表現の自由~様々な表現・自由の限界~

表現の自由~様々な表現・自由の限界~

行政書士試験で出題される憲法の三大原則の1つ、「基本的人権の尊重」の中には自由権の保障が含まれています。

自由権をさらに分化すると「精神の自由」「身体の自由」「経済の自由」となり、そのうち精神の自由には、「思想良心の自由」「信教の自由」「表現の自由」という権利がありました。

表現の種類

一口に「表現」といっても様々な種類があり、それによって保障の仕方も変わってきます。

たとえば「営利的表現」。
これは政治的な議論のようなものでなく、テレビのCMや雑誌の広告などの表現です。
政治的な表現よりも保障の度合いは低いのですが、表現の自由の保障の対象内です。

また、「ビラを貼る自由」というのも表現の自由の一環です。
しかし自分の家に勝手にビラを貼られてはたまりませんから、ビラそのものは規制していなくとも「他人の家に貼ること」は財産権の侵害を根拠に規制されています。
屋外の美観を損ねるような広告の規制条例も、その内容ではなく、表現行為の場所・方法を制限しているとみなされます。

 

わいせつ表現と名誉毀損的表現

これらの表現は、制限が課されても仕方の無い表現とされています。

しかし何でもかんでも制限されるのではありません。
わいせつ物の頒布販売は刑法175条で罰せられることになりますが、罰せられるような「わいせつ」な表現は、文書の一部だけでそうだと判断するのではなく、文書全体を通してどうであるかを決めることになっています。

名誉毀損的表現も、それが私人である一般人の名誉やプライバシーを傷つけるようなものであったら保証する必要はありません。
が、国会議員など公人のスキャンダル報道であったら話は別です。
公人のプライベートな行動や過去などは、場合によっては一般国民の利害に関係することもあるため、他人の名誉を傷つけるような表現が罰せられるとしている刑法230条第1項も、それが公的な人物に関する報道であれば免責されると第2項でされています。
名誉毀損罪を不成立にするためには、「それが公共の利害に関する事実であること」「公益を図る目的に基づいた報道であること」「真実証明」が求められます。

また、公的な立場ではなくても、政党の支持母体などである宗教団体会長など、社会に広く影響を及ぼす有名人は、私人とはいえ名誉毀損罪の範囲外になることもあります。

 

 

検閲の禁止

憲法によって禁止されている検閲は、行政権による事前差止です。
最高裁による検閲の定義は「行政権が主体」「思想内容等の表現物が対象」「その全部または一部の発表の禁止が目的」「網羅的一般的」「発表前にその内容を審査した上で不適当だと認められるもの」の、発表を禁止するということになります。
税関でのポルノ雑誌没収や、教科書検定は検閲にはあたらないとされています。

裁判所による事前差止は検閲にはあたりませんが、事前差止の1つではあるため原則として禁止されています。
例外として、北方ジャーナル事件(出版された場合の名誉毀損罪成立が確実であったため)などがあります。

 

集会・集団行動の自由

市民による集会は表現の場として非常に大切ですが、特定の場所に多数の人間が集合する以上、権利同士が衝突する可能性があるため規制が課されるのはやむを得ないとされています。

集団行動の自由で認められている代表的なものはデモ行進ですが、これも、道路でやることによって道路の利用が妨げられることになります。
そのため、デモをやるのは自由でも事前に許可を受けること(公安条例)が定められています。
もっともこの規制は緩やかで、不許可になるケースが厳格に制限されているものでなければ、21条に違反すると考えられています。

 

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