行政書士の試験科目より 行政事件訴訟~取消訴訟を提起するために、要件審理を乗り越えろ~

行政書士の試験科目より 行政事件訴訟~取消訴訟を提起するために、要件審理を乗り越えろ~


行政書士試験の出題科目の1つ、行政法は、試験の中でもっとも重要だといえる科目です。
出題数が多く配点も高いこの科目で、特に重要視すべきは行政争訟制度でしょう。
例年出題が必ずと言ってよいほどあり、また、判例を元にした設問も多いため、確実な理解が必要になります。

その行政争訟制度のうち、行政事件訴訟法の問題は取消訴訟を中心に構成されていることが多いです。
ですから、取消訴訟をマスターすることが行政事件訴訟法を得点する近道となるでしょう。
取消訴訟の要件、「処分性」「訴えの利益」「被告適格」「裁判管轄」「出訴期間」「訴えの形式」をしっかり押さえておく必要があります。

1 被告適格

訴えの利益の中に「原告適格」、つまり訴訟を提起するにあたって必要な資格がありましたが、相手取ることができる存在にも一定の決まりがあります。
訴えの相手にできる規格、被告適格の要件は行政事件訴訟法11条により原則として「当該処分庁の所属する国または公共団体」で、処分後に権限が他の行政庁へ承継された時は、承継したその行政庁が所属する国または公共団体とされています。

ただ、例外として、処分庁が国または公共団体に所属していないときには当該行政庁そのものに、廃止などによって被告とするべき国や公共団体、行政庁が存在していないときには当該処分にかかる事務の帰属する国または公共団体が被告適格を有するとみなされます。

2 管轄裁判所

そして裁判自体も、どこでもできるというわけではなく、裁判可能な裁判所が決められています。

管轄裁判所の要件は、原則として、被告である国または公共団体の普通裁判籍所在地または処分庁の所在地を管轄する裁判所です。
ただし、国または独立行政法人等が被告となる場合は例外として、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所で行われます。

3 出訴期間

時効が成立すると主張できなくなる権利があるように、ある程度の期間が過ぎると取消訴訟もできなくなってしまいます。
はるか昔の行政行為に対して訴えられても、行政庁だって困ってしまいますから、行政行為に働く不可抗力により、一定期間の過ぎた処分についてはたとえ権利利益を侵害されていても、正当な理由なしにその取消を求めることは不可能だとしているのです。

この期間を出訴期間といい、処分・裁決があったことを知った日から6ヵ月以内、または処分・裁決があった日から1年以内とされています。
ただ、侵害的行政行為を行った行政庁は出訴期間がすぎていても、職権による取消が可能なので気を付けましょう。

4 取消訴訟の審理手続

それでは、要件が満たされ、取消訴訟が認められたらどのように進んでいくのでしょうか。

審理の最初に行われるのは「要件審理」と呼ばれるものです。
これは上記のような訴訟要件が満たされているかをチェックするというもので、要件が欠けていたなら訴えを却下し、満たされていれば本案審理へと進むことになります。

取消訴訟においては、処分の違法性一般が審理の対象となり得ます(裁量権の逸脱・濫用があるときは自由裁量行為も含まれる)が、同時に、どの時点で違法かどうかを判断すべきかという、違法判断の基準時を決める必要があります。
これについては条文による規定がなく、判決時説と処分時説の二つが存在しています。
判例が採用し、また多くの支持を得ているのは処分した時を基準とする処分時節ですが、不作為の違法確認訴訟と義務付け訴訟においては口頭弁論が終結したタイミングが基準にされるため、判決時説がとられています。

5 訴えの客観的併合

基本的には、一つの請求に対して一つの訴訟手続がとられているのですが、複数の請求を一つの審理にあてる「客観的併合」が行われることもあります。
しかしいつでもできるわけではなく、当該取消訴訟と関連している請求の場合のみ可能になります。
後から関連請求が行われた場合は、追加的併合もできます。

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