行政不服申立て~『権限を有する行政庁』ってどこ? 申立て期間に制限はあるの?~

行政不服申立て~『権限を有する行政庁』ってどこ? 申立て期間に制限はあるの?~

行政書士試験に出題される行政法では、行政争訟制度について定められています。
行政法は行政書士試験合格のために最も重要な科目と言えますが、ここはその中でも特に難しい分野です。
テキストや判例集など、しっかりと勉強法を考えることが必要でしょう。

さて、行政争訟制度の1つである行政不服申立てをするには、行政の処分又は不作為であること、そして正当な当事者であることが要件とされていました。
他の要件には、どのようなものがあるのでしょうか。

 

権限を有する行政庁に対する申立

行政庁ならばどこでも良いからとりあえず不服申立てをする、なんてことは当然ながら出来ません。
まったく無関係なことに対して不服を訴えられても、行政庁の側も困ってしまいます。

不服申立て先と出来るのは、権限を有している行政庁です。
異議申立ての場合は「処分庁か不作為庁」、審査請求の場合は「当該処分庁の直近上級行政庁(法令でとくに審査庁が指定されていればそこに)」と差異があるため、試験勉強の際には気をつけましょう。

 

不服申立期間内の申立

行政行為には不可争力(一定期間以上経過すると、私人側からその効力を裁判で争うことが出来なくなること)があるため、指定されている期間内に不服を申し立てる必要があります。

異議申立て・審査請求では、処分があったことを知った日の翌日から60日以内、および、処分または裁決のあった日の翌日から1年以内に、再審査請求は裁決があったことを知った翌日から30日以内、および処分または裁決のあった日の翌日から1年以内という期間を過ぎると、不服申立てが出来なくなります。
不作為に対する不服申立てでは、不作為が続いている間であれば期間の制限はありません。

 

形式と手続の遵守

不服申立てをする際には、決められた形式を守って手続を踏まなくてはいけません。

書面提出主義を採用している不服申立てでは、原則として書面を提出して行うことになります。
審査請求では正本・副本の2通、異議申立てでは正本の1通を出しますが、法律・条令に規定があれば例外として口頭の手続になります。

書類は、審査庁に持参または郵送し、この郵送に要した日数は審査請求期間の計算外とされます。
審査請求の場合は、処分庁を経由する形の申立ても出来ます。

なお、補正可能レベルの不備が不服申立書にあった場合、審査庁は相当な期間を定めて補正命令をしなくてはいけません。

 

審査対象

不服申立ては行政庁の処分や不作為といった法律問題のみならず、妥当性を問う裁量問題にも及んでいます。
一方、行政事件訴訟では裁量権の逸脱・濫用がなければ司法審査は及ばず、原則として違法性のみの審判になります(不告不理の原則)。

不服申立てと行政事件訴訟の違いは他にもあります。
不服申立ての審理は原則書面審理で行われますが、行政事件訴訟の審理は弁論主義を原則としていますので、この違いを押さえておきましょう。
ただ、行政事件訴訟の場合でも例外があり、審査請求人や参加人の申立てがあったときは口頭で意見陳述の機会を与える必要があります。
尚、その際には、申立人は審査庁の許可を得れば保佐人と共に出頭することが可能です。

不服申立てでは手続の迅速性が要求されるため、職権主義に基づき行政庁が主導的に審理を進めます。
職権主義的手続には「参考人の陳述・鑑定の要求」「物権の提出要求」「検証」「審査請求人・参加人の審尋」があります。
申立人が争っていないことについても職権探知主義により、審査庁は主体的に調査・審理し、裁決等の資料に出来ます。

ただ、申立人の権利利益を保護するためには審理の公正の維持が必要であるため、当事者主義的手続き(証拠書類・証拠物の提出権など)も認められています。

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