行政作用~執行罰・直接強制・強制徴収~

行政作用~執行罰・直接強制・強制徴収~

行政書士試験で出題される行政法では、行政作用について定められています。

義務を課された人がそれを履行しない場合、行政庁は自らの力で強制的にその義務を実現することが可能です。
このうち、義務があることを前提とした行政強制を『行政上の強制執行』といいました。
その1つである代執行は、義務者以外の他人がやっても同じ行政目的が達成出来る義務の不履行があった際に、行政庁や行政庁指定による第三者が義務者に代わって履行した後、その履行でかかった費用を本人から徴収するというものです。

執行罰

『執行罰』も、行政上の強制執行の1つです。

他人が代わって履行出来ない『非代替的作為義務』や、不作為義務の不履行の場合、行政庁が一定の期限を示して義務者に履行を促すことになります。
しかしそれでも、その期限までに履行がないときには、一定の『過料』、つまり国や地方公共団体によって科される反則金を徴収する旨を予告し、その心理的圧迫で義務の履行を間接的に強制するのです。

たとえば、A飲食店で食中毒が出た場合、これはA飲食店に責任があるのですから、営業停止処分はA飲食店が履行しなくてはいけない義務です。
近くにあるB飲食店が代わりに店を休んでも意味がありません。
このように、代執行が効かない義務が履行されなかった場合、執行罰が下されるのです。

執行罰は「罰」というものの刑罰ではなく、あくまでも義務の履行の強制にすぎません。
刑罰でないため、憲法39条にある「二重処罰の禁止」は適用されず、義務が履行されるまで何度でも課すことが可能です。
ただ、国民に強制力を加えることは確かですから、実施の際には個別の法律の根拠が必要になります。

しかし反面、お金さえ払えば義務を履行しなくてもよいことになるのも事実です。
そのため行政目的の迅速な実現からは遠ざかってしまいます。
また、行政罰という別の罰でも同じ効果が期待されるため、今日、執行罰の適用が明示されているのは、砂防法36条のみです。

直接強制

義務者が義務を履行しない場合、直接義務者の身体・財産に強制力を加え、義務の内容を実現する手続を『直接強制』といいます。
これにおいては、作為義務・不作為義務・代替的作為義務・非代替的作為義務という義務の内容が問われることはありません。

しかし国民の身体・財産に直接強制力を加えることになり、人権侵害となる可能性が高いとみなされるため、個別の法律の根拠が必要とされています。

強制徴収

税金や国民年金の保険料など、金銭債務に不履行があった場合、それを強制的に取り立てる手続を『強制徴収』といいます。
これを一般的に定めている法律はありませんが、税金の徴収目的の国税徴収法の徴税手続は、個々の法律において「国税滞納処分の例による」という旨の規定が明文化されている場合に適用可能です。

その条文が行政代執行法6条第1項の「代執行に要した費用は、国税滞納処分の例により、これを徴収することができる。」というものです。

行政行為と民事上の強制執行

行政上の強制執行を行う際には法律の根拠が必要ですが、もしも根拠となる法律がなかった場合、行政上の強制執行だけでなく民事訴訟による履行を求めることも可能であると判例はしています。

では、根拠となる法律があり、行政上の強制執行が出来る場合には、行政庁は民事上の強制執行の手段を選択出来ないのでしょうか。
判例によると、これは許されていません。
法律が行政行為に自力執行力を与えているのは、迅速な義務の履行による行政目的の早期実現を目指しているからという理由によります。
そのため、その趣旨と反する民事上の強制執行は認められない、ということです。

行政書士カテゴリの最新記事