行政書士の試験科目「憲法」より ~ 裁判所と司法権③ 裁判所の組織・国民審査・裁判所規則制定権・違憲審査権

行政書士の試験科目「憲法」より ~ 裁判所と司法権③ 裁判所の組織・国民審査・裁判所規則制定権・違憲審査権

行政書士試験で出題される科目のひとつである「憲法」。憲法では権力分立の考え方がとられており、「立法権」「行政権」「司法権」に分散された権力を、それぞれ「国会」「内閣」「裁判所」に与えています。今回は、裁判所の組織・国民審査・裁判所規則制定権・違憲審査権について解説します。

1. 裁判所という組織

裁判所には通常裁判所と特別裁判所があります。現行憲法では特別裁判所の設置が認められていないため、裁判が行われるのは通常裁判所となります(弾劾裁判所は憲法上にある唯一の例外)。

(1)最高裁判所の構成

最高裁判所の構成は、下記のように定められています。

憲法6条第2項
天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。

憲法79条第1項
最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する。

裁判官は、最高裁判官1人と裁判官14人の計15人で構成されます。そのうち10人は一定の経験を持った法律家である必要があります。

(2)最高裁判所の権限

最高裁判所の権限は、憲法で下記のように定められています。

憲法81条
最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

憲法77条第1項
最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。

憲法80条第1項
下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。

(3)裁判所の持っている権限

裁判所は下記の権限を持っています。

・一般裁判権
・国家行為の合憲性審査権
・最高裁判所規則制定権
・下級裁判所裁判官指名権
・下級裁判所および裁判所職員を監督する司法行政監督権

2. 国民審査

最高裁の裁判官に関しては衆議院選挙の際、「裁判官にふさわしくない」と思ったら「×印をつける」という国民審査を設けることが定められています。

憲法79条第2項
最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。

ちなみに、下級裁判所の裁判官の国民審査はありません。

3. 裁判所規則制定権

裁判所の自主性を確保するため、そして裁判所の専門的判断を尊重するため、裁判所規則制定権が認められています。これは憲法41条にある「国会は唯一の立法機関」の例外となる、実質的な立法権だといえるでしょう。

裁判所規則制定権は、憲法77条で定められています。

憲法77条第1項
最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。

憲法77条第2項
検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。

憲法77条第3項
最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。

4. 違憲審査権

憲法81条で定められている通り、裁判所は全ての法律・命令・規則・処分が憲法に違反していないかを判断することが可能です。

憲法81条
最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

この条文を見ると、違憲審査権があるのは最高裁だけのように見えますが、下級裁判所も違憲審査権を持っているので気を付けましょう。

通説では、違憲審査は具体的な事件が起こったときの裁判に付随して行われ、仮に法令が違憲とされてもすぐさま失効というわけではなく、その事件では適応しないということになります。

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