行政書士の合格者ってどんな人?~行政書士試験の合格体験談

行政書士の合格者ってどんな人?~行政書士試験の合格体験談

はじめに

「現在の仕事は、やりがいもなくてあまり専門性もない」と感じている方は、行政書士の資格を取得してみませんか?行政書士は国家資格で、取得することにより幅広い業務を行えるようになります。

行政書士の試験は、日本でも有数の難関試験ではありますが、あらゆる年代の方が受験されています。今回は行政書士の資格を取得した人が、どのような方法で学習し試験に合格したのか、まとめてみました。

「行政書士の資格を取得したいけど、どうしたら良いかわからない」という方には必見の内容となっていますので、ぜひ参考にしてみてください。

1. 行政書士とは?

行政書士は、行政書士法に基づいて、他人の依頼を受け、報酬を得て、官公庁に提出する許認可等の申請書類の作成や、提出の代理、さらに相談業務などをおこないます。

取り扱える書類はなんと数千種類!

資格を活かして独立開業することも可能です。

(1)行政書士の業務範囲

では実際に行政書士の業務にはどのようなものがあるのでしょうか。

行政書士の業務は多岐に渡りますが、大きく個人に関する相談業務と、法人に関する相談業務に分けることができます。

それぞれ見ていきましょう。

①個人に関する相談

生活に関わるものから専門的なものまで、個人に関する相談を幅広く請け負うことができます。

Ⅰ.遺言・相続

行政書士は、遺言に関するさまざまな書類の作成を引き受けることができます。具体的には、遺言書を作成するときのお手伝いや、遺産分割を行う作成する協議書等の作成、さらに相続する財産がどのくらいあるのかといった調査まで引き受けることが可能です。

Ⅱ.契約書

行政書士はさまざまな契約書の作成を行うことができます。例えば、交通事故を起こした場合の手続きに使用する書類や、土地や建物、さらにはお金などの貸し借りの際に使用する契約書類の作成も行うことができます。

Ⅲ.自動車登録

自動車に関する手続きも行政書士が行えます。引越しをした場合などに自分が所有している自動車のナンバーの変更や、他人に譲ったときの名義変更など、自動車のさまざまな登録申請を、所有者に代わって引き受けることができます。

Ⅳ.日本国籍取得

外国に国籍がある方で、日本の国籍取得を希望する人がいた場合の申請(帰化申請)を行うことが可能です。

Ⅴ.土地活用

自分の所有している土地に家を建てたり、そこを駐車場にしたりしたい場合だけでなく、農地を売りたいときなどに必要となる、さまざまな申請手続きを代行できます。

Ⅵ.内容証明

行政書士は、内容証明郵便、公正証書等の書類作成や債権債務問題に関する諸手続きも行うことができます。内容証明郵便とは「いつ、誰から誰あてに、どのような文章が差し出されたか」を証明するものです。公正証書は、長年法律に携わってきた法律のプロである公証人に、証書内に書かれている内容を証明させて、法的な拘束力や強制力を持たせることにより、のちのちの個人間の争いを防ぐ効果があります。

②法人に関する相談

法人に関する相談業務については以下の通りです。

Ⅰ.外国人雇用関係

外国人を雇って働いてもらう時に必要な届出の申請手続きを代行します。入国管理局へ申請の手続きなどがこれにあたります。

Ⅱ.法人関連手続

法人を設立する時に必要な手続きとその代理や、事業を運営していくお手伝いをすることができます。たずさわることができる法人は、株式会社やNPO法人、医療法人、学校法人、組合などです。

Ⅲ.許認可申請

自営業を行う際に必要となる許認可の申請業務を代行することができます。飲食業、建設業、運送業、産業廃棄物、処理業、化粧品の製造、輸入販売業等の許認可の申請を、経営者などに代わって行うことができます。

Ⅳ.中小企業支援

中小企業の運営にあたって、さまざまなお手伝いを行うことができます。一例としては、知的資産経営の導入支援や、知的資産経営報告書の作成サポートなどが挙げられます。

Ⅴ.知的資産・知的財産

著作権があるものは文化庁への登録申請が必要ですので、製作者などに代わって行政書士が申請を行えます。行政書士は知的財産権の保護だけでなく、啓蒙活動も行います。

Ⅵ.電子申請・電子調達

行政書士が「行政書士電子証明書」を保有している場合、電子署名を要求される申請や届け出について、その手続きを代理で行うことができます。

ここまで紹介してきた行政書士の業務範囲は、あくまでもおおまかな分類ですので、実際の業務はさらに幅広いものとなります。

(2)行政書士になるためには?

