行政書士を辞めたくなるのはどんな時?様々な要因に起因する「行政書士を辞めたい」を詳しくリサーチ!

行政書士を辞めたくなるのはどんな時?様々な要因に起因する「行政書士を辞めたい」を詳しくリサーチ!

はじめに

せっかく行政書士になったのに、「辞めたい」と思う人がいるのはなぜでしょうか。難関の資格試験に合格しても、いざ実務についたら「想像していた仕事と違った」ということも良くあります。また、業務そのものというよりも、勤務先の上司や同僚と相性が悪いということも起こり得えます。ひとくちに行政書士を「辞めたい」といっても、その理由は様々な要因に起因しているのです。

この記事では、どんな時に行政書士を辞めたくなってしまうのか、また、どのような転職先がおすすめなのかについて、詳しく解説します。

1 行政書士を辞めたい人は多い?

行政書士といえば、受験資格なく誰にでも門戸が開かれた国家資格です。国民と行政の橋渡しをおこなう「書類のプロ」とも呼ばれる法律家です。行政書士試験合格後は、独立する人が多いのですが、その中には行政書士になって、会社勤めから開放されたい人も多くいるのかもしれません。

しかし実際は、せっかく行政書士の資格を取得したのに「行政書士を辞めたい」と思う人が多いといわれています。

⑴ 行政書士になるメリットとは?

行政書士になると、以下のようなメリットを享受できます。

活躍中の現役行政書士が、どのような点を行政書士になるメリットだと考えているかについて、挙げてみましょう。

・顧客と官公署との架け橋になって、顧客の望みを叶える仕事なので楽しい。

・経験を積めば、官公署の先を読んで仕事をこなすこともできる。

・申請業務などは、慣れた分だけ楽になる。

・独立すれば裁量権を持てる。

・スケジュールも自由に立てられるので、ストレスなく働ける。

⑵ 行政書士事務所勤務はきつい?

「勤務行政書士」という登録区分がない行政書士は、どこかに勤めながら行政書士として働くなら、行政書士事務所に勤務することになります。この場合、人間関係の問題は頻繁におこるようです。行政書士事務所には小規模事務所が多いため、ひとりひとりの比重も大きくなりますし、人間関係も狭くなります。

事務所の所長がワンマンでストレスを感じるという声や、所長との相性が悪いから辞めたいという声も良く聞きます。

職場の人間環境は、運よく周りが相性の良い人達ばかりなら良いのですが、所長との相性が悪かったり同僚に嫌な人がいたりすると、辞めたいと思うようになるものです。

しかしこの場合、行政書士という職業を辞める必要はなく、職場を変えれば解決される問題だといえます。

⑶ 残業代が出ない

ネット上で行政書士事務所を辞めたい人はいるかを検索すると、意外とヒット数が多いです。そして、辞めたい理由としては「事務所がブラック」という話が多いのです。法律家の集まりである行政書士事務所に、ブラック企業が存在するのでしょうか。

ブラックだと言われてしまう理由の一つには、「残業ばかりなのに残業代が出ない」という驚愕の理由があります(もちろん、働き方改革施行後は、長時間労働に法規制が設けられたため、改善されていると思われます)。

行政書士事務所に残業が多い理由は、どの事務所も少人数体制だからです。一部、大きな事務所もありますが、ほとんどの行政書士事務所は個人経営です。開業者が一人か二人の行政書士を雇い、プラス行政補助者を一人雇うといった事務所が多いです。こうなると、当然一人当たりの仕事量が多くなります。

残業が多くても経営に余裕が無ければ、残業代を多く払うことはできません。残業代を出さないために、姑息な手段を取って違法を犯すような事務所もあるという声もありました。

2 行政書士を「辞めたい」と思うのはどんな時?

 

事務所勤務のストレスを紹介してきましたが、独立開業した行政書士はどうでしょうか。行政書士には廃業者が多いという話はよく聞きますが、どのような時に「辞めたい」と思うのでしょうか。

⑴ 顧客や役所の対応にストレスを感じる

独立開業した行政書士は、まず、顧客対応でストレスを感じるようです。行政書士は顧客に対して常に低姿勢で対応しますが、顧客のなかには高圧的で、自分の都合で振り回してくる人もいるようです

許認可などの申請業務には、締め切りがあります。ギリギリのスケジュールの場合に、顧客になかなか対応してもらえないと、申請自体が厳しくなってしまいます。書類を揃えてもらったり押印してもらえないと、提出ができないからです。こちらの要望をなかなか聞いてくれない顧客に対しては、スムーズに行かないパターンを想定して動かないと、大変なことになります。

顧客が嫌な人だからといって、途中でキャンセルできないのも辛いところです。

行政書士は、役所の人とのやり取りにもストレスを感じるようです。「お役所仕事」と揶揄されるように、役所と言えば融通がきかない、ダメな理由を教えてもらえないなど、非効率な仕事をするイメージが定着しています。民間企業で働く人からすると、役所の対応はもどかしかったり、苛立ったりすることも多いようです。

⑵ 独立開業で成功することが難しい

そもそも、「開業すると3年以内に9割が廃業する」と言われるのがフリーランスの常です。会社も起業後10年後まで生き残っているのは、たった1割だという話があります。

独立行政書士も、もれなくこのような厳しい状況に置かれ、生き抜いていかなければなりません。

事務所を開設するにあたり、下表のスキルが整っていなければ、経営は厳しくなります。

経営力 経営力には営業力、人脈構築能力、マーケティング力も含まれます。
資金力 行政書士のランニングコストは低いといわれますが、開業資金が底をつき資金不足になる場合もあります。顧客がなかなかつかず、仕事がコンスタントにないため利益が出ない時期が長びくと、赤字になります。利益が出なくても事務所の家賃や、従業員の給与といったキャッシュアウトは発生するので、廃業にいたる事務所も多くあります。
実務能力 行政書士業は、試験と実務の内容の距離が離れているといわれます。また、実務と毎年おこなわれる法改正へのキャッチアップを両立する必要があります。業務でミスを犯してしまうとクライアントの不利益に繋がり、いっぺんに信用を失います。

