民泊、ドローンも扱う行政書士の将来性を語る!デジタルガバメントの時代に活躍する行政書士になるには?

民泊、ドローンも扱う行政書士の将来性を語る!デジタルガバメントの時代に活躍する行政書士になるには?

アフターコロナの時代を迎え、様々な社会変革が起こっています。なかなか進まなかった行政サービスのオンライン化は、ここに来て一気に進みそうな勢いを見せ始めました。

そんな中、行政への提出書類作成を生業とする行政書士について「将来性がない」と囁く人がいるようです。オンライン化やAIの台頭によって、行政書士の将来性は、本当に奪われてしまうのでしょうか?この記事では行政書士という仕事の将来性と、各種業務の中でも特に将来性がある分野についてまとめていきます!

1 行政書士とは?

行政書士は「町の法律家」または「書類のプロ」と呼ばれる国家資格です。その名の通り、行政に提出する書類の作成や、申請手続きを業とします。

⑴ 行政書士の独占業務

行政書士の由来は、江戸時代の「代書屋」に遡ります。扱うことのできる書類は1万種類以上を数え、「官公庁に提出する書類」「権利義務に関する書類」の作成については、行政書士法で独占を許されています。

他にも外国人の在留資格申請や遺言・相続など、幅広い業務範囲を扱うことができる資格です。

⑵ 「誰にでもできる」「食べていけない」と揶揄されることも

書類作成を主軸とする行政書士業務は、「誰にでもできる」と思われがちです。しかし実際、素人が官公庁に提出する書類を作るのは、なかなか難しいです。記載に不備があれば、再提出を求められてしまいます。

また行政書士は「食べていけない」と揶揄されることもありますが、実際には年収1000万円以上の人も存在するのです。

⑶ 廃れることがない資格

行政書士は法律家として、基本的な法律に関わる仕事であるため、基本的には廃れることがない資格です。しかし社会の変化により、行政書士の「代行」業務に関しては、縮小される方向にあるのは間違いないでしょう。

2 行政書士の将来に対する懸念とは?

幅広い業務範囲を誇る行政書士ですが、どのような観点から業務範囲の縮小が懸念されるのかを説明します。

⑴ AI化やオートメーション化で代替される可能性

AI化やオートメーション化のメリットには、人件費削減、ヒューマンエラーの減少などがあります。紙ベースからデジタル管理になることで、コストカットも見込めます。

このことからも行政書士の単純な書類作成代行業務は、将来的にはAI化やオートメーション化により縮小されるでしょう。例を挙げれば、会社設立業務、許可申請や変更届などが該当します。

⑵ 新型コロナウィルスのようなパンデミック対策

2020年の予期せぬパンデミック発生で、社会機能は世界中で混乱を極めました。しかしコロナ禍により、なかなか進まなかった行政手続きの自動化が、急激に加速されました。日本文化に鑑みると簡単ではない「脱ハンコ」も、いよいよ実現しそうな勢いです。

コロナ禍対策で設立された各種補助金・助成金の申請も、感染拡大を防ぐためにオンライン手続きの立ち上げが急がれました。この流れで、行政書士がこれまで担ってきた行政手続きも、単純なものからオンライン化されるでしょう。

⑶ 業際範囲の問題

業際とは、他の業務とまたがることですご存知のように、法律系士業は法令により、業務範囲が規定され独占が許されています行政書士の場合、官公署に提出する「権利義務」「事実証明」に関する書類の作成が独占業務に規定されています。もし行政書士が他士業の独占業務を侵害すると、違法行為となります。

企業と顧問契約を結ぶ士業は、顧客企業とつきあいが深くなるほど「〇〇を申請してほしい」などと多種多様な依頼をされてしまうものです。

この理由から、行政書士を兼業する税理士や社労士が存在します。司法書士や土地家屋調査士も然りです。税理士の場合は、税理士資格の中に行政書士資格が含まれているので、行政書士登録さえすれば、兼業を開始できます。

行政書士の中にも時代の必然に迫られ、他士業との兼業やワンストップサービス(他士業との業務提携)をおこなう事務所が増えています。顧客目線に立つと、この方がいっぺんでいろいろな手続きを済ませられるため親切なのです。兼業やワンストップサービスに踏み出すか否かも、事務所の将来性を大きく左右するでしょう。

3 将来性のある行政書士業務(コンサルタント業務)

いかにAIが世に普及しようとも、簡単には代替できない業務もあります。その一つがコンサルタント業務です。行政書士の将来性を担保してくれる一番の武器は、コンサルタント力といっても過言ではないでしょう。

その理由を説明していきましょう。

⑴ AIによる代替可能性が低い

AIがデータの集積と分析を得意とする一方、人間には人の話・表情などを聞いて臨機応変にアドバイスをすることができるコミュニケ―ション能力があります。これはAIにはできないことです。

行政書士がコンサルタント業務を営むのは簡単ではありません。行政書士は許認可申請などの専門家ですが、コンサルタント業界に進出すると、よりレベルが高いコンサルタントの専門家と競合しなければならないからです。

しかし、将来的に理想なのは、AIに単純業務を任せ、自分はコンサルティングなどの対人業務に専念する経営スタイルです。更に将来性の高い行政書士になるために、是非将来的な視野にコンサルタント業務を入れましょう。

⑵ コンサルタントの業務分野とは?

