アフターコロナの日本のために 〜 外国人雇用するなら行政書士に依頼すればよい?

アフターコロナの日本のために 〜 外国人雇用するなら行政書士に依頼すればよい?

歯止めがかからない日本の労働力減少を乗り越えるためには、積極的な外国人雇用も視野に入れていきましょう。政府の後押しもあり、コロナ禍前の日本は外国人雇用にどんどん前向きになっていました。新型コロナウイルス感染拡大にまだまだ気が抜けないものの、外国人雇用は大企業だけでなく、多くの企業を救う施策となることは間違いありません。

そうなると、外国人雇用に関してはどの専門家を頼りにすれば良いのでしょうか? この記事は、そんな疑問にお答えしていきます!

1 外国人雇用と行政書士

2019年、政府は外国人労働者の受け入れ拡大に向け、「特定技能」などの在留資格を新設しました。その狙いは、日本の労働人口の深刻な減少を、日本に働きに来る外国人労働者の受け入れで乗り越えていくことです。

今般の新型コロナウイルス感染拡大の影響で、この流れは一時停滞していますが、外国人労働者の手を借りなければ日本は労働人口問題は克服できないことは明らかです。しかし、安易な外国人雇用で治安が悪化したり、日本人労働者の働き口を奪う結果となっては本末転倒です。

そこで、外国人を雇用する段階において、厳密なルールや手続きが設けられているのです。

(1)申請取次とは

行政書士は入管業務を請け負い、外国人本人に代わって入国管理局への申請書類を「作成」することができます。しかし、外国人本人に代わって入国管理局への書類を「提出」することができるのは、“申請取次” 者である「申請取次行政書士」だけになります。

行政書士が入管業務に携わるようになって20年以上が経つそうですが、この申請取次行政書士が、日本で最初に“申請取次”者として認められた、ビザ(在留資格)の専門家です。弁護士も同様に申請取次資格を持ちますが、この資格の保有者は外国人本人の代わりに入国管理局に出向き、迅速かつ正確な申請をおこなうことで、依頼人の手間を軽減してあげることができます。依頼人はその時間を、仕事や学業などに充てて本業に専念することができるのです。

(2)申請取次行政書士とは

申請取次行政書士は、外国人を雇用する際の手続きを代行するだけでなく、ビザ(在留資格)延長や雇用契約などの業務も取り扱うことができます。申請取次行政書士の資格については、一定の研修を受けることで取得することができます。

(3)申請取次行政書士がおこなうことのできる業務範囲

申請取次行政書士が対応できる申請業務は、以下の12種類です。

在留資格認定証明書交付申請
在留期間更新許可申請
在留資格取得許可申請
在留資格変更許可申請
在留資格の取得による永住許可申請
在留資格の変更による永住許可申請
再入国許可申請
資格外活動許可申請
就労資格証明書交付申請
申請内容の変更申出
在留資格の抹消手続
証印転記の願出

2 申請取次行政書士と代理人の違いとは?

申請取次行政書士についてここまで読み進められて、「外国人本人の家族や雇用先といった”代理人”とは、何が違うの?」と思われた方もいるでしょう。確かに、外国人本人の親族や配偶者は、各種手続きを「代理」できます。

(1)申請取次行政書士と代理人の違い

結論から言えば、代理人は全ての手続きをおこなうことができます。一方、代理人にはできて申請取次行政書士ができないことは、在留資格等の書類への「署名」と「訂正」です。

立場 名乗ることのできる者 できること
代理人 ・外国人本人の親族
・配偶者
・外国人本人を雇用しようとしている会社
在留資格等の書類の作成
在留資格等の書類への署名
在留資格等の書類の訂正
在留資格等の申請
在留資格等の書類の受領
申請取次行政書士 外国人雇用関係申請人に代わって、申請書等を提出することが認められた行政書士。 在留資格等の書類への署名はできない。
外国人本人の署名が必要。
在留資格等の書類の訂正はできない。一度書類を持ち帰り外国人本人がおこなう必要あり。

(2)申請取次行政書士に依頼するメリット

申請取次行政書士に依頼するメリットは、何といっても外国人本人の手間が省けることと、迅速に正確な申請がおこなえることです。

行政書士は、日本で最初に“申請取次”者として認められたビザの専門家ですので、専門知識をもってしっかりとサポ―トできます。外国人を雇用しようとしている企業も同様ですが、外国人本人の家族にも、ビザの申請について詳しい人は余り多くないはずです。

知識が不十分なことから不許可になってしまわないように、申請取次行政書士から的確なアドバイスも受けるのは、賢明なことです。

3 外国人雇用の流れと必要手続き

それでは、外国人を雇用する際の一般的な流れと、行政書士が請け負うことのできる手続きについてまとめていきます。

(1)就労が可能な在留資格とは?

