行政書士試験に受験資格は必要?行政書士になるための3つの方法とは

行政書士試験に受験資格は必要?行政書士になるための3つの方法とは

行政書士は近年人気が高まっている法律系の国家資格です。みなさんも一度は聞いたことはあると思いますが、実際に行政書士を目指す場合にはどのような方法によればよいのでしょうか。今回の記事では、その点を詳しく解説しています。

1 行政書士とは

行政書士になる方法について解説していく前に、「行政書士」とはどのような仕事なのか確認してみましょう。

行政書士は、官公署に提出する許認可等の申請書類の作成や提出手続の代理、遺言書の権利義務、事実証明及び契約書の作成、行政不服申立て手続の代理等を行う法律の専門職です。(参照:日本行政書士会連合会

 

このように行政書士は国民と行政の架け橋となって様々な手続を行うことで、国民の権利・利益を守り、かつ、迅速な行政事務に貢献しています。

2 行政書士になるためにはどうすればよい?

このような社会的に必要性の高い職業である行政書士ですが、実際に目指す際にはどのような方法が考えられるのでしょうか。行政書士になるためには3つのルートがあります。

(1) 行政書士試験に合格する

まず1つ目は、「行政書士試験に合格すること」です。この方法が最もスタンダートといえます。

行政書士試験は毎年1回行われ、受験資格はありません。よって、年齢や学歴、国籍、保有資格等に関わらず、誰でも受験することができます。

試験科目は、以下の通りです。

行政書士の業務に関し必要な法令等(46問) 憲法(択一式)、行政法(択一式・記述式)、民法(択一式・記述式)、商法(択一式)、基礎法学から出題
行政書士の業務に関する一般知識等(14問) 政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解(択一式)

 

また、試験地は、各都道府県に用意されており、全国どこでも受験することが可能となっています。

令和元年度~最新の令和3年度までの受験者数・合格者数や合格率は、以下のようになっています。

年度 受験申込者数 受験者数 合格者数 合格率
令和3年度 61,869人 47,870人 5,353人 11.18%
令和2年度 54,847人 41,681人 4,470人 10.72%
令和元年度 52,386人 39,821人 4,571人 11.48%

やはり、人気の資格試験であることが分かる上、合格率は10%程度と高くないことが分かります。もっとも、極端に合格率が低いわけでもないため、適切な方法で対策することができれば、合格は難しくない試験です。

▼こちらの記事も合わせてご覧ください。
行政書士試験の合格率や難易度は?他資格との合格率も比較!

(2) 他の資格を取得する

行政書士になるためには必ずしも行政書士試験に合格する必要があるわけではありません。その他の資格を保有していることで、行政書士として登録することができる場合もあります。

それは、弁護士、弁理士、公認会計士、税理士です。これらの士業になる資格を有している者は行政書士として登録することができます。いずれも、法律や会計、税務にかかわる高度な専門職であることが分かります。

(3) 公務員となり、行政事務を一定期間行う

3つ目の方法は、公務員となり、行政事務を一定期間行うことです。

この制度は「特認制度」と呼ばれており、

①国又は地方公共団体の公務員として行政事務を担当

②行政執行法人又は特定地方独立行政法人の役員又は職員として行政事務に相当する業務を担 当

この①または②の期間が通算20年以上である場合(最終学歴が高卒以上の場合は17年間)には行政書士となる資格を有することができることになっています。

3 行政書士になるための最短ルート

これまで行政書士になるための3つのルートについてご紹介しました。

これらの3つの行政書士になる方法のうちどのルートで行政書士を目指すのが良いのでしょうか。

結論としては、現在公務員として上記の一定の年数の近くまで働いているもしくは(2)の有資格者でない限り、行政書士試験に合格することがオススメです。

確かに、公務員となるルートや、他の資格を保有していることで行政書士に登録する方は一定数います。
しかし、他の資格を保有していることで行政書士に登録するというルートにおいて認められている資格は、どれも行政書士試験より難易度の高い資格試験です。

そのため、行政書士になりたいがために、これらの資格試験を経由するのは遠回りとなってしまいます。
また、公務員として働くというルートは、最低でも17年間必要となるため、現在すでに一定期間以上働いているという方以外にはオススメできません。

行政書士試験は、前述の通り、合格率は高くはありませんが、極端に低いわけでもありません。
効率的に勉強を行えば、短期間で合格し、行政書士の有資格者となることができます。

4 行政書士としての登録のハードル

いずれのルートによるとしても、行政書士として登録を行わなければ業務を行うことはできません。
もっとも、本人の一定の地位や事由によっては行政書士として登録できない場合があります。

以下の条文をご覧ください。

行政書士法

(欠格事由)

