未経験でも「身近な街の法律家」行政書士になれる?実務経験ゼロでも知識を活かして働ける方法を解説!

未経験でも「身近な街の法律家」行政書士になれる?実務経験ゼロでも知識を活かして働ける方法を解説!

人気の資格・行政書士には、未経験でもなれるのでしょうか?行政書士とは、文字通り行政手続きの書類作成・提出などをおこなう国家資格です。そのような業務に携わった経験がある人は、あまり多くはいませんよね。ですので、未経験で行政書士試験を受験する人は当然多くなりますし、未経験で行政書士として働きたい人も多くなります。

未経験ではあるけれど、行政書士の知識を活かして働きたい。その場合は、どうすれば良いのでしょうか?そんなあなたに、この記事でしっかりとヒントをお伝えします!

1 未経験でも行政書士になれる?

まず、行政書士とはどのような仕事を遂行するのかについて説明します。

⑴ 行政書士の仕事とは?

行政書士とは「行政書士法」に基づく国家資格です。主に行政手続きに関する専門家であり、これらの諸手続きをおこなう際に、国民と行政との橋渡しをおこなうのが仕事です。例えば、営業の許認可申請手続きも、行政書士の代表的な仕事の一つです。専門的な手続きを代行・代理する仕事のため、行政書士にはコンサルタント的な役割も求められています。

⑵ 行政書士試験には受験資格が設けられていない

そのような業務をおこなう行政書士の登竜門が、行政書士試験です。「難しそう」と思われるかもしれないし、「未経験では合格できないのではないか」と思われる方も多いのではないでしょうか。

行政書士試験の平均合格率は、約10%です。特筆すべきは、行政書士試験には「受験資格」が設けられていないことです。そのため、高卒または中卒でも受験可能ですし、合格もできます。もちろん実務未経験でも受験可能なのです。

行政書士試験は、毎年11月におこなわれます。出題範囲には「法令等科目」「一般知識等科目」があり、法令だけでなく政治経済や文章理解問題なども出題されます。満点が300点、そのうち180点以上を得点すれば合格です(「法令等科目」「一般知識等科目」総得点の合格基準点もクリアする必要があります)。

通信教育などを利用して、仕事をしながら勉強して合格する人も多い試験です。

⑶ 無試験で行政書士になれる資格とは?

公務員の場合は「特認制度」といって、実務経験や勤続年数によっては、無試験で行政書士になれる制度があります。また行政書士法第二条によると、弁護士、弁理士、公認会計士、税理士資格保有者は、行政書士登録をすれば、その業務をおこなうことができます。

2 未経験で行政書士として働くには?

受験資格を問わないなど、行政書士試験は、未経験でも受験しやすいことが分かりました。しかし、実務未経験なのに行政書士として働くことは、できるのでしょうか。

試験に合格した後、行政書士登録をおこなえば、行政書士として働くことができるようになります。ただ、行政書士には「勤務行政書士」という区分はありません。弁護士や社会保険労務士(社労士)には、勤務先の専任で業務を遂行できる区分が存在しますが、行政書士にはこれはありません。

すると、行政書士として働くためには、以下のような選択肢が浮上してきます。

⑴ 「行政書士補助者」「使用人行政書士」として働く

まず、資格を持っていなくても行政書士事務所で働ける「行政書士補助者」という働き方があります。また、行政書士の事務所や法人で働く「使用人行政書士」という登録区分もあります。

どちらになっても実務体験を積むことができるのですが、給与が高いということはないので、家庭を持ち子育てをしている場合にはあまりおすすめできません。

⑵ 行政書士資格プラス他の資格で強みを持つ

行政書士事務所や法人に就職する場合、他の資格やスキルを持っていると、優遇されることがあります。

まず、業務は基本的にはデスクワークであるため、パソコンスキルは必須です。「Word」「Excel」などオフィス関連ソフトが扱える基礎的なスキルは身に付けておきましょう。

また、前職で培ったスキルも物をいいます。特に法務部など、法律関係の部署に在籍し実務経験がある場合は、採用面接で評価されます。また、意外なようですが、新規顧客獲得が命題である事務所や法人は、営業経験がある人材を、優遇することがあります。

