会社法

会社法

行政書士試験の会社法は、商法と併せて択一式全40問中5問出題されます。
商法同様、条文・判例からの出題となるため、重要なものはどんどん暗記するようにしましょう。

会社法の中心となるのは株式会社で、過去5年間毎年、株式会社に関わる問題が出されています。
設立、株式、機関、どこを聞かれてもよいように準備しておきましょう。

 

総則

会社法はその名の通り、会社のためにある法律です。
法律における「会社」は、ビジネスによって利益を上げるという営利を目的とした社団法人を指し、その利益は会社の社員に配当されます。
個人商人が行う商売の規模が拡売すると、個人で全てを処理するよりもその個人が集まった組織で取引活動をするほうが効率的です。
しかしせっかく組織を作っても、取引の結果生じる法律効果がいちいち個人に帰属しては面倒なので、組織自体に法律効果が帰属するよう組織そのものも自然人同様、権利能力を有するとされたのです。
これが「会社」と呼ばれるものの存在意義で、この権利能力は「法人格」とも言われます。

会社には「合名会社」「合資会社」「株式会社」「合同会社」があり、このうち合名会社・合資会社・合同会社をまとめて「持分会社」という、株式会社とは異なり社員の個性を重視し、社員間の相互信頼によって社員が原則経営に参加する会社として扱います。
株式会社は、社員(株主)が会社に対して各自株式を有し、その株式の引受価額を限度とする有限責任社員(株主)のみからなる会社です。
無限責任とは、会社のオーナーである社員が会社債権者に対して自分の資産で全責任を負うこと、有限責任とは自分が会社に出資した金額の限度以上の責任は負わないということです。
合名会社は、会社債権者に対して直接無限責任を負う社員のみから成り立ち、合資会社は無限責任社員・有限責任社員から成り立っています。
合同会社は、有限責任社員からなる小規模閉鎖会社です。

 

株式会社

では、その中で最も重要といえる、株式会社について見ていきましょう。

何か事業を行う際には、当然ながらお金がかかります。
しかしそのお金を1人で負担するのは大変な上にリスクも大きいため、多数の出資者が集まり少しずつ資金を出し合うことで、リスク回避と資金調達を図ろうという考えが生まれました。
そうして成立したのが「株式会社」という概念です。
株式会社は、「株式」という、細分化された割合的単位の形をとる株式会社の社員(株主かつ出資者かつオーナー)の地位・権利を会社が売ることで資金を集め、株式を買って株主となった人はその量に応じた発言権を得るほか、配当をもらえるようになります。

会社の設立には「発起設立」と「募集設立」があり、発起設立では設立時、発行する株式すべてを発起人が引き受けますが、募集設立では一部(最低1株以上)の株式を発起人が引き受けたら残りは引受人を募集することになります。
その後の流れは同様で、定款の作成、株主の確定、機関の具備、設立登記という手続によって会社が誕生します。
順に見ていきましょう。
株式会社の設立にはまず、株式会社の根本規則を定める定款を発起人が作成し、発起人全員が署名または記名押印をする必要があります(電磁的記録で作成し、電子署名をするのも可)。
この「発起人」は、株式会社の設立の企画者として定款に署名した者のことであるため、実際に設立事務に従事しているかどうかは問われません。
発起人の判断は客観的・外形的に行われ、定款に署名していなくても、募集広告等に氏名または名称および設立に賛助することの記載・記録を承諾した人も「議事発起人」とみなされます。
また、会社の根本規則である「定款」には、会社の重要事項を定めることになりますが、必ず記載する必要のある「絶対的記載事項」と、記載することで効力の生じる「相対的記載事項」の2種類があります。
絶対的記載事項に含まれるのは「目的」「商号」「本店の所在地」「設立に際して出資される財産の価格またはその最低額」「発起人の氏名または名称、および住所」「発行可能株式総数」で、相対的記載事項は「変態設立事項(現物出資、財産引受け、設立費用、発起人の報酬、特別利益)」「株式の譲渡制限事項」「株式発行の定め」「種類株式の発行」「公告の方法など」です。
変態設立事項は原始定款で定められることが必要であり、また、裁判所によって選任された検査役の調査を受けなくてはなりません(現物出資・財産引受けは定款記載額が500万円以下なら必要ありません)。
変態設立事項が不当だと、発起設立は裁判所によって、募集設立は創立総会によって定款を変更することになります。
定款を作っても、公証人の認証を受けないと効力は発生しません。
また、公証人の定款を一度受けた定款を会社の設立前に変更することは原則不可能で、会社設立後も変更の際には株主総会の特別決議が必要となります(公証人の認証は不要)。

