気になる行政書士の年収は?その実態と年収アップのコツを紹介!

気になる行政書士の年収は?その実態と年収アップのコツを紹介!

「行政書士試験を受けてみようかな…」「受かったけれど、本当に行政書士の資格だけで食べていけるの?」

行政書士という資格を得て独立したいと思う方には、このように考える方も多いのではないでしょうか。
そこで、このページでは行政書士の年収について解説します。

1 行政書士は「自営業」であることを意識すべし

現在、会社で勤務されている方は、「年収」「収入」という言い方をする際には、給料の「額面」「手取り」という2つの種類が頭の中に浮かんでいると思います。

年収を考える上では、行政書士が基本的に自営業であること忘れてはなりません。後述しますが、行政書士はおおむね独立することになり、企業に勤務して行政書士として活躍する方は少数派なのです。

また、クライアントから得たお金は「年商」であって、「年収」とはそこから経費を差し引いた金額です。経費には以下のようなものが考えられます。

・日本行政書士会に年間72,000円
・行政書士政治連盟に年間12,000円
・事務所を借りる場合には月額家賃
・行政書士会の研修や異業種交流会の費用
・ホームページの保守・管理費

これらの経費を年商から差し引いた金額が年収となります。
つまり、経費以上の年商がなければ、年収はマイナスにもなり得るのです。
これを踏まえた上で、行政書士の年収について知っておきましょう。

2 行政書士の年収は平均500万円程度

では、行政書士の年収は具体的にどの程度なのでしょうか。

一般的には、おおよそ500万円程度といわれています。この額面だけを見ると「それなりに食べていけるし、多少は良い境遇なのではないか」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

ただし、一口に行政書士といっても、専業の方、社労士・税理士などの他の士業と兼務している方、サラリーマンの傍で副業としている方など、さまざまです。そういった全ての行政書士について正確な統計を取っているところはないため、一律に考えるわけにはいきません。

実は、どの行政書士も同じように500万円程度の収入を得ているわけではなく、多額の売上のある一部の行政書士が、平均値を引き上げていると考えられるのです。

3 行政書士としての稼ぎ方・働き方

行政書士としての働き方には、どのような可能性があるのでしょうか。ここでは専業、兼業という切り口で解説していきます。

(1)行政書士専業

まずは、行政書士業務のみでの働き方、稼ぎ方を考えていきましょう。

行政書士の高額報酬が得られる業務の一つに、建設業許可があります。日本行政書士会の報酬額の統計ぺージに記載されている「建設業許可申請」の報酬最頻値を見てみると、個人の場合は新規が10万円、更新が5万円、法人の場合は新規が15万円となっています。複数の案件依頼があればまとまった収入につながるでしょう。

ほかに、最頻値が5万円の業務に「遺言書の起案及び作成指導」があります。遺言に関しては、必要に応じて不動産の処分や保険商品を利用して節税を促すような場合も発生するでしょう。その際は、不動産会社や保険会社を紹介すると、さらに各業者から報酬を得られるケースも出てきます。

行政書士業は地場の有力者とのつながりが強い仕事です。知り合いを通じて案件を紹介してもらうことも、安定した収入を可能にするはずです。もしそういった人脈がなくても、インターネットを利用したマーケティングで、ホームページなどを利用した集客施策が行えれば、独自の新規顧客開拓もできるでしょう。

一方、新人で特に大きな人脈もなく、マーケティングスキルもない場合には顧客の獲得に苦労するため、独立してから数年は全く収入のない状態が続くことも珍しくないのが、専業の行政書士の特徴なのです。

(2)司法書士との兼業

法務局・裁判所に提出する書類を代行する権限を持っているのが司法書士です。
会社の設立に関わるような場合には、会社設立に必要な定款の作成と商業登記が必須ですが、定款の作成や各種許認可は行政書士の業務範囲であるのに対して、商業登記は法務局の出張所である登記所で行うので司法書士の業務範囲です。

また、相続手続きを行うような場合、不動産の相続登記は司法書士の業務範囲ですが、遺産分割協議書の作成や、その他の相続に関する手続きの代行は行政書士の業務範囲です。

そのため、司法書士との兼業をする行政書士も多く存在しています。

(3)社会保険労務士との兼業

労働保険・社会保険に関する業務を行っているのが社会保険労務士です。社会保険労務士にとっての最大の顧客獲得チャンスは、新たに設立された法人が人を雇用するときでしょう。