コンサルティングは、次のような業務分野において展開できます。

・許認可コンサルタント業務

・経営法務コンサルタント業務

・資金調達コンサルタント業務

・相続コンサルタント業務

⑶ 行政書士によるコンサルティングの具体例

起業コンサルティングでは、顧客の事業目的の作成もサポートします。法人の憲法ともいわれる「定款」の作成は行政書士も請け負いますが、これは経営者だけで簡単に作成できる代物ではありません。

定款には会社の事業目的・事業内容を記載しなければなりませんが、経営者の中には儲けを出したい一心で「あれもやりたい、これもやりたい」という人がいるものです。多角的経営をおこなえば、それだけビジネスチャンスが増えると発想するのですが、実際のビジネスはそんなに簡単なものではありません。統計的には、10年以内に殆どの会社がつぶれているくらいです。

行政書士は事業目的・事業内容をはじめとする定款の内容の策定を、コンサルティングできます。経営者の思いを汲み取り、社内一致するように促すなど、会社の命運を左右するようなアドバイスを提供することができます。これは、AIにはできないことです。

優秀な経営者ほど、コンサルタントやコーチをつけて経営判断を下すもの。そのような場を助けることができるのは、コンサルタント冥利に尽きるものです。

4 将来性のある行政書士業務(新分野参入)

行政書士の最大の強みは、業務範囲の幅広さです。法律は毎年改正がおこなわれますが、それにより生じる仕事もあるほどです。新技術の登場に応じた法改正においても然りで、その例が、ドローンや民泊です。

新しい法律の施行で業務範囲が拡大するのですから、先見性を持ち世の動向に注意を払っている行政書士は、更にビジネスチャンスを拡大できることは間違いありません。

以下には近年、行政書士の守備範囲に加わった業務を紹介していきましょう。

⑴ 民泊

大手民泊サイトAirbnbの日本参入によって、ここ数年で民泊の認知度は急激に上がりました。

以下のような法的背景の基に、民泊事業は進展してきました。

 

2015年11月 民泊に対しての法整備が検討される
2016年4月 旅館業法改正(訪日客を呼び込む手段として民泊を容認)
2018年 住宅宿泊事業法施行

 

民泊に参入したい企業や個人は多くいますが、実際の手続きは煩雑です。現在はコロナ禍によって動きが中断していますが、行政書士に対する手続き代行の需要は高まっていました。

⑵ ドローン

2015年12月の航空法改正で、ドローン飛行に制限が設けられました。

ドローンは、危険で入れない建設現場、台風・放射線汚染などの災害現場などで、人に変わって撮影などをおこないます。近年はYoutubeなどで自分のメディアを開設することが一般化したため、更に需要が高まりました。

⑶ 知的財産・著作権

行政書士は知的財産・著作権も扱います。行政書士法第1条の2に規定された「官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類の作成」には、知的財産・著作権関連業務も該当します。弁理士との業際業務なので境界線が曖昧になりやすいですが、行政書士は当業務についても、法的専門性をもって請け負うことができます。

① 弁理士の業務に接触にしない?

知的財産・著作権は、弁理士の独占業務では?と思われる人も多いでしょう。このことに日本行政書士政治連盟会長が言及したインタビューがあります。一部引用します。

反町

行政書士と弁理士の職掌範囲は、どのように重なっているのでしょうか。

畑(日本行政書士政治連盟会長)

工業所有権の登録は弁理士の独占ですが、確定した権利を売買したり、使用許諾を得たりという契約や、著作権等の売買、譲渡、使用契約などに関する業務は民民間の契約書の作成で、行政書士法第1条の2で定める権利義務の書類の作成にあたるので、著作権等の売買、譲渡、使用契約などに関する業務は行政書士の分野でもあるわけです。著作物には、音楽や絵画、写真といった文化系のものと、限りなく工業所有権に近いものがあります。後者は、弁理士の方々が中心の分野になってくると思いますが、前者については、行政書士も活躍できる分野です。”

出典:LECリーガルマインド 

② 行政書士の行う著作権業務とは?

つまり、行政書士は、文化庁への著作権登録手続きの代理をはじめ、著作権利用許諾に関する契約書の作成等で活躍できます。具体的には、以下のような著作権に関わる業務をおこなうことができます。

 

1 相談 著作権についての様々な相談を受ける。
2 調査 ・著作権者に利用許諾を得るため調査をおこない、著作物が保護期間内にあるものか確認する。

・現在の権利者を確定し、利用許諾などの権利処理をおこなう。

・権利者不明等で利用許諾が得られない場合、文化庁長官の裁定を受けた上で補償金を供託して著作物を利用できる。

3 登録 登録手続きの代理をおこなう。
4 契約 著作権利用許諾の契約を締結し、契約書を作成。
5 活用 著作権を活用するためのアドバイスやサポートをおこなう。
6 信託/

著作権管理事業

・信託:委託者が受託者に財産を引き渡し、受託者がその財産を管理・処分する制度、マネジメント。

・著作権管理事業:著作物等の利用の許諾等の管理をおこなう。

東京都行政書士会の資料を基に作表 

5 サマリー

行政書士が将来性溢れる資格であることが、お分かり頂けたでしょうか。トレンドにアンテナを張り、自ら積極的に新分野に参入する人に勝算があるのは、どの仕事でも同じです。行政書士も自分の心がけ次第で、業務範囲を拡大していける仕事です。

6 まとめ

  • 行政書士業務は「誰にでもできる」と思われがちだが、記載に不備があれば再提出を求められるため、素人には行政への提出書類作成は難しい。
  • 行政書士の仕事がなくなるというより、単純な書類作成代行は将来的にAI化やオートメーション化により縮小される。
  • コロナ禍で行政手続きの自動化が加速しているため、単純な行政手続きは電子化される。
  • 兼業やワンストップサービス導入も、事務所の将来性を大きく左右する。
  • 将来的に理想なのはAIに単純業務を任せ、人間はコンサルなどの対人業務に専念すること。
  • 民泊、ドローン、著作権関連業務など、法改正がもたらす新分野にも積極的に参入すべき。

 

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