会社のオーナーとしての地位にあたる株式は会社が出来るまでの間に確定しておかなくてはなりませんから、設立に際して出資される財産の価値またはその最低額は定款作成時に定める必要があります。
が、発行可能株式総数については会社が成立するまでの間に決めればよく、発起人全員の同意または創立総会の決議によって定款を変更して定めることになります。
発起設立の場合には発起人が全ての株式を引き受けますが、募集設立ならば発起人引き受けるのは最低1株以上の一部株式でよいとされ、残りの分は株式引受人を募集します。
発起設立では株式引受後に遅滞なく、募集設立なら株式引受人は払込期日または期間内に全額の払込みをする必要があります。
もしも株式引受人が払込みを行わなかったときは当然に株主となる権利を失い、発起人が払込みをしなかったときは失権予告付きの催告を経て、その期間が経過すると失権します。
発起設立では発起人が設立時の役員を選任し、募集設立では創立総会における選任となります。
株式会社の成立は、その本店所在地での設立登記によって完了します。
会社がいったん成立すると、発起人・株式引受人による、株式の引受けについての錯誤無効や詐欺・強迫を理由とした取消しの主張は出来なくなります。

このような設立手続を踏んで会社が成立するのですが、もしも手続において違法行為や不正行為があった場合、発起人や設立時取締役・設立時監査役は厳しい責任を負うことになります。
責任の1つは「任務懈怠責任」といい、これは発起人・設立時取締役・設立時監査役すべてに課せられる責任です。
これらの者が設立に関して任務を怠った場合、会社に対して連帯して損害賠償義務を負うのです(設立後に総株主の同意があれば免除)。
その懈怠が悪意または重過失があってのものである場合にはさらに、第三者に対しても連帯して責任を負います。
また、「特別背任罪」も発起人・設立時取締役・設立時監査役すべてに課せられるもので、これらの者が自己または第三者の利益を図って、または会社に損害を与えることを目的とし、その任務に背く行為をすることで会社に財産上の損害を与えた場合に成立します。
この罪に問われると、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金に処せられることになります。
「不足額填補責任」は、現物出資された財産の実際の価格が定款記載の価格に著しく不足する場合、発起人および設立時取締役が連帯して不足額を支払うという義務で、「会社不成立の責任」は発起人のみが負う、会社が設立しなかったときには発起人が連帯して設立費用を負担すべきだという責任です。

 

株主と株式

払込の完了した発起人・株式引受人は、会社成立と共に「株主」の座を獲得します。
株主の権利が「株式」にあたり、株主は株式会社の社員・出資者になったのですから、株主は会社の所有者も同様です。
株主になると、自益権として「剰余金配当請求権(利益の配当を受けられる)」「残余財産分配請求権」「株式買取請求権」が、共益権として「株主総会の議決権」「監督是正権(株主代表訴訟や株主提案権など)」が付与されます。
剰余金配当請求権・残余財産分配請求権の全てを与えないという定款の定めは無効です。

株主は会社の所有者としての地位を有しますが、従来ではそれを表章する有価証券「株券」を発券する必要がありました。
しかし会社法では株券不発行の原則がとられ、株券は原則発券しないものとされています。
例外として、定款によって株券を発行すると定める場合には、公開会社は株式発行以後遅滞なく株券を発行する必要があります(非公開会社は株主からの要求がない限り発行しなくてよい)。
もしも株券が発行され、株主に交付されるとすると、譲渡が可能になるため流通には便利といえますが、もしも紛失された場合には善意の第三者に取得されてしまう可能性があります。
そのため、株券発行会社の株主は会社に対して株券不所持を申し出ることが可能ですし、すでに株券が発行されている場合でもその株券を会社に提出し、それを受けた会社が株主名簿にその旨を記載することでその株券は無効になります。