英検やTOEICなどをはじめとする語学資格の保有者が、優遇される場合もあります。行政書士業務の一つである「在留資格」手続きは、最も外国語の能力が求められる業務だといえます。コロナ禍の影響で停滞しているものの、日本政府は、基本的には外国人労働者の受け入れに積極的姿勢を取っています。すると、行政書士業務の中でも「在留資格」関連業務は、将来性がある分野だと考えられます。実際、英語に限らずベトナム語、中国語などの外国語に堪能な行政書士は、多くの需要があります。

⑶ 会社の法務部で働く

企業の法務部も、行政書士試験の合格者におすすめの職場です。行政書士として社内で働くことは許されませんが、自らの法の知識をもってして働くことのできる職場です。法務部があるような企業には大手が多いため、福利厚生が充実している可能性も高いでしょう。

企業の法務部は、売買契約、秘密保持契約などの、法的文書の作成などをおこないます。法務部には弁護士資格が必須というイメージがありますが、実際は未経験からでもOKの求人も出ています。

企業にもコンプライアンス遵守が求められるようになった今日、法律の専門家を社内に確保しておきたいという企業は増えたため、法務職の需要は高まっています。

3 会社の法務部で働くという選択

先述の企業の法務部は近年人気の職種ですが、「法務部の人材は、全員弁護士(インハウスロウヤー)のはず」というイメージを持つ人は多いでしょう。

コンプライアンス強化の時代に人気の高まりを見せる法務部ですが、行政書士試験に合格しているあなたなら、未経験でも優遇されるでしょう。

⑴ 未経験者歓迎の案件も

法務部は専門的な知識を求められる部署ですが、求人は年々増加しており、未経験の求人案件も増えています。「経験不問」の求人を見つけたら、積極的にチャレンジしてみましょう。

⑵ 求められるスキルとは?

法務部の業務内容は、一般的には契約に関わる業務が中心です。しかし、どのような企業に採用されるかによって、取り扱う法務の内容は異なります。近年では「知的財産権」「コンプライアンアンスの策定」に関する業務が増えています。

① 企業規模別

企業規模によっても、業務内容には以下のように違いがあります。

 

大企業 ・業務が多様。

・多くの人員が所属。

・いくつかの分野を専門的に扱うことが多い。

中小企業 ・発生する法務全般に関わっていくことが多い。

・法務以外の事業に関する業務を手掛けることも。

ベンチャー企業 ・内部組織があまり確立されていないことが多い。

・法務以外の事業に関する業務を手掛けることも。

② 法務職全般に必要とされるスキル・能力

企業は単なる法律の専門家ではなく、「ビジネス的な視点を持った人材」を求めています。下表は、法務部が求める人材についてまとめたものですが、その中には英語力を持つ人材も加えました。その理由は、外国人労働者の採用や現地法人の立ち上げなど、企業における国際的な業務の範囲はどんどん広がっているからです。

 

社会人としての基礎力 ・社会人のマナー

・文章力、話力

・向上心・自己啓発力

・社内や取引先と関わっていくための協調性・コミュニケーション能力

・予防法務に必要な問題把握力、問題解決力

ビジネス的な視点 ・経営目線で物事を捉える視点

・ビジネスに対する高い理解度

・ビジネスに係る法律に関する理解

英語力 ・現地の方とビジネスレベルで会話ができる英語力

・契約書作成ができる英語力

⑶ 業界によっても求める能力は異なる

また、業界によっても求められるスキルは違います。

例えば、IT業界の場合はどうでしょうか。IT業界では、テクノロジーの刷新が早い業界ゆえに、柔軟な対応能力や、スピーディーな判断能力、処理能力が求められます。製造業の場合は、各工程で問題が勃発しても、フローに従って的確に業務を進めることができる能力が必要です。また仕入れや製造、販売など各フローによって、係る法律が異なるため、豊富な法律知識が求められます。

