被告人の権利~身体の自由に基づく権利~

被告人の権利~身体の自由に基づく権利~

行政書士試験で出題される憲法の三大原則の1つ、「基本的人権の尊重」の中には自由権の保障が含まれています。

自由権をさらに分化すると「精神の自由」「身体の自由」「経済の自由」となります。
このうち「身体の自由」は「人身の自由」ともいい、「奴隷的拘束からの自由」と「適正な刑事手続の保障」から成り立っています。

被告人の権利

被疑者が起訴されると被告人として扱われますが、被告人もあくまで「国民」であることに変わりはないため、公平に扱われる権利はあります。

被告人の権利は32条『裁判を受ける権利』の「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」および37条第1項『公平・迅速・公開要件の充足の必要性』の「すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。」で認められています。
独裁国家ではないのですから、被告人に裁判を受ける権利が保障されているのは当然ですが、37条の「公平」「迅速」とはなんでしょうか。

たとえば、ひき逃げ事件を起こした被告人の裁判の裁判官が、偶然にも被害者の親族だったとします。
これでは被告人にとって「不公平な裁判だ」と思えるのも当たり前ですから、別の裁判官に代えてもらうよう頼みたいところでしょう。
そのために、刑事訴訟法では除斥・忌避・回避の制度を用意しています。

また、日本の裁判は判決が出るまでに時間がかかるという特徴があり、有罪なのか無罪なのかわからず不安定な状態を避けるべく、迅速な裁判を受ける権利が規定されています。
判例では、著しく遅延した裁判を、審理を打ち切る法律がなくてもこの37条第1項の権利を根拠に裁判を終了出来るとしています。

 

証人についての権利

37条第2項では、「刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。」としています。

前段が意味しているのは「証人審問権」で、証人が嘘をついていないかを弁護士が問いただすという権利です。
後段は「証人喚問権」で、公費で証人を呼べる、つまり被告人はお金をかけなくてよいと明記されていますが、結果として有罪だった場合は、その費用を被告に請求することが可能になります。

 

弁護人を依頼できる権利

37条第3項では「刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。」と、被告人の国選弁護人依頼権を認めています。

被疑者の場合は憲法上認められていないのですが、近年の状況の変化を受け、2006年に自白強要などを防ぐ目的で「被疑者国選弁護制度」が導入されました。

 

黙秘する権利

38条第1項では「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」と、黙秘権が保障されています。

これは被疑者、被告人共通の権利です。

 

自白の無効要件

38条第2項では「強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。」、第3項では「何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。」と、任意性の無い自白の証拠能力を否定する「自白排除の法則」および、任意性があってもそれ以外に有罪の証拠が無い場合にはその自白も証拠能力を失う「補強証拠の法則」を定めています。

警察からすれば、犯人にさっさと自白してもらうことがベストなのは当然です。
しかし自白させようとするあまり、無理に言わせようとするとそれが本当に犯人であればともかく、早くその空気から逃れたいがあまりやってもいないことを自白してしまう、冤罪を生んでしまう原因にもなりかねません。
そのため、こういった法則があるのです。

なお、法廷での自白は第3項の「本人の自白」には当たりません。

 

裁判後の権利

39条では「何人も、実行の時に適法であった行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問われない。また、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問われない。」と定められています。

前段では、その行為がなされた時点で犯罪とされていなかった場合、もしその後にそれを犯罪とする法律が出来ても適用できない「事後法の禁止」、後段では一事不再理の原則を意味し、同一の事件は一度審理したら再度の審理はしない、「二重処罰の禁止」を規定しています。

 

残虐な刑罰の禁止

36条では「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。」と、拷問や残虐な刑罰を固く禁じています。

しかし判例上、死刑は残虐な刑罰には当たらず、そもそも13条や31条が死刑を想定したものであるため例外です(火あぶりやはりつけなど執行方法が残虐なものは認められていないが、現行の絞首刑は残虐では無いと判断されています)。

 

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