株式を買い、株式会社にいったん出資金を払い込んだならば、会社から払戻しを受けることは出来ません。
投下資本を回収するためには、原則自由とされている株式の譲渡をすることになります。
株式譲渡の方法は、会社が株券を発行しているかいなかによって異なります。
株券発行会社の場合、株式譲渡には当事者間の合意だけでなく株券の交付が必要になります(自己株式の処分による譲渡なら株券交付は不要、処分した日以後取得者に遅滞なく交付すること)。
非公開会社なら、取得者からの請求があるまで交付は不要です。
株券発行前にした譲渡は当事者間では有効なものとして扱われますが、会社に対しての関係においては無効です。
第三者への対抗要件は株券の交付ですが、会社に対抗するためには株主名簿への記載、もしくは記録(名義書き換え)がなくてはいけません。
株券不発行会社の場合に株式譲渡をするときは、当事者間の意思の合致のみで成立します。
会社やその他の第三者に対する対抗要件は、株式名簿への記載または記録で、株式名簿は本店に備え置かれることになります。
株主および債権者は一定の場合を除き、株主名簿の閲覧または謄写を請求することが可能です。

株式の譲渡には制限が課せられることがあります。
まず、「権利株」という、会社設立前もしくは新株発行の効力発生前の株式引受人の権利の譲渡制限です。
権利株の譲渡は当事者間では有効に扱われますが、会社に対しての対抗が出来ないのです。
また、会社自身が自己の株式を取得する「自己株式の取得」にも制限があり、
・株主総会の普通決議に基づいて行われ、また、特定の株主からの取得なら特別決議に基づく
・分配可能利益の範囲内という制約
・自己株式の保有期間に制限はない
・総会の議決権や剰余金の配当金は認められない
・会社保有の自己株式はいつでも償却可能
・自己株式の処分可能(第三者割当てや株主割当てによって処分するには株主総会の特別決議を要する)
という点に注意しましょう。
また、株式の自由な譲渡が認められると、会社の知らないうちに望ましくない者が株主になってしまうおそれがあるため(株主の人数が少ないと可能性大)、株式を譲渡するためには会社の承諾が必要である、という旨を定款に定めることが可能です。
すべての株式に譲渡制限が課せられている会社を「非公開会社」「株式譲渡制限会社」といい、制限が無い、または一部の株式のみ譲渡制限がある会社を「公開会社」と言います。
株式譲渡制限には、
・株式譲渡の際には、会社の承認が必要
・承認は株主総会の普通決議によって行う(取締役会を設置している会社はそこで)
・一部の株式のみに譲渡制限を設けることも可能(譲渡制限種類株式会社という)
・会社成立後に譲渡制限を定める場合、株主総会の特殊決議によって定款を変更しなくてはならない(反対株主には株主買取請求権がある)
という特徴があります。

また、子会社は原則、親会社の株式を取得することが禁止されています。
例外として「子会社が他会社の事業の全部を譲り受ける場合に、その会社が親会社の株式を有している」「組織再編によって親会社の株式を承継する」という場合には取得が認められますが、その際には、子会社は相当の期間内に親会社の株式を処分する必要があります。

株券の占有者は真実の株主と推定されるため、株主の占有者から善意・無重過失で株券を取得した人は株式についての権利を取得することになります。
また、株式には「自己株式の消却」という定義があり、会社の存続中に取得した自己株式を、利益等を財源とすることで絶対的に消滅させることが可能です(取締役会設置会社では取締役会の決議、非設置会社では取締役の決定が必要)。

 

株式会社の運営主体

株式会社が機能的に活動するにあたり、会社のオーナーたちが集まる株主総会はまさに最高意思決定機関といえます。
株式会社は株主総会を必ず置くことになりますが、実際には上場企業など大会社(資本金5億円以上または最終の貸借対照表上の負債総額200億円以上)のように株主がたくさんいる会社だけではないため、株主が取締役1人だけという会社も少なくありません。
株主総会と取締役会の区別がないことも多いため、会社法では実態に合わせた規定がされています。
株主総会は、
・決議事項
 取締役会設置会社は、法律または定款に定める事項のみ
 取締役会非設置会社は無制限
・召集時期
両者とも同じで、定時総会は毎事業年度終了後一定時期、臨時総会は必要に応じて
・召集権者
 取締役会設置会社は取締役会で決めた代表取締役
取締役会非設置会社は取締役
・招集通知
 共に書面の電磁的方法
 取締役会非設置会社の場合、書面・電子投票なしなら口頭でも可
・召集期間
 取締役会設置会社は原則2週間前まで
 取締役会非設置会社は原則1週間前まで
・召集場所
 両者とも同じで、無制限
・総会検査役
 両者とも同じで、裁判所によって選任され、総会の招集手続や議決方法を調査する権限を有する
 申立ては、取締役会設置会社は会社または引き続き6ヶ月以上1%の議決を保有する株牛
 取締役会非設置会社は会社または1%以上の議決権を保有する者
・決議 
 両者とも同じで、議決権を有する株主の過半数の出席を定足数とし、普通決議は出席株主の過半数、特別決議は出席株主3分の2以上の多数
・取消しの訴え
 両者とも同じで、召集や決議の手続が法令・定款に違反している、決議内容が定款違反、特別の以外関係を有する者の議決権行使によって著しく不当な決議がなされた、という場合
・不存在確認の訴え
 両者とも同じで、決議の手続的瑕疵が著しく、決議として法律上認められない場合に可能
・無効確認の訴え
 両者とも同じで、決議の内容が法令に違反する場合に可能(判例では、決議の内容ではなく、動機や目的に公序良俗違反があるにすぎない場合は無効とはならないとしている)

