行政書士の試験科目より 天皇~象徴的地位・国事行為・任命行為~

行政書士の試験科目より 天皇~象徴的地位・国事行為・任命行為~


行政書士試験で出題される憲法では、天皇について定義しています。

最も重要なのは国事行為に関する事項ですが、行政書士試験では基本的に、天皇の問題が出るときは1~8条の条文の有無について問われることがほとんどです。
範囲は広くないため、出題されたときに備えてしっかり押さえておきましょう。

1 天皇の地位

日本国憲法の第1条では

「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」

と、天皇の地位を定めています。

戦前、明治憲法下における天皇は国家元首でした。
しかし現在の地位は象徴にすぎず、その権限は第3条

「天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。」

および、第4条第1項

「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。」

第2項

「天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。」

と、天皇独自の判断や責任では国に対して何かをすることは基本的にできないとされています。

2 国事行為とは

では、天皇がするという「国事行為」とは何なのでしょうか。

これについては、憲法7条で定められています。
行政書士試験においてはここが重要なので、全て覚えておくとよいでしょう。
難しい解釈はなく、とにかくここにある通りの行為が天皇の役割なので、10号全て暗記するべきです。

天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行ふこと。

これが憲法7条、天皇の国事行為です。

大きく「儀礼的行為」「形式的行為」「認証行為」に分けられるこれらは委任することが可能で、天皇が子どもだったりする場合などは聖徳太子や藤原道長で有名な「摂政」を置き、天皇の名で行うということも可能です。

3 皇位継承

第2条では

「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」

と定めています。

以前、皇太子の長女が誕生した際「女性天皇は認めるべきか」という議論が生まれましたが、憲法上では天皇の性別に関する規定はありません。
規定されているのはあくまで「世襲」ということのみで、天皇家の血筋にある者ならば継承権があるとしているのです。
天皇の継承資格は男子のみにあると言っているのは皇室典範だけなので、皇室典範を改正すれば女性が天皇に即位することも可能になるでしょう。

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内閣総理大臣および最高裁判所長官の任命 天皇の役割として国事行為とは別に、内閣総理大臣や最高裁長官の任命があります。

これは憲法6条第1項

「天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。」

および、第2項

「天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。」

で定められていますが、これはあくまで形式上の行為です。実際に総理大臣や裁判官を選び、指名するのは国会や内閣なので、その指名通りに任命することになります。

内閣総理大臣を指名するのが国会、任命するのが天皇、最高裁長官を指名するのは内閣で任命するのが天皇、その他の裁判官を任命するのが内閣、というところはややこしいですが、整理しておきましょう。

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