司法書士の項目で解説したように、行政書士は定款の作成・許認可の取得という事業を始めるのに不可欠な行為を代行します。この業務を請け負うことができれば、引き続き社会保険労務士として会社の労働保険に関する業務を請け負うことができるチャンスが広がります。

そのため、社会保険労務士業務と兼業して収入を得る行政書士も多数います。

(4)税理士との兼業

税務申告を代行するのが税理士です。税理士業務も行政書士業務と相性が良いとされています。

税理士の顧客獲得の最大のチャンスは、会社設立時です。もちろん、税理士の主な業務分野が、会社の税務申告だからです。そのため、上述の通り、定款の作成・許認可の取得で会社の設立に関わる行政書士としても業務を併せて行うことは、そのまま会計記帳や税務顧問獲得のチャンスにもつながるのです。

また、資産税、相続税に関する業務に取り組んでいる税理士にとっては、遺言に関する相談を受けたり、相続手続きに関与したりすることができれば、顧客獲得のチャンスは広がります。

そのため、行政書士を兼業で行っているようなケースも多いといえます。

(5)不動産業との兼業

行政書士の中には不動産会社と行政書士業務を兼業しているような場合もあります。

行政書士は会社設立に携わることになります。許認可の中には事務所となる場所に関して規定があるようなものもあり、相談を受けた段階で自社の管理物件に賃貸に適するような物件があれば、そこを紹介するようなことも可能になります。

また、相続に関する手続きを請け負った際に、空き家を賃貸する・遺産分割のために不動産を売却して現金で分割をする、といった判断をする場合には、そのまま不動産の管理や販売を担当することも可能になります。

さらに、行政書士業務の中には離婚協議書の作成があり、離婚の際に住んでいる不動産を売却してしまうようなこともあり、この販売を担当することもできます。

このように不動産会社と行政書士の資格は相性が良いため、兼務していることも多いのです。

(6)保険販売との兼業

保険販売業をしている方の中にも行政書士業務を兼業している方がいます。

行政書士は遺言作成に関する業務を請け負うことができますので、遺言作成の相談の中で、相続税の節税対策として保険商品を活用することがあります。

そのため、保険会社として保険勧誘を行うよりも、行政書士として相続対策・終活の一環として相談を受けるほうが効率が良いこともあって、兼業をしているケースがあるのです。

(7)離婚カウンセラーとの兼業

女性の行政書士に多いのが、離婚カウンセラーとの兼業をしているパターンです。

行政書士は離婚協議書の作成を業務範囲としています。離婚カウンセラーとしてカウンセリングを行いながら、離婚に関する業務を引き受けることができるため、兼業をしていることがあります。

(8)会社員・アルバイトとの兼業

上述したように、行政書士の多くは年収500万円程度です。
これは平均値ですので、500万円に近い方もいれば、ほぼ収入のない方もいると考えられます。

行政書士として専業で業務を行っていくことを考えた場合、開業当初のエリアでの人脈構築や、インターネット集客の体制を整えるまでにはそれなりの時間がかかるでしょう。
そのため、仕事のない当面の間は会社員を続けながら、また、アルバイトをしながら行政書士として働く方もいるのです。

4 行政書士としての年収をアップするためには

行政書士としての年収を増やすためには、どのようなことを行えばよいのでしょうか。

行政書士の業務については、許認可をもらう・内容証明を送る・契約書を作成するなど、結果が同じものが多いので、同じ業務で単価を上げると、より安い行政書士に依頼をされてしまいます。このことから、同じ結果が得られる業務については単価を上げることはあまりありません。

そのため、行政書士の年収アップには、新規の顧客数を効率よく増やすのが一番望ましいといえます。では、顧客獲得はどのようにして行うのでしょうか。

(1)知り合いからの紹介

行政書士業界の中で最も有力な顧客獲得手段といえるのは、知り合いからの紹介を受けることだと言われています。

長年にわたって行政書士をしていると、様々な人脈が構築されます。
建設会社に出入りしていれば、その従業員が独立をする際に、許可を得たいという人もいるでしょう。会社の社長との交流が多ければ、独立して会社を作りたい人を紹介してもらえることもあります。中には、遺産相続に関する対策を打っておきたいという人が現れるかもしれません。

特に地方に行けば行くほど、人的関係が密であるといえるので、さまざまな人からの紹介により案件を獲得するケースは増えるでしょう。

(2)インターネット集客を利用する

スマートフォンの普及によって誰でも気軽にインターネットにアクセスができるようになった昨今、インターネットサイトを利用した集客によって顧客獲得をする方法もあります。

