行政書士の試験科目より 〜「基本的人権の尊重」のうち受益権・参政権など

行政書士の試験科目より 〜「基本的人権の尊重」のうち受益権・参政権など


行政書士試験で出題される憲法の三大原則の1つ、「基本的人権の尊重」の中には、受益権や参政権というものがあります。

1 受益権

16条では

何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

と、請願権が定められています。

請願権とは受益権の1つで、参政権を平穏に行使できるよう、補充する性格を持っています。
主体は未成年、法人、外国人を含んでおり、請願を受けた機関は誠実に処理する義務を負っていますが、内容に応じた措置までは必要ありません。

2 裁判を受ける権利

また、32条で

何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。

と、裁判を受ける権利が定められています。

37条は刑事事件について公平、かつ迅速な公開裁判を受ける権利を保障し、裁判によらない刑罰は無効であるとしています。
そして32条では、刑事、民事、行政全ての事件を対象とし、裁判所に訴訟を提起して裁判を求められると定めています。

判例における「裁判所」は、最高裁と法律で定める下級裁判所を指していて、訴訟法で定める管轄権を有する具体的裁判所で裁判を受けることまでは補償していません。
また、出訴期間が定められていても、その期間が著しく不合理で、事実上裁判の拒否と認められるような場合でない限り、32条違反にはならないとされます。

3 刑事補償請求権

40条では

何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。

と、刑事補償請求権が認められています。
これは無実の罪で逮捕勾留された場合、その補償を国に請求できるという権利です。

条文上で保障されている刑事補償はこのケースだけで、免訴と控訴棄却について刑事訴訟法が補償しますが、不起訴の場合の補償規定は憲法・刑事訴訟法のどちらにもありません。
判例では、実質上無罪となった事実の抑留拘禁であると認められた場合には、不起訴になった時の抑留拘禁でも、40条にある補償が受けられることもある、としています。

4 国家賠償請求権

これは憲法17条に

何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。

と定められている権利で、国家賠償法などの実体法で具体化されています。
行政書士試験では、この国家賠償法としての出題となりますが、根源にある概念はこの憲法17条なので押さえておきましょう。

平成14年、郵便局の特別送達等の書留において、それが郵便局の職員の故意重過失による事故であっても賠償する基準・賠償額に郵便法が制限を設けているということが、この17条で保障される国家賠償請求権に違反しているという判決も出ました。

5 参政権

参政権は、民主主義の国家を作るにあたって非常に重要な権利です。

日本国憲法で参政権を保障しているのは15条で、第1項で

公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。

と定められています。
現在の日本の選挙は、満18歳以上の誰にでも、人種・職業・身分・性別に関係なく選挙権の与えられる「普通選挙」、一人一票を原則とする「平等選挙」、投票をするかしないかを選べる「自由選挙」、誰に投票したのかを公表されない「秘密選挙」、候補者を有権者が直接選ぶ「直接選挙」の形をとっています。

平成17年、在外選挙権の制限について、選挙権を制限している公職選挙法の規定が憲法15条1項、3項、43条1項、44条のただし書に違反しているとされ、違憲判決が出されました。
この判決は国会の立法不作為についても触れているのですが、最高裁が違法と認め、国家賠償の請求が認められたのは初めてでした。

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