先程から登場している『取締役』は、法人としての会社に、その経営つまり日常的業務の遂行を任された人のことを指しています。
取締役は法定の欠格事由さえなければ誰にでもなれますが、公開会社においてのみ、定款によって株主に限定することが出来ないとされています。
取締役は、取締役会設置会社なら3名以上、取締役会非設置会社なら1名以上置く必要があり、任期は原則として選任後2年(委員会等設置会社は1年)以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会が終結するまでです。
しかし非公開会社は定款により、10年以内に終了する事業の年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結時まで伸長することが可能です。
取締役の選任は株主総会の普通決議で行われ、解任も同様の場所で出来ますが、正当な理由なしに解任した場合には、会社は損害賠償義務を負うことになります。
会社と取締役は委任の関係になるため、取締役は職務を行うにあたって忠実義務を、任務懈怠によって会社に損害を与えると任務懈怠責任(損害賠償責任)を負い、また、取締役が競業または利益相反取引を行う際には株主総会(取締役会設置会社は取締役会)の承認を要します。
職務において取締役に悪意または重過失があった場合は、それによって第三者に生じた損害を賠償する必要があり、責任を負うべき者が複数いれば連帯責任になります。
取締役会の設置は、非公開会社のみ任意でその他の会社は必要的設置とされています。
必要に応じて各取締役が召集しますが、最低でも3ヶ月に1回以上の招集が必要です。
会日の1週間前(定款で短縮可能)までに通知しなくてはなりませんが、定款によって各取締役が同意すれば書面・電子メールによる決議も出来ます。
召集権者は、定款もしくは取締役会で決定します。

会社を代表する、かつ業務を遂行する機関を『代表取締役』といい、ここには会社の業務に関する一切の裁判上または裁判外の権限があります(制限を加えても善意の第三者には対抗出来ない)。
代表取締役については、
・設置
 取締役会設置会社:必要的設置期間・取締役会決議
 取締役会非設置会社:各取締役が代表権を有し、取締役が複数いれば代表取締役の設置も任意で可能、定款・取締役の互選または株主総会で選任(定款が必要)
・終任および退任
 両者ともに、取締役の地位を喪失することで代表取締役の地位も喪失することになる
 辞任はいつでも可能
・解任
 取締役会設置会社:取締役会決議によって解任可能
 取締役会非設置会社:互選または株主総会決議によって解任可能
・欠員
 両者ともに、任期満了退任または辞任した代表取締役には、新しい代表取締役が就任するまでの間、代表取締役としての権利義務がある
・表見代表取締役
 両者ともに、代表取締役以外の取締役に、社長や副社長などといった、会社を代表する権限があると認められる名称をつけた場合にはその取締役の行為について善意の第三者に大して責任を負う
というポイントをおさえておきましょう。