第2条の2 次の各号のいずれかに該当する者は、前条の規定にかかわらず、行政書士となる資格を有しない。

一 未成年者

二 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

三 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつてから三年を経過しない者

四 公務員(行政執行法人又は特定地方独立行政法人の役員又は職員を含む。)で懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から三年を経過しない者

五 第六条の五第一項の規定により登録の取消しの処分を受け、当該処分の日から三年を経過しない者

六 第十四条の規定により業務の禁止の処分を受け、当該処分の日から三年を経過しない者

七 懲戒処分により、弁護士会から除名され、公認会計士の登録の抹消の処分を受け、弁理士、税理士、司法書士若しくは土地家屋調査士の業務を禁止され、又は社会保険労務士の失格処分を受けた者で、これらの処分を受けた日から三年を経過しないもの

 

この条文の各号に挙げられている者はたとえ、上記の3つのルートにより、行政書士となる条件を満たしたとしても、行政書士となることはできません。特に、未成年者は仮に行政書士試験に合格していたとしても行政書士として働くことができない点に注意する必要があります。

 

また、併せて以下の条文もご覧ください。

第6条の2

(1項省略)

2 日本行政書士会連合会は、前項の規定による登録の申請を受けた場合において、当該申請者が行政書士となる資格を有し、かつ、次の各号に該当しない者であると認めたときは行政書士名簿に登録し、当該申請者が行政書士となる資格を有せず、又は次の各号の一に該当する者であると認めたときは登録を拒否しなければならない。この場合において、登録を拒否しようとするときは、第十八条の四に規定する資格審査会の議決に基づいてしなければならない。

一 心身の故障により行政書士の業務を行うことができない者

二 行政書士の信用又は品位を害するおそれがある者その他行政書士の職責に照らし行政書士としての適格性を欠く者

第2条の2に列挙されている場合の他、この条文に挙げられている場合にも、行政書士として登録することができない可能性があります。

以上のように、行政書士試験には受験資格はありませんが、行政書士としての登録段階で一定の規制がありますので、該当する方は注意してください。

(参照:日本行政書士会連合会HP

5 行政書士試験合格で開ける社労士への道

行政書士に合格することが、他資格の受験資格となるケースがあります。

それは人気が高まっている社労士(社会保険労務士)試験です。

社会保険労務士には行政書士試験と異なり、一定の学歴または実務経験、または所定の資格試験に合格していることという受験資格があります。行政書士試験に受かっていれば、この所定の資格試験に合格している者として、社会保険労務士の受験資格を得ることができます。

また、社会保険労務士の試験科目は労働に関連する法律や社会保険・健康保険な年金に関連する法律が中心であり、行政書士の試験科目と直接的に重複する訳ではありません。しかし、行政書士試験に合格していれば、条文に基づいて学習するという法律の勉強の仕方は身についている状態から社労士試験の学習を始めることができるため、比較的スムーズに学習が進められるでしょう。

なお、社会保険労務士以外にも、行政書士試験合格後、司法書士や司法試験などにステップアップしていく方もいます。もっとも、これらの試験の難易度は高い上に試験範囲も広いため、覚悟をした上で試験対策に臨むことが求められます。

いずれにしても、上記のようにステップアップし、複数の資格を保有していることは、将来的な業務の幅を広げるという点でも価値があります。行政書士試験の合格後はダブルライセンスも視野にれてみてはいかがでしょうか。

 

6 サマリー

いかがだったでしょうか。行政書士は、法律系の国家資格として人気が高くなっています。行政書士になるためには、行政書士試験に合格する、他資格を取る、公務員として一定期間行政事務に携わるという3つのルートがあります。皆さんもこの中から自分にあったルートを選んでみてくださいね。

▼こちらの記事も合わせてご覧ください。
行政書士から弁護士へステップアップ!その方法とは??

7 まとめ

  • 行政書士とは、官公庁に提出する許認可等の書類の作成・提出や契約書の作成、行政不服申立てを他人の依頼を受けて行う法律の専門職。
  • 行政書士になるためには行政書士試験に合格する、弁護士、税理士等の他資格を取得する、公務員として一定期間行政事務に携わるという3つのルートがある。
  • おすすめのルートは行政書士試験に合格する方法。
  • 行政書士試験には受験資格はなく、年齢や学歴に関係なく誰でも受験することができる。
  • 行政書士資格を得ても、登録できなければ行政書士としての業務を行うことはできない。
  • 未成年者や、公務員としての懲戒免職処分後、禁固以上の刑の執行後から3年間を経たない者などは行政書士として登録できない。その他、心身の故障等によっても行政書士登録が認められない場合がある。
  • 行政書士試験合格後はダブルライセンスを目指して社労士試験等の他の資格試験にチャレンジするのもオススメ

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