就労が認められる在留資格は、以下の18種類です。

外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、投資・経営、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術、人文知識・国際業務、企業内転勤、興行、技能、技能実習、特定活動(ワーキングホリデー、EPAに基づく外国人看護師・介護福祉士、ポイント制等)

なお、一般の事務所での雇用のケースが多いと考えられるものは、次の4種類です。

技術 コンピューター技師、自動車設計技師等
人文知識・国際業務 通訳、語学の指導、為替ディーラー、デザイナー等
企業内転勤 企業が海外の本店又は支店から期間を定めて受け入れる社員
(活動は「技術」「人文知識・国際業務」に掲げるものに限る)
技能 中華料理・フランス料理のコック等

出典:厚生労働省

また、家族関係の「在留資格」である「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の4種類は、身分・地位に基づく在留資格であるため、活動に制限がなく就労することができます。

(2)外国人雇用の流れ

下表は、外国人雇用の一般的な流れとその際に必要な手続きについてまとめたものです。

人材募集 海外の外国人を募集する。
確認事項

(学歴確認)

在留資格が取得できる就労は、大学や専門学校で習得した専門知識を活かすものが基本になるため、大学や専門学校の証明書を確認する必要がある(専門性のない単純労働での就労は認められないため)。

【確認方法】
Ⅰ 卒業証明書や成績証明書のコピーを郵送かメールで受け取り、翻訳した上で募集した部門と合致しているかを確認する。
Ⅱ 採用分野の仕事を10年以上続けていれば、技術・人文知識・国際業務の在留資格が取得できる。
Ⅲ 通訳や語学教師は、3年以上の実務経験で取得できる(過去の勤務先がわかる在職証明書や職歴などの資料を受け取る必要あり)。

面接 面接をおこなう。現地支店の職員が面接をおこなったりする。
採用決定 採用決定したら「労働条件通知書」を作成する。
契約期間、就業時間、給与・賞与、解雇理由などの雇用契約の基本事項を外国人労働者に示し、合意したうえで作成する。
雇用決定

契約締結

会社と外国人労働者と間で雇用契約を結ぶ。
【雇用契約締結の意味】
Ⅰ 雇用後のトラブル回避のため
習慣の違いのためにトラブルが発生するのを回避するために、あらかじめ労働に関する細かなルールを作成し書面に残しておく。
Ⅱ 外国人に安心感を与えるため
労働者の権利、義務を明確化し、安心して働いてもらうため。
Ⅲ 会社のリスク回避のため
トラブルから解雇し訴訟をおこされる場合もある。あらかじめ契約書で規定を定めることで、リスクを回避する。

(3)雇用契約書作成について

上表の⑤において、雇用契約書を作成する段階になったら、次の点に注意しましょう。

①雇用契約書は日本語の書面だけでなく、外国人労働者の母国語の書面も準備する。

②厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が講ずるべき必要な措置」に従って、以下のルールを制定する。
・日本人と同等の待遇、労働条件を明示する
・日本人と同等の賃金を支払う
・休息・休憩・休日、有給休暇、社会保険などについては別途「就業規則」を作成する

4 外国人雇用の注意点

外国人雇用に関する各種手続きは、まだまだあります。それらに関してと、不法就労についての注意点をまとめました。

(1)在留カードをハローワークに届ける

日本においても、様々な在留資格で就労し在留する外国人が増えてきました。そのことを受け、それらの外国人の適正な在留の確保のために、外国人の在留状況を一元的に把握する必要が出てきました。

2012年から、在留管理制度の導入により、在留外国人には「在留カード」が発行されることになりました。在留カードには住所、氏名などの基本的身分事項に加え、在留資格、在留期間と顔写真が掲載され交付されます。

外国人の雇用にあたっては、雇用先の会社は「在留カード」を確認した上で、管轄するハローワークに届け出をする必要があります。離職の際にも、外国人の氏名・在留資格などを届けることになります。なお、在留資格が「外交」または「公用」「特別永住者」の人は、届け出の必要はありません。この届出を怠った場合は処罰の対象となり、違反事業者には30万円以下の罰金が科されます。

(2)外国人雇用の助成金と雇用保険について

外国人を雇用した場合の助成金も設立されているので、紹介します。当該助成金は厚生労働省関連なので、行政書士ではなく社労士の独占業務にあたる点に注意が必要です。また、外国人労働者が「雇用保険」の被保険者となる場合とならない場合で手続きが異なりますが、この雇用保険に関連する申請手続きも、社労士の独占業務にあたります。

①人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)

