社会権~教育を受ける権利・労働基本権~

社会権~教育を受ける権利・労働基本権~

行政書士試験で出題される憲法の三大原則の1つ、「基本的人権の尊重」の中には社会権の保障が含まれています。

社会権の基盤となっているのは、25条の「生存権」でした。

教育を受ける権利

26条では、第1項「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」および第2項「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」で、教育を受ける権利を定めています。

学習権は第1項にあるように、全ての国民に認められてはいるのですが、メインとなるのはやはり教育を受け、自分自身を人間的に発達成長させていく子どもです。
そのためには第2項にあるように、親が子供に普通教育を受けさせる義務が必要なのですが、全ての親が個人で十分な教育を施せるとは限らないため、国が教育基本法などの教育関連法規を整備しています。
教育を受ける権利が社会権とされているのは、この所以です。

その、子どもが受ける教育の内容は誰が決めるのでしょうか。
これは国民(親→教師)によるという「国民教育権説」と、国が教育指導要領を作ってそれに基づく教育をするという「国家教育権説」に分かれます。
最高裁の見解では折衷説が採用されていて、親が学校選択と家庭教育を担当し、教育は一定範囲の教育の自由を持っているものの、国家もまた教育の全国水準維持の立場から、一定の教育権を持っているとしています。

ちなみに、義務教育における「無償」は授業料に限った話であると判例はしていて、制服だのノートだの書道セットだのというものは、自分で買うべきだということになっています。

 

労働基本権

28条では、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」と労働基本権を定めています。
労働基本権には、労働組合を作る「団結権」、使用者と交渉する「団体交渉権」、ストライキする「団体行動権(争議権)」があります。

雇われている側と雇う側というのは、どうしてもパワーバランスが平等にはなりにくいものです。
そのため労働者側の権利を守るべく、労働者が力を合わせて雇用主と交渉する権利を認めているのです。
なお、その雇用主には団体交渉応諾義務があるため、正当な理由なしに交渉を拒否することは許されません。

また、ストライキを行うとなると、場合によっては脅迫罪や威力業務妨害罪等の刑法上の罪に問われたり、労働契約違反となって債務不履行にあたることがありますが、正当な争議行為であれば「刑事免責」および「民事免責」が適用されるため、それらの責任は問われずに済みます。

 

団結権と統制権

団結権には「団結権」と「統制権」の2種類があります。

前者は、労働組合を結成する・しない自由と、その組合に加入する・しない自由を意味しています。
ですが、組合と使用者の間でユニオンショップ協定が結ばれているという場合、加入しない自由は認められていません。

後者は、労働組合が団体としてまとまって行動していく以上、組合は一定の統制権を組合員に対して持っているということです。
民主党や社民党、共産党などの支持基盤は労働組合です。
しかし組合員にも参政権があり、立候補の自由は憲法上認められているため、仮に組合員が労働組合の支持する候補の対抗馬として立候補してしまっても、統制権を行使して立候補の自由を制約し、除名処分をするということは許されません。

 

団体行動権

争議行為としてはストライキがよく実行されますが、他にもサボタージュやボイコット等が認められています。
が、判例上では「生産管理」という、雇用主に代わって労働組合が経営を行う争議行為は正当なものだと認められていないため注意しましょう。

他にも、労働環境の向上に全く関係の無い、たとえば労働組合を利用して政治や国会に対するストを行うなどは正当な行為として扱われません。

 

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