行政書士は、司法書士や弁理士、税理士と比べても、合格しやすい資格です。

年齢制限などの受験資格も特に設けられていないので、法律の初心者でもしっかり学習すれば合格を狙えます。

行政書士の資格を取得するには、毎年行われる行政書士試験に合格する必要がありますが、一度合格すれば有効期限はなく、更新も必要ありません。

それでは具体的に、行政書士試験について確認していきましょう。

①行政書士試験のスケジュール

Ⅰ.試験の申し込み~試験当日まで

行政書士試験は、年に1度、11月の第2日曜日に実施されます。受験をするためには、毎年7月末~8月末までの申し込み期間に申し込みを済ませておく必要があります。どんなに忙しくてもこの期間に申し込まないと、来年まで試験を受験することができません。申し込みは郵送とインターネットどちらでも可能です。

Ⅱ.合格発表

試験が終了すると、翌年1月下旬に合格発表があり、行政書士試験研究センターの掲示板もしくはホームページに結果が掲載されます。その後、合否通知書が自宅宛に郵送され、合格者には合格証も届けられます。合格証の再発行はできないため、注意しましょう。

②試験の内容について

Ⅰ.出題科目

行政書士試験の出題科目は、

・「行政書士の業務に関して必要な法令等」

・「行政書士の業務に関する一般知識等」

の大きく2つに分けることができます。

「行政書士の業務に関して必要な法令等」は憲法や民法、行政法、商法(会社法)、基礎法学から出題され、試験が行われる年の4月1日時点で施行されている法令に関して出題されます。

「行政書士の業務に関する一般知識等」は政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解などから出題されます。

Ⅱ.出題形式

行政書士試験は筆記試験で行われます。

「行政書士の業務に関して必要な法令等」では、選択肢の中から回答を選ぶ選択式の問題と、40字程度の記述式問題、合計で46題ほど出題されます。「行政書士の業務に関する一般知識等」は、選択式のみで14題ほど出題されます。

「行政書士の業務に関して必要な法令等」に関する問題が大半を占めていることがわかります。

③合格基準は?

Ⅰ.合格に必要な点数

行政書士試験は300点満点ですが、合格するためには、180点以上(全体の6割)を取る必要があります。

さらに「行政書士の業務に関して必要な法令等」は122点以上(244点満点中)、「行政書士の業務に関する一般知識等」24点以上(56点満点中)がそれぞれ必要です。

Ⅱ.合格率

行政書士試験の過去の合格率は以下の通りです。

※カッコ内は、合格者数/受験者数

・平成30年度:12.7%(4,968名/39,105名)

・平成29年度:15.7%(6,360名/40,449名)

・平成28年度: 9.95%(4,084名/41,053名)

・平成27年度:13.1%(5,820名/44,366名)

・平成26年度: 8.27%(4,043名/48,869名)

このように行政書士の試験の合格率はおよそ10%前後であるため、難関のように感じます。

ただ、行政書士試験は、科目ごとの合格基準点をクリアし、全体で60%以上の得点であれば合格できます。あらかじめ合格者数が決められているわけでもなく、成績上位者〇%が合格できるというわけでもありません。

上述のように受験資格がなく、年齢・学歴・経験などを問わず誰でも受験できるため、中には準備不足のまま試験に臨む人も含まれている可能性があります。

しっかり勉強して受験し、上記の点数を満たせば合格することができるのです。

2. 行政書士試験の合格者の声

実際に行政書士試験に合格した方々は、どのような気持ちで、どのような勉強法を選択したのでしょうか。

ここからは、行政書士試験合格者3名の道のりをご紹介します。

(1)3回目の受験で合格!カギは計画的な勉強法

岩崎直子さん

仕事も趣味も並行しながら行政書士試験に挑んだ岩崎直子さんは、3回目の受験で合格することができました。3回目にして合格を掴めたのは「集中して勉強ができる時間を確保したこと」と、「絶対に合格するという気持ちの強さ」が大きな要因だと言います。

①合格までの道のり

Ⅰ.結果が出なかった1、2年目

岩崎さんは法律に関して初学者だったため、共通の目的を持った人と一緒に学べる塾への通学という勉強方法を選択しました。授業を聞いていれば合格できるだろうと思っていましたが、実際には講義を聴くのが精一杯だったと振り返ります。そんな1年目と2年目は、仕事や趣味・プライベートとの両立がうまくできなかったこともあり、残念ながら結果は伴いませんでした。

