行政事件訴訟~取消訴訟が成立するために、どんな要件を満たせばいい?~

行政事件訴訟~取消訴訟が成立するために、どんな要件を満たせばいい?~

行政書士試験に出題される科目のうち、行政法は出題数・配点ともに最も重視されるべき科目と言えます。
試験に合格し、行政書士として働くのであれば行政法の重要さはなおさらのものでしょう。

出題範囲の広い行政法ですが、その中でも登場頻度の高い分野が行政訴訟制度です。
過去五年間で必ず出題されているため必ず押さえておきたいところですが、難易度の高さも試験中トップレベルであるため、確実な理解が求められます。
比較的新しい判例も出題されるので、判例集のチェックも欠かせません。

 

客観訴訟

行政事件訴訟のうち、抗告訴訟や当事者訴訟は、不利益を被った自分のために訴えを起こし、自分の権利や利益を守るためのものです。
しかし、客観訴訟は自分という個人ではなく他人、引いては世の中全体の利益のために行うものであるため、もし勝訴したとしても原告が直接、個人的な利益を受けるわけではありません。
これが主観訴訟と客観訴訟をはっきりと分けるポイントです。

客観訴訟には、民事訴訟と機関訴訟の二つがあります

民事訴訟は、国や公共団体という機関が、その法規に見合わない行為をした場合に是正を求めるというものです。
原告は選挙人たる資格その他自己の法律上の利益に関わらない資格で訴えを起こすことになり、国民が行政をチェックしたという形で行われます。

一方、機関訴訟は国民個人とも、国民全体の利益とも関係の無い争いと言えるでしょう。
こちらは国または公共団体の機関相互間、つまり「国」に対して「東京都」が訴えるなどのように、行政機関内部の権限の存否・行使に関して行われる訴訟です。
地方自治法における「国の関与に関する訴訟」や「長と議会の間の訴訟」などがこれにあたり、国民権利利益と無関係ゆえに客観訴訟の一つとされています。

 

争点訴訟

行政という公権力をめぐる行政訴訟ですが、ときには私法上の法律関係について争うこともあります。
それが争点訴訟で、主要となる争点が行政処分、または裁決の存否・効力の有無であるときには、私法上の訴訟でも行政訴訟の一つとして扱うのです。
代表的なものが、旧所有者にあたる地主が農地買収処分の無効を理由として新所有者たる小作人を相手取るという所有権確認の訴えです。
争っているのは地主と小作人、どちらも国民個人であるため民事訴訟ではあるのですが、「農地買収処分を有効・無効にする」というのは地主や小作人という個人に出来ることではなく、行政行為の効力によって左右されることです。
つまり中心になる争点は行政の効力の有無であるため、争点訴訟となるのです。

 

取消訴訟の要件

取消訴訟はその名の通り、行政庁の違法な処分・裁決を取り消せ、という訴えで、公定力を失わせて処分や裁決を無効にしようというものです。
行政書士試験に出題される行政事件訴訟法では、取消訴訟を中心に問題が作られていることが多く、他の訴訟はその規定を準用するという形になっています。
そのため、どのような要件を満たしていれば取消訴訟が認められるのかということは、試験を受けるにあたって重要になるでしょう

原告が訴訟手続を利用し、処分や裁決を取り消すよう求めるには、訴訟要件を満たしている必要があります。
訴訟要件は訴訟が始まる上での大前提であり、満たされていなければ訴えようとしたところで、違法かどうかの判断をしてもらえることすらなく却下されてしまいます。
取消訴訟の要件となるのは、「処分性」「訴えの利益」「被告適格」「裁判管轄」「出訴期間」「訴えの形式」です。

このうち、「訴えの形式」については難しく考える必要はありません。
手続の仕方を守りなさいということで、行政訴訟においては訴状、つまり書面を提出して行う必要があるということです。
行政不服申立てでは、法律や条令に特別の規定があれば口頭でも出来るということでしたが、こちらは書面でのみ認められています。

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