行政手続法~総説・意義・国の行政機関~

行政手続法~総説・意義・国の行政機関~

行政書士試験では、行政法についての出題があります。

その1つに『行政手続法』があり、特に「申請に対する処分」「不利益処分の聴聞手続」「行政指導」の3つは押さえておくと良いでしょう。
行政書士は行政手続が仕事ですから、行政手続法を理解することは最も重要であるといえます。

 

総説

行政作用の過程を法的に規制する手続のことを『行政手続』といいます。
行政機関のはたらきについては前ページまででやりましたが、あれらの活動は思い立ったらすぐに出来るというわけではありません。
行政活動は、それが権力的であったとしても非権力的であったとしても、一定の手続を踏んで行使されなければならないのです。
開発行為の許可を得るだけでも、申請者による申請書の作成、行政庁への提出、行政庁の受理、法令等に照らした内容の審査、許可・不許可の決定、申請者への通知、という手順に従わなくてはいけません。

しかし、行政手続に関する一般法は長いこと存在していませんでした。
各法律では定められていたのですが、それぞれ手続にバラつきがあるために、国民から見てどうにも不明瞭だったのです。
しばらくは学説や判例によって行政手続の統一性を図っていたのですが、1993年11月、行政手続に関する一般法として行政手続法が制定されました。

 

行政手続法の意義

行政手続法が存在する目的は、行政手続法1条で「この法律は、処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的とする。」と定められています。

しかし、この内容は『処分』『行政指導』『届出』『命令等を定める手続』に限定されていますから、行政計画や行政契約は対象外であるということになります。

行政手続法は、5~11条が申請に対する処分、12~31条が不利益処分、32~36条が行政指導、37条が届出、38~45条が命令等制定という構造になっており、これらが共通事項の決定です。
目的は『行政運営の公正確保・透明性の向上』ですがこれは2次的目的で、究極目的は『国民の権利・利益の保護』となります。

 

行政手続法の適用範囲

行政手続法の定義を示す2条の5号『行政機関』では、「内閣に置かれる機関、内閣所轄の下に置かれる機関など。地方公共団体の機関(議会除く)。」とありますから、原則として国の行政機関すべてに行政手続法が及ぶということになります。
ただ、中には行政手続法による一般的規制になじまないものもありますから、適用除外とされる機関もあります。

適用除外とされる機関は3条『適用除外』の「この法律の適用対象外として各種行政処分を列挙。ただし、この法律全ての条項が対象外とされるわけではない。たとえば、公正の確保と透明性の向上を謳う第1条を含む第1章は以下の処分にも適用され、担当行政庁に対し第1条の趣旨を尊重することを求めている。」の1項に列挙される、

処分、行政指導のうち、当該分野に慎重な手続きがあるもの(1-4号)、刑事手続きの一環として処理されるもの(5,6号)、事後の手続きが望ましいもの(7-10号)、一律の適用になじまないもの(11-16号)
1.国会の両院若しくは一院又は議会の議決によってされる処分
2.裁判所若しくは裁判官の裁判により、又は裁判の執行としてされる処分
3.国会の両院若しくは一院若しくは議会の議決を経て、又はこれらの同意若しくは承認を得た上でされるべきものとされている処分
4.検査官会議で決すべきものとされている処分及び会計検査の際にされる行政指導
5.刑事事件に関する法令に基づいて検察官、検察事務官又は司法警察職員がする処分及び行政指導
6.国税又は地方税の犯則事件に関する法令に基づいて国税庁長官等がする処分及び行政指導並びに証券取引又は金融先物取引の犯則事件に関する法令に基づいて証券取引等監視委員会、その職員等がする処分及び行政指導
7.学校、講習所、訓練所又は研修所において、教育、講習、訓練又は研修の目的を達成するために、学生、生徒、児童若しくは幼児若しくはこれらの保護者、講習生、訓練生又は研修生に対してされる処分及び行政指導
8.刑務所、少年刑務所、拘置所、留置場、海上保安庁の留置場、少年院、少年鑑別所又は婦人補導院において、収容の目的を達成するためにされる処分及び行政指導
9.公務員又は公務員であった者に対してその職務又は身分に関してされる処分及び行政指導
10.外国人の出入国、難民の認定又は帰化に関する処分及び行政指導
11.専ら人の学識技能に関する試験又は検定の結果についての処分
12.相反する利害を有する者の間の利害の調整を目的として法令の規定に基づいてされる裁定その他の処分(その双方を名あて人とするものに限る。)及び行政指導
13.公衆衛生、環境保全、防疫、保安その他の公益にかかわる事象が発生し又は発生する可能性のある現場において警察官等の職員によってされる処分及び行政指導
14.報告又は物件の提出を命ずる処分その他その職務の遂行上必要な情報の収集を直接の目的としてされる処分及び行政指導
15.審査請求、異議申立てその他の不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の処分
16.前号に規定する処分の手続又は第3章に規定する聴聞若しくは弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続において法令に基づいてされる処分及び行政指導

です。

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