離婚協議書の作成業務・内容証明業務・相続手続きの代行など、個人が法律問題に直面した際に、すぐに相談できる人が身近にいるわけでもありません。知り合いのツテを利用して頼りになる行政書士にたどり着けないような場合には、インターネット検索などで行政書士が探されることになります。

また、Uターンして地元で開業しよう、または、Iターンで独立しようという時、開業予定地における人脈が希薄な場合にも、インターネット集客による顧客獲得は有効な手段です。

(3)同業者である行政書士からの紹介

同業者である行政書士から紹介を受けるようなケースがあります。

行政書士は取り扱える書面の数が膨大にあるため、自分の専門領域を作って取り組むことが多いといえます。内容証明・相続・離婚といった民事系が得意な人、許認可が得意な人、許認可の中でも風営法に特化した人など、さまざまです。

専門領域外の相談を受けた際には断わるのではなく、支部の集まりなどで面識のある他の行政書士を紹介して、逆に自分の得意領域については紹介を受けるという関係が構築されています。

ほかにも、資格を取得してから行政書士登録して間もないような時に、地域の有力な行政書士の中には、共同で案件を受任させてくれる人もいます。業務を覚えつつ、受任した先輩行政書士から一定額の報酬を得られるようなことがあるのです。

5 行政書士を目指すためにやっておきたいこと

これから行政書士試験を受ける人、すでに合格したが開業をしたい人など、今後行政書士としての登録を考えている人が今の段階からやっておいた方が良いことは、どのようなことなのでしょうか。

(1)人脈を広げる

まず、現在何らかの職業についている人であれば、その人脈を広げて良好な関係を構築しておきましょう。

上述の通り、新規の案件獲得の多くは紹介によるものです。逆に考えると、広い人脈があり、それによって受注が予測できる分野があれば、行政書士となってからの専門分野を絞り込みやすいといえます。

たとえば、現在アニメ業界にいるならば、著作権に関連する業務(契約書作成・著作権登録など)が発生する可能性があります。そのため、取引先や同じ会社の人・同業他社で頻繁に顔を合わせる人などがいれば、しっかり人脈形成しておくと、行政書士になってから業務の依頼を受けられるかもしれません。

(2)インターネット集客に関する知見を得ておく

誰もが、自分の必要な情報を得るためにインターネット検索を利用する機会が増えています。

たとえば、遺言を作りたいと思っている方は「遺言書 作り方」などの検索を行いますが、そのような情報を検索している人に情報を提供し、自分のサービスへの誘導をするのがインターネット集客です。
インターネット集客に関しては、SEO対策・リスティング広告運用などの知識が必要になります。そして当然ですが、こういった知識はインターネットで得られます。

特に、相続・遺言・離婚・内容証明といった、インターネットでよく探される分野を専門分野にしようと考えている場合には、SEO対策・リスティング広告運用について詳しくなっておくのは有効であるといえます。

代理店やコンサルティング会社に依頼しても良いのですが、自分自身でインターネット集客を行っている行政書士も多いようです。

(3)先輩や同業者と出会う

行政書士の顧客獲得手段として、先輩行政書士や同業の行政書士からの紹介があるとお伝えしました。

すでに開業している先輩行政書士とは、都道府県の行政書士会の研修や、支部の研修・懇親会を通じて面識を得る機会はたくさんありますので、登録前から何かをする必要はありません。

これから受験を考えている方、現在受験生の方は、一時的にでも資格試験予備校に顔を出すなどして、一緒に勉強している仲間をつくるのも一つの手です。受験に向けてのモチベーションを維持できる上、同じ年に合格した仲間にもなれるでしょう。

6 行政書士資格を利用して民間企業で年収アップも

行政書士資格は、基本的には行政書士として開業するための資格試験です。

しかし、試験科目には取引に不可欠な知識である民法や商法などの法律が含まれており、行政書士試験に合格した人にはこういった知識があることが担保されるといえます。

そのため、一定以上の規模の企業で、社内に法務部があるような場合や、会社が自己研鑽を推奨しているような場合には、社員が行政書士資格を取得すると資格手当を出す企業もあります。企業によりますが、一時金の支給や、月収に一定額の手当てをつけるといったものまで様々です。

資格保持者がこのような手当のある企業に転職すれば、年収がアップすることもありえます。

7 まとめ

このページでは、行政書士の年収・収入について解説してきました。
国家資格である行政書士資格を取得すれば、だれでも高い年収を得ることができるわけではありません。
一定程度以上の年収を得るためには、働き方の工夫や、独立開業する場合は経営者としての手腕も問われることになると、肝に命じておきましょう。

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