Ⅱ.計画的な勉強法に切り替えた3年目

3年目に「今年こそ」と一念発起した岩崎さんは、まず集中した勉強時間を確保しました。

勉強の計画を立て、予定より進まなかった日があれば、その週のうちに穴埋めをすること。それができなければ、月内で計画を見直すことに取り組みました。具体的には、毎日2~3時間、週25〜30時間を勉強時間に充て、短い時間でも集中できるように努めたそうです。

春頃からは、毎週休日になると図書館に通い、朝から閉館時間まで勉強しました。過去2年とは違い、「絶対に合格する」という気持ちの強さが支えとなっていたようです。

②苦手科目の克服法

岩崎さんの苦手科目は、行政書士試験で一番の得点源である行政法でした。苦手を克服するために、得意な人の勉強法や工夫をまねたと言います。

それは、どの法律も繰り返しまんべんなく学ぶために、カテゴリに分けて毎日勉強するという学習方法でした。行政法を総論(一般的法理論)、行手法(行憲法)、行訴法、地方自治法の4つのカテゴリに分類し、毎日1つずつ、それを1週間、1ヶ月と繰り返し勉強するものです。

苦手な行政法に限らず、他の法令科目についても各テーマに分けて、1週間で1周できるように勉強したことが結果的に功を奏したようです。

また、初学者ならではのつまづきとして、複雑な論点の壁にぶつかったときに、試験に出ないような部分でも掘り下げて考えてしまうことがあります。試験対策としては、ある程度疑問が残ったり理解不十分だったりしても、ひとまず結果だけを記憶しておく潔さも必要だと、岩崎さんは感じています。

(2)本試験1カ月前からのスタートで、念願の法律家に

中川幸雄さん

かつては弁護士を目指したこともありましたが、わけあって短い勉強期間で行政書士試験に臨むことになった中川幸雄さん。それでも見事合格することができたのは、法律家になりたい」という強い気持ちと、短期間で効率よく学習できたことだといいます。

①合格までの道のり

Ⅰ.司法試験の合格を断念し、1度は法律家とは別の道へ

中川さんは弁護士を目指していましたが、一度は断念し、別の仕事をしていました。働いているうちに「自分はやはり法律家になりたい」という気持ちに気づき、ちょうど申込期間だった行政書士試験に申し込んだといいます。しかし、当時の仕事で必要だった別の資格試験の勉強のため、行政書士試験の1か月前までは何も手が付けられない状況でした。

Ⅱ.本試験1カ月前に本格的な学習を開始

行政書士試験の1カ月前にもかかわらず、出題科目すら把握していなかった中川さん。法令科目に関しての勉強経験はあるものの、一般知識の出題があると知って慌てました。

そんな状況で、オンライン学習サービスの講座を見つけ、受講をスタートします。一般知識対策として公務員試験向けの講座を活用しました。かなりの知識量を短時間に効率よく理解できたことも幸いして、講義とレジュメを2週間ほど回したところで、試験に臨んだそうです。

②法律家になるという念願を叶えて

法令科目の勉強経験があるというアドバンテージを生かしながらも、危機感を持って短期間に集中して勉強。効率の良い勉強法による一般知識問題対策が功を奏し、中川さんは見事行政書士試験に合格することができました。念願だった法律家になったことで、 希望に満ちて独立開業の準備を始めたそうです。

(3)独学で2度不合格、3度目の正直はオンライン講座で

原正史さん

平日は仕事と育児に追われているという原正史さんは、3回目の受験で行政書士試験に合格しました。1、2回目での失敗を反省し、3回目の受験に際しては「ひたすら暗記」の勉強法ではなく「基礎や定義の理解」と「効率の良い勉強」を目指すことで合格を掴んだといいます。

①合格までの道のり

Ⅰ.独学で臨んだ1、2回目の試験

原さんは、1回目と2回目の試験は独学で勉強して行政書士試験を受験しました。しかし、1回目は一般知識で基準点をクリアできず、2回目は記述式問題をほとんど取りこぼしたため、いずれも不合格となりました。

勉強方法は独学でした。独学を選んだ理由のひとつは、予備校などへの通学に不便な地方在住だったこと。一番近い予備校でも高速道路を使って車で2時間かかるところにあったそうです。

勉強時間は、平日は仕事を終えてお子さんを寝かしつけた後の2時間程度、休日は図書館で6〜7時間でした。独学の反省点は、問題の答えをひたすら暗記する勉強法しかできなかったこと。過去問は解けても、出題形式が変わると歯が立たない状態だったといいます。

Ⅱ.講座を受講して臨んだ3回目の試験

3回目の受験にあたり、原さんは独学による弱点の改善を目指しました。基礎や定義をしっかり理解することが大事だと考え、講座を受講して勉強していくことを決めました。そこからさまざまな予備校を比較したそうです。