取締役の職務執行を監督する機関を『監査役』といいます。
監査役には取締役会に出席し、必要に応じて意見を述べることが求められます。
もしも取締役が不正行為をしたり、法令や定款に違反する事実があると認めた場合は、遅滞なく取締役・取締役会に報告する必要がありますし、必要に応じて取締役会の招集を請求することも可能です。
監査役にも会社に対する任務懈怠責任が課せられ、悪意または重過失があったときには第三者に対しても損害賠償責任を負います(両方とも取締役等との連帯責任)。
監査役は原則として設置しないといけませんが、大会社でない非公開会社は任意設置となり、また委員会が設置されている会社には監査役は置かれません。
人数は原則として1人以上で、監査役会設置会社は3人以上必要とし、その半数以上は社外監査役でなくてはなりません。
監査役は株主総会の普通決議で選任されます。
監査役になると、株式会社・その子会社の取締役もしくは支配人その他の使用人または子会社の会計参与もしくは執行役との兼職が禁止されます。
権限は原則として会計監査・業務監査ですが、監査役会・会計監査人を設置していない非公開会社に限り、定款によって会計監査権限に限定することが可能です。
子会社の調査権も有します。
任期は原則、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時までですが、非公開会社は例外として、10年以内に終了する事業の年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結時まで定款で伸長することが出来ます。
監査役の解任は、株主総会の特別決議によってなされます。

会社の計算書類などの正確性や信頼性を高めるため、取締役らと共同で計算書類などを作成する機関を『会計参与』といいます。
監査役の設置が出来ない中小企業などで多く用いられています。
会計参与については、
・職務
 取締役や執行役と共同で計算書類を作成
 会計に関して調査し、報告を求める権限を有する
 取締役の不正を発見したときの、株主または監査役への報告義務
 計算書類等の承認をする取締役会に出席して意見を述べる義務
 計算書類等の保存義務(会社とは別に5年間保存)
・設置
 原則として、会社すべてで定款による設置可能(任意)
 株式譲渡制限会社かつ非大会社かつ取締役会設置会社で、監査役を置いていなければ例外で必要的設置
 設置に際して、会計参与を設置した旨と氏名・名称を登記
・資格
 公認会計士・監査法人・税理士・税理士法人に限る
 取締役・執行役・監査役・会計監査人・支配人その他の使用人との兼任は禁止
・選任任期
 株主総会の普通決議によって選任
 任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時まで(定款または総会決議で短縮可能、非公開会社は定款によって10年まで伸長可)
・責任
 職務怠慢などによって生じた損害には賠償責任がある
という点を押さえておきましょう。
なお、株主および会社債権者は会計参与に対し、計算書類の閲覧・謄抄本の交付請求が出来ます。

 

株式会社の資金調達

会社の成立後、資金が必要になった場合にはいかにしてそれを調達するかが問題となります。
銀行から借り入れをすることも出来ますが、株式会社には他に2つの方法があります。

1つ目は「募集株式」の発行です。
新たに株式を発行して出資者を募る場合には「増資」「新株発行」といわれ、その際会社はまず払込期間を定めることが可能です。
新株引受人となった者はその期間内に払込を行い、その行為があった日より株主となります。
非公開会社の募集株式発行において、通常の発行・有利発行ともに株主総会の特別決議で行われますが、公開会社は通常の発行が取締役会の決議で、有利発行が株主総会の特別決議で行われるという違いがあるので注意しましょう。
株主が申込期日までに申込みをしなかった場合や、引受人が払込期日までに払込みをしなかった場合、その権利は失われます。
株式引受人が出資の履行と会社に対する債権を相殺することは認められません。
現物出資は可能とされていますが、その際には裁判所が専任した検査役の調査が必要です。

2つ目の方法は「社債」の発行です。
社債とは、会社が長期の資金調達をするために、会社を債務者として一般市民にお金を借りるという金銭債権のことです。
社債の発行は会社の業務執行行為の1つであるため、取締役もしくは取締役会の決定によって行われます。

また、「新株予約権」と言われる権利も資本金に関係します。
この権利を有する者が株式会社に対してこれを行使したとき、会社から株式の交付を受けられるという、株式の予約システムのようなものです。
この権利の行使があると、原則としては資本金としての計上となりますが、その総額の2分の1までであれば資本金としてではなく、資本準備金として計上することも可能です。
新株予約権の発行方法は、第三者割当てまたは公募による場合と、株主に割り当てる場合とで異なります。
前者のときは、公開会社なら取締役会の決議(有利発行であれば株主総会の特別決議が必要)で、非公開会社なら株主総会の特別決議(総会決議で取締役会や取締役に委任することも出来る)によって発行します。
後者の場合は、公開会社なら取締役会の決議、非公開会社なら株主総会の特別決議(定款によって取締役や取締役会の決定に委任可能)で発行されます。

 