外国人労働者就労環境整備助成コースは、トラブルが発生しやすく解雇に繋がりやすい、外国人労働者の就労環境の整備、職場定着に取り組む事業主を対象としています。「対象となる事業主」が「対象となる措置」を実施した場合に、取り組みの経費の一部が助成されます。支給対象経費の合計額に助成率を乗じた下表の額が支給されます。

支給額(上限額)
生産性要件(※)を満たしていない場合 支給対象経費の1/2(上限額57万円)
生産性要件(※)を満たす場合 支給対象経費の2/3(上限額72万円)

※生産性要件を算定するには「生産性要件算定シート」を厚生労働省ホームページからダウンロードし、該当する勘定科目の額を、損益計算書や総勘定元帳の各項目から転記して生産性を算定。

②雇用保険

「雇用保険」の被保険者となる外国人労働者の場合、氏名、在留資格、在留期間などの「届出事項」を、管轄のハローワークに届け出ます(届出期限は、雇い入れが翌月10日まで、離職が離職日翌日から10日以内)。

「雇用保険」の被保険者の対象でない外国人労働者の場合も同様で、届出事項を管轄するハローワークに届け出ます(届出期限は雇い入れ・離職ともに翌日末まで)。

③技能実習制度の利用について

技能実習生として在留する外国人のための「技能実習制度」とは、彼らに対しておこなう実習に対して報酬が支払われる制度です。

企業単独型 【実習生の送り出し元】
・受入れ企業の海外子会社等
・1年以上取引実績のある海外企業
・1年間に10億円以上の取引実績のある企業【特徴】
・受入れ企業が実習生と雇用契約を締結
・受入れ企業は認可法人外国人技能実習機構へ実習計画を申請
・認定を受けた後受入れ企業が入国管理局へ在留資格認定証明書を申請【メリット】
・監理団体を通さないので監理団体の費用などが抑えられる
・派遣元が子会社や取引先なので受入れ企業に直結した人材育成ができる
団体監理型 ※現行技能実習の多くがこの方式

【受け入れ企業】
・事業協同組合
・商工会等
組合等の加入企業が技能実習を実施。

また、 企業単独型・団体監理型ともに、技能実習制度の区分に応じて在留資格が変更されます。

入国1年目
(技能等を修得)
在留資格「技能実習1号」
来日後、まず日本語教育や法的な保護を受けるために必要な講義を受けます。
その後、受け入れ先企業に雇用され、現場で機能を習得します。
入国2・3年目
(技能等に習熟)
在留資格「技能実習2号」への変更
最長3年間の実習が可能となります。
入国4・5年目
(技能等に熟達)
在留資格「技能実習3号」への変更
優良性が認められる監理団体や実習実施機関にのみ、最長で5年間の技能実習が認められます。

(3)不法就労

最後に、外国人雇用で最も注意するべき「不法就労」について触れておきます。不法就労には、次の3種類があります。

①不法滞在者

「不法滞在者」とは、認められた滞在期間をオーバーして在留することです。

日本に観光目的で来日した場合、15日以内なら旅券のみで入国、滞在ができます。短期滞在ビザがあれば、90日以内であれば入国、滞在ができます。この日数を超えて日本に滞在し続けた場合には「不法滞在者」となり、そのうえ働いた場合は不法就労となります。

②就労ビザの不携帯

就労ビザを携帯せずに働いた場合です。

③ビザの範囲外での就労

就労ビザを持ってたが、認められた仕事内容の範囲を超えて働いた場合や、職種を変更したにも関わらず、「在留資格変更許可」や「資格外活動許可」の手続きをおこなっていなければ、不法就労になります。

不法就労が発覚した場合、雇用主は「不法就労助長罪」によって「3年以下の懲役または300万円以下の罰金、もしくはその両方」に科されます。こうならないためには、人事関係者は外国人の「在留資格」、特に期間について良く確認する必要があります。

5 サマリー

外国人雇用における申請取次行政書士の役割について、まとめて参りました。コロナ禍で停滞しているものの、外国人労働者の受け入れは、日本の労働人口問題解決の鍵であることは間違いないありません。申請取次業務の社会的意義は、非常に大きいことがお分かりいただけたでしょう。

6 まとめ

・外国人労働者の受け入れは日本は労働人口問題克服の鍵だが、治安の悪化などを回避するため、雇用段階で厳密なルールを設けている。

・申請取次行政書士とは日本で最初に“申請取次”者として認められたビザの専門家である。

・代理人にはできて申請取次行政書士ができないことは在留資格等の書類への「署名」と「訂正」。

・就労が認められる在留資格は、18種類である。

・雇用契約書は、外国人労働者の母国語の書面も準備する。

・「技能実習制度」は、実習に対して、報酬が支払われる制度で企業単独型と団体監理型がある。

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