時間のない社会人にとって適度なボリュームの授業であること、リーズナブルな授業料であること、地理的に恵まれていなくてもすべてのサービス(サポート)を受けられることなどが決め手となり、原さんはオンライン学習サービスの講座を受講することにしました。

要所はじっくり、不必要な部分はバッサリと、メリハリのある授業で試験のポイントのみを効率よく勉強できたことが合格につながったと原さんは振り返っています。

②勉強方法の工夫

Ⅰ.テキストに情報を集約

授業の板書をノートにまとめずテキストに直接書き込み、情報を集約させました。余白や大きめの付箋を活用するなど、テキストに情報を一元化するような工夫をしたそうです。

受験直前期には、さまざまな書き込みをしたオリジナルのテキストを読み込む勉強が中心となり、授業内容を頭の中で再現できるほど、重要な知識を整理することができました。

Ⅱ.不正解を恐れず問題を解く

独学していた時は問題と答えを丸暗記していた原さんですが、3回目の受験勉強では不正解を恐れずどんどん問題を解いていきました。どの定義(知識)を用いれば解けるのか、学んだ知識がどのように問われるのか、を意識することが大事だと学んだそうです。

3. 行政書士試験に合格する人に共通する特徴とは?

行政書士試験に合格する人にはどのような共通点があるのでしょうか。上記の合格体験談をまとめてみると、2つの共通点が見つかりました。

(1)限られた時間内で効率良く勉強

社会人として働きながら、国家資格の勉強をすることは簡単なことではありません。限られた時間の中で、どのような勉強するかがとても重要です。時間が確保できたとしても、効率的に勉強ができないと不合格となってしまいます。

①独学は非常に厳しい

行政書士試験は、法令科目に関する問題が大半を占めます。法令科目は、日頃から法律に触れていない方にとっては非常に難解な分野ですので、独学で理解を深めていくことは困難です。

合格者の方々は、法律や行政書士試験に詳しい方による講座を受講して、より短期間で理解を深めることができました。試験問題を分析し無駄を省いた授業は、時間の限られた社会人に適しているといえるでしょう。

②主体的に自分に合った勉強法を見つけること

合格者のみなさんは主体的に勉強をしています。

例えば岩崎さんのケース。講座やテキストに頼るだけではなく、

・1日、1週間、1カ月に確保する勉強時間と、勉強内容のスケジュールを組む

・図書館に通うなど、集中して勉強できる環境を整える

・苦手科目克服のため、得意な人の勉強法を参考にする

といった主体的なアクションを起こしていました。

原さんは、

・ 板書をノートではなくテキストに書き写し、情報を集約させた

・ 問題を解くたびにテキストを意識した結果、受験直前期にはテキストを読み込む勉強法を中心とした

という方法で合格しています。

このように、自分には何が足りないのか、自分に合った勉強法は何か、しっかり自分で考えて行動していることがわかりました。

(2)絶対に合格するというマインド

合格者の共通点は、必ず合格するという「強い意欲」です。上述の主体的な学習も、合格への強い意欲がもたらした行動でであると言えます。

中川さんは、弁護士になるという夢を一度諦めてはいたものの「やはり法律家になりたい!」という強い気持ちで行政書士試験に臨んだため、短期間の勉強で合格することができました。

岩崎さんも、合格した3回目の試験勉強の際には「今度こそ必ず合格する」という強い意志があったため、これまでの学習を反省し、行動を変え、 合格することができました。

最後はやはり「行政書士になりたい」という気持ちがなければ、合格できないと言えるのではないでしょうか。

4. サマリー

行政書士とはどんな仕事なのか、行政書士試験はどのような試験なのか、そして合格者の方々はどのように勉強していたのか。ここまで見てきましたが、いかがでしたでしょうか?

合格者の体験談から、効率的な勉強や主体的な行動の重要性が理解いただけたのではないでしょうか。

行政書士試験は、年齢・性別・国籍を問わず受験できます。誰でも法律家を目指せるという点や、資格を取得すると幅広い業務に携わることができる点は非常に魅力的です。

出題される問題は法令に関するものがほとんどです。適切な勉強方法をもって挑戦すれば、取得できる資格と言えるでしょう。

5. まとめ

・行政書士試験は受験資格なし。誰でも法律家を目指せる試験である

・合格率は10%前後だが、全体の60%以上正解すれば合格(科目基準点あり)

・合格者の特徴は、①限られた時間で効率良く勉強できた人

・②自ら主体的に行動した人

・③絶対に合格するという強い気持ちがあった人

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