株式会社に関する計算

会社財産を確保するための基準になる金額を「資本」と呼びます。
この資本があるおかげで、取引相手は「この会社は資本金1億円だから取引しよう」などというように取引における目安を知ることが出来るのです。
資本金分の財産はいつでも会社にある、これを「資本維持の原則」といい、日々交わされる取引において大きな役割を担っているのですが、会社は経営状態によって財産が変動するものですから、実際に資本金だけでは「いつでも1億円ある!」などと言いきることは出来ません。
しかし資本金がコロコロ変わっては取引相手も判断に困りますし、その会社側だって欠損が生じたことを出来ることなら世間に公開したくなどありません。
そういった場合に備えて、法律では資本金の予備となる「準備金」の存在を認めているのです。
株式発行で得られた金額のうち資本金に組み入れなかった「資本準備金」(株式払込剰余金・減資差益・合併利益の3種)と、不測の損失に備えて毎決算期における利益の一部を積み立てた「利益準備金」からなる「法定準備金」を、資本金に欠損があった場合にそちらに補填することで、生じたつじつまを合わせることが出来ます。

しかし、準備金を資本金に変動させたりなどということは、やりたければいつでもやって良いわけではありません。
準備金や資本金が互いに変動することを「資本の部の係数変動」といい、剰余金減少から資本金へ・剰余金減少から準備金へ・剰余金の処分・準備金減少から資本金という変動は株主総会の普通決議によって、資本金額減少は株主総会の特別決議によってなされます。

資本金額減少が特別決議を要するのは、本来保持されるべき資本金の額が引き下げられるということで「資本維持の原則」を揺るがす要素があるからです。
株主の利害に深く関係しているため、原則、株主総会の特別決議が必要ですが、資本から欠損を補填する場合にはまだ、将来の剰余金配当の可能性があるため普通決議でよいとされています。
また、取締役・取締役会の決定によっても資本減少が出来ることもあります
どの場合でも、債権者の保護のため、債権者は1ヶ月以内に資本金額減少に異議を述べることが可能だ、という旨を官報で公告しなければなりませんし、知れている債権者に対しては個別の報告が必要です。

では、利益が出て、株主にとっての「剰余金の配当」が行える状況になったらどうなるのでしょうか。
もちろん株主は配当をもらえますが、配当を無限に認めてしまうと会社の財産がゼロになり存立すること自体も危ぶまれるため、剰余金配当については一定の制限が定められています。
配当される金銭等の帳簿価額の総額は、剰余金の配当が効力を生ずる日における配分可能額以下でなくてはいけませんし、また、株式会社の純資産額が300万円未満である場合には剰余金の有無に関わらず配当が出来ないとされています。
自己株式の配当を受けることも不可能です。

実際に剰余金を配る場合には、原則としていつでも株主総会の普通決議で行ってよいとされています(現物のみの配当の際には、株主総会の特別決議が必要)。
取締役会設置会社は、一事業年度につき1回のみ、取締役会決議によって中間配当をする旨を定款で定めることも可能です。
配当の際、会社が分配可能額を超えた場合には、会社や債権者は違法配当を受けた株牛に対してその支払を請求することが認められますし、取締役等も会社(悪意・重過失であれば第三者)に対する損害賠償責任を負います。

また、株主は会社への出資者ですから、ただただ配当金をもらうだけではなく会社の事業経営などを逐一知っておくことも認められるべきです。
そのため、株主や債権者には是正手段として、会社についての情報を得るための権利が付与されています。
総株主の議決権の3%以上の議決権を有する株主または発行済み株式の3%以上の株式を有する株主は、「会計帳簿類の閲覧・謄写請求権」を有し、会社の営業時間内であればいつでも会計帳簿や関連資料の閲覧、もしくは謄写の請求が可能です。
また、株式の多少に関わらず、株主および債権者は「計算書類等の閲覧・謄写請求権」を有しているため、営業時間内ならいつでも計算書類等の閲覧、謄写本の交付を請求出来ます。

 

会社の再編

景気や社会情勢はめまぐるしく変化しますから、会社も常にその動きに合わせた形態をとっていく必要があります。
そのため、会社法では柔軟な組織再編を認めており、会社がその時々の世の中に合った存在となれるようになっているのです。
組織再編には「組織変更」「合併」「会社分割」「株式交換・株式移転」の4種があります。