4 未経験で行政書士になる場合の注意点

これまで、未経験行政書士の試験対策や、おすすめの就職先についてまとめてまいりました。

⑴ 志望動機

これは行政書士に限ったことではありませんが、転職する際の採用面接においては、志望動機は「自分都合」の動機を中心にしないほうが良いでしょう。例えば、「法律の専門職に就けば安定できるから」「独立開業するまで経験を積みたいから」という「本音」の部分だけを述べるのはNGです。これらは、採用する側のメリットにはならないからです。

理想的なのは、事前に志望先の行政書士事務所の事業内容を良く調べ、自分はどのような業務に携わりたいのかを、志望動機に落とし込んでおくことです。また、これまで培ったキャリアを活かして、自分が貢献できる人材であることを、志望先にアピールするのも良いでしょう。

⑵ 独立行政書士は廃業が多い

「行政書士は廃業が多い」という話を聞いたことはあるでしょうか。先述のように行政書士には「勤務行政書士」という区分がないため、未経験で独立するケースが比較的多くなります。そのためか、以下のような要因で、経営不振に陥ってしまうことが多いのです。

 

顧客が獲得できない ・広告宣伝のやり方が分からない

・営業のやり方が分からない

法改正による知識のアップデートが難しい ・法改正についての勉強と通常業務の両立が難しい
コンサル能力の不足 ・書類作成でも、コンサルティング能力は必要

・AI台頭の時代には、コンサルティング能力の有無が生命線になる

 

しかし、これらは努力や工夫があれば克服できる内容です。独立開業した場合は、これら独立開業の難所を克服できるようにしましょう。

⑶ 自分の興味や資質に合う業務を探す

行政書士業務は許認可申請などの書類作成をメインとしますが、取り扱う業種の範囲は、実に多岐にわたるのが特徴です。あまりにも範囲が広いため、基本的にはどの事務所も専門分野を絞って営業しています。膨大な業務範囲のなかから、代表的なものを紹介します。

営業許可申請 建設業、風俗業、運送業、産業廃棄物処理業、旅行業など
入管等業務 在留資格、VISA、帰化など
その他 知的財産権、自動車登録、遺言・相続、消費者問題(クーリングオフ)、など

 

このように幅広い活躍ができますが、行政書士になったら、この中から自分の能力と資質を最大限に発揮できる分野を見つけるようにしましょう。

実務に就いたら、まず書類作成や顧客のフォローに回るなどからスタートしながら、扱うことのできる書類がどんどん増えていくはずです。その中で、顧客に必要書類を揃えてもらうなど、意外と書類作成以上に顧客とのパートナーシップが求められることに気付くでしょう。申請によっては、許認可が下りるまで数か月間も、顧客と密に連絡を取り合うこともあります。

例えば事業登録業務では、行政書士は顧客とともに官公署に訪問します。顧客はそこで、担当官を相手に業務内容などを説明しなければなりませんが、これは一般人には大変不安になる作業です。ここで、行政書士のアドバイスや励ましが必要になるのです。

また、晴れて登録が下りた時の喜びは、計り知れません。慣れたら少しずつ仕事の幅を広げ、新しい顧客と出会えるようになることも、喜びです。

4 サマリー

たとえ未経験でも行政書士試験に合格できますし、取得した知識を活かして働くこともできます。また、幅広い業務範囲を誇る行政書士なので、自分の頑張り次第で業務の幅をどんどん広げていくことができます。未経験でも行政書士に興味があるなら、この記事を参考にして、果敢に試験に挑戦して頂けると幸いです。

5 まとめ

・行政書士は行政手続きに関する専門家で、国民と行政の橋渡しをおこなう。

・行政書士試験には受験資格がなく、高卒や中卒、実務未経験でも受験可能である。

「勤務行政書士」の区分はなく、弁護士や社労士と違い会社専任で業務を遂行できない。

「行政書士補助者」「使用人行政書士」は実務を積めるが、世帯主にはおすすめできない。

・パソコンスキルは必須で、営業経験など前職で培ったスキルも評価される。

・英語力も重宝される。

・企業の法務部に就職し、法的文書作成をおこなうという選択肢も。

・行政書士は幅広い活躍ができるので、将来的には自分の能力と資質を最大限に発揮できる分野を見つけるべきである。

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