国憲法の構造


行政書士試験における憲法は、択一式で5問、多肢択一式で1問の出題がなされる分野です。
出題の飛び抜けて多い科目というわけではありませんが、基本的な科目であるためしっかり押さえておくことが求められます。
また、憲法は全ての法律の基本となっているような存在ですから、憲法の理念や構図を理解することは他の科目の理解にも繋がります。

1 憲法とは

憲法の大きな特徴の1つとして、「国が守るべき法」であるということがあります。

憲法に書かれているのは「国としてこんなことを守る」「この国はこのような仕組みである」ということで、政治のルールを定めた国の基本法となっているのです。

この政治の決まりがないと、いつ独裁政治となり、政府が暴走するかわかりません。
独裁政治では国民が人として大切に扱われず、重税を課されるなど負担を強いられることがほとんどですが、国民が不満を抱くとテロやクーデターが起きるようになり、政治も生活も大変不安定な状況に陥ってしまいます。
実際、中世ヨーロッパではそんな時代が長く続きました。国民の自由や権利を保障する憲法が生まれたのは、近代以降なのです。

時代が進むにつれ市民革命が増え、国民の一人一人が大切にされるべきだという「個人の尊厳」や、皆が平等に権利を持っているという考え方が獲得されるようになりました。
国民の権利は「天賦」、つまり人が生まれながらに神から与えられているものだとされたため、国家によって簡単に侵害されるものであってはならないという理念が、その頃から徐々に浸透します。

また、憲法が生まれる前の世の中では、王や司教など、一箇所に権力が集中してしまったがために国民の権利が侵害されるようになったという反省点があります。
そのため、憲法に含まれる理念の1つに「三権分立」というものがあり、権力集中による暴走や濫用を防いでいるのです。
これは政治権限とされる立法権、行政権、司法権をそれぞれ国会、内閣、裁判所に分散することで、機関同士をお互いに牽制させ、どこか一箇所が専制することのないようにする仕組みです。

2 日本国憲法の仕組み

日本国憲法は全部で103条あります。
これを大きく分けると「人権」と「統治」に関する規定から成っていて、人権の領域では国民の権利や義務について、統治の領域では国会の立法権、内閣の行政権、裁判所の司法権、および地方自治等、国家の統治機構について定められています。

憲法における人権は自然権であり、人は生まれながらに人権を有しているのだとされています。
人権の核心となるのは個人の尊厳の保持であり、個人は誰もが幸福になることを保障されているのだという考えが基底となっています。
そのためには国家が憲法を遵守することが必須であるため、憲法では公務員の「憲法尊重擁護義務」が定められていて、国を動かす者は国民のために憲法を守るよう明記されているのです。

国家権力の集中を防ぎ、国会・内閣・裁判所にそれぞれ権力を分散させているということは上記の通りですが、これは国家による人権の不当な侵害を防ぐためであり、主権の在処である国民を保護するためだと言ってよいでしょう。
日本国憲法は「国民主権原理」で動いていますから、日本という国をどういう方向に持っていくのかを最終的に決めるのは、他でもない国民自身です。
憲法に定められているように、国民一人一人が幸福であるためには、国民は自由である必要があり(自由主義)、国のことは国民が決定し(国民主権)、平和を保たなくてはいけない(平和主義)ということになります。

国民から国家への干渉は社会権によって認められていますが、その反対、国家から国民への干渉は認められません。
これは自由権によるもので、国民が自由に考え、意見を言うことのできない環境は幸福ではないとされているからです。

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