組織変更は、会社の人格は同一性を保ったまま、他の種類の会社になることです。
会社法上では、株式会社から持分会社への組織変更、またその逆が認められています。
株式会社が組織変更する際には、まず組織変更計画書を作って総株主の同意を得て、組織計画書を本店に設置し、新株予約権者は新株予約権の買取請求が出来るとし、債権者保護手続(1ヶ月以上定めて官報に公告、および知れている債権者に各別に通知・債権者が組織変更について異議を述べることを可能に)という手続を踏む必要があります。
持分会社が株式会社に組織再編するときは、組織変更計画を作成して総社員の同意を得、上記と同様の債権者保護手続をとります。

複数の会社が1つになる合併には、「吸収合併」と「新設合併」があります。
吸収合併は、合併によって消滅する会社の権利義務全てを、合併後に存続する会社が承継するというもので、新設合併は合併で消滅する会社の権利義務全てを、合併で設立する会社に承継させるというものです
どちらの場合でも、消滅した会社の財産は全て存続・親切会社に包括継承されます。

合併は全ての会社間で行うことが可能ですが、その際には株主総会の特別決議を必要としますが、合併対価の額が存続会社の純資産額の20%以下の「簡易合併」では存続会社の株主総会の決議は不要とされます。
吸収合併の相手方が、総株主の議決権の90%以上を保有している特別支配会社であれば、被支配会社の株主総会決議は不要です。
権利義務は包括承継されるため、判例では、存続会社は消滅会社の債務を引き継がないと合併の本旨に反するという理由で無効であるとしています。
存続会社は合併の効力発生日に、新設会社は設立日に、消滅会社の権利義務の一切を承継するのです。
権利義務の包括承継については、消滅会社の精算手続が行われない、合併による解散・消滅は登記後でないと第三者に対抗出来ない、合併に反対する株主には株式買取請求権が認められる、会社債権者保護のため公告、かつ、知れている債権者への各別の告知が必要です。

会社の事業の全体、または一部を構成する権利義務関係を他の会社に包括的に承継させることを「会社分割」といいます。
会社分割が行われる場合の目的は大抵が不採算部門整理や事業効率化であり、事業譲渡とは異なるので注意しましょう。
企業がその事業に関して有する権利義務の全部または一部を分割して他の会社に承継させる「吸収分割」と、単独または複数の企業がその事業に関して有する権利義務の全部または一部を分割によって新たに設立する会社に承継させる「新設分割」があり、園舎は多くの子会社を有する親会社が子会社を整理統合するなどの場合、後者は企業の優良・成長部門の独立などで行われます
会社分割の制約として、分割会社には株式会社または合同会社しかなれない、というものがあります。
が、会社分割をする場合には、株主早期の特別決議によって承認を得ることが求められます。
分割によって会社から出る資産が純資産額の20%以下である「簡易分割」および分割の相手方が特別支配会社である「略式分割」の場合には特別決議は不要です。
反対株主には株式買取請求権が認められますし、会社債権者保護手続として公告、かつ知れている債権者に各別の催告をすることが必要です。
効力が発生し、権利義務が承継されるのは、吸収分割なら吸収分割契約で定められた分割の効力発生日、新設分割なら新しく設立された会社が成立する日です。

株式交換は、発行済株式の全部を他の株式会社または合同会社に取得させるというもので、企業を買収して完全子会社とする際に現金ではなく両者の株式の交換によって買収を成立させることが出来る仕組みです。
完全親子会社関係の形成を簡易・迅速に出来るようにするため、平成11年の法改正によって導入されました。
株式移転は、単独または複数の株式会社が発行済株式の全部を新たに設立する株式会社に取得させることでで、完全子会社となる既存会社の株主が、新設会社である完全親会社に対して自分の株式を交付し、その見返りとして新設法人の株式交付を受けるというものです。
他の株式会社を支配すること・その会社の株式の保有を目的とした「持株会社(ホールディングカンパニー)」の創設時に利用される方法です。
株式交換・株式移転ともに、合名・合資会社はどちらもなることが出来ず、また合同会社も親会社にはなれるものの完全子会社にはなれないという規定があります。
原則として、株主総会の特別決議による承認を必要としますが、株式交換完全親会社が子会社に交付する株式等の財産の価額が親会社の純資産額の20%以下である「簡易交換」では親会社の、株式交換完全親会社が子会社の特別支配会社である「略式交換」では子会社の、決議がそれぞれ不要となります。
株式交換・株式移転に関する事項の書面の閲覧・交付請求権は株主・新株予約権者にのみ認められ、反対株主には株式買取請求権があります。
原則、会社債権者保護手続は不要とされています。

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