常に勉強し、ミスなく業務を遂行する能力が問われます。

対人能力 行政書士としての実務能力だけでは不十分です。顧客の意図を的確に汲み取る対人能力がなければ、競合に仕事を奪われてしまいます。

また、同業者同士や他士業との横のつながりも重要です。顧客だけでなく同業者とのコミュニケーションスキルもが問われます。

コンプライアンス意識 行政書士は、紛争解決や遺言書の作成といった個人情報に、業務上かなり触れることになります。うっかり依頼人の秘密をもらしてコンプライアンス意識の欠如が露呈すると、行政書士は信用を一気に失います。
営業力 行政書士としての成功は人脈構築にかかっているといっても過言ではありません。いったん一定数の顧客が獲得できれば、続けて依頼を受けたり仕事を紹介されたりして経営は安定します。

⑶ 行政書士に「しか」できない業務が少ない

各士業は根拠となる法律により、業務の独占を守られています。行政書士の場合は、行政書士法により、以下の独占業務が規定されています。

① 役所に提出する許認可等の申請書類の作成並びに提出手続代理

② 上記以外。遺言書等の権利義務、事実証明及び契約書の作成等

行政書士業といえば、業務領域が広いことで有名です。しかし、独占業務自体は限られており、行政書士でなければできない業務はもともと少ないのです。

デジタルガバメントが進み、将来AIが台頭すると職業淘汰が始まるといわれる一方で、行政書士は行政書士に「しか」できない仕事の領域を、拡大していく必要があります。

3 行政書士から転職するには?

「勤務行政書士」「企業内行政書士」という働き方ができない行政書士は、行政書士事務所で働くか、独立開業するしかありません。この点は、他士業の状況と大きく違います。行政書士が「雇われて働く」のは難しいことなのです。

行政書士を辞めたいのなら、「行政書士事務所」を辞めたいのか、「行政書士」という職業を辞めたいのかを、良く見極める必要があります。以下には、行政書士を辞める場合の転職先のヒントを挙げていきます。

⑴ 小規模事務所から大きな事務所に転職

もし、勤めている行政書士事務所に問題があるだけで、行政書士の仕事自体が嫌じゃない場合は、大きな規模の事務所へ移ることをおすすめします。大規模事務所にもブラックな職場はありますが、小規模事務所と比べると問題は少ないはずです。行政書士を辞めたい理由が人間関係や残業だけなら、大きな事務所に転職することで解決されるかもしれません。

規模の大きな事務所で働いてみたら、待遇も整っており、スキルアップを狙える環境も整っているので驚いた、という声もあります。将来起業するまでの下積みが、十分に積める環境なら最高です。

また、グローバルな行政書士事務所も視野に入れて、転職活動をすることをおすすめします。行政書士の業務分野に含まれる「在留資格」などは、将来外国人の雇用を拡大していきたい日本政府の政策の方向性と合致します。現在は、コロナ禍における水際対策で停滞していますが、入管許可や帰化申請は、行政書士業務の中でも成長分野だといえます。行政書士の実務能力と合わせて、英語や中国語、韓国語、ベトナム語などの外国語ができると、将来性が高まります。

⑵ 法律関係の事務所

弁護士事務所税理士事務所社労士事務所なども、行政書士の転職先としておすすめです。法律の専門家であり、許認可申請などの独占業務を有する行政書士は、他士業とワンストップのサービスを提供できるパートナーとして、魅力があるはずです。

弁護士事務所に転職した場合は、パラリーガル(弁護士の補佐)になるという選択肢も考えられます。行政書士は行政書士試験合格のために、民法や会社法、行政法などを勉強しているため、弁護士の補佐として調査をおこなったり書類を作成したりして、役立つことができます。

⑶ 一般企業の法務部

行政書士経験者は、法律知識の保有者として、一般企業の法務部でも歓迎されます。もし事務処理能力が強みなら、法務部が転職先として最も相応しいでしょう。

近年のコンプライアンス遵守の気風の高まりにあって、一般企業の法務部は人気の就職先です。しかし、会社は組織なので、転職するなら協調性やコミュニケーション能力が求められます。安定した収入が期待できる点も、一般企業の法務部の魅力です。

4 サマリー

行政書士を辞めたくなる理由と、辞めたくなったらどうすれば良いかについて、まとめて参りました。大事なのは、就労環境が嫌なのか業務が嫌なのかをしっかり見極めることです。そうすれば、最適な選択をすることができるでしょう。

5 まとめ

  • 行政書士は勤務行政書士という登録区分がなく、就職するなら行政書士事務所になる。
  • 行政書士事務所には小規模事務所が多いため、人間関係も狭くなりやすい。
  • 少人数体制で、ひとりひとりの仕事の比重が大きくなりやすい。
  • 行政書士を辞めたくなる理由には、顧客や役所の人の対応でストレスを感じることが含まれる。
  • 「3年以内に9割が廃業」のフリーランスだが、行政書士ももれなく同じ状況に置かれる。
  • 開業には経営力・資金力・実務能力・対人能力・コンプライアンス意識・営業力が要る。
  • 行政書士の独占業務自体は限られており、行政書士しかできない業務はもともと少ない。
  • 大きな事務所に転職したり、法律関係の事務所や一般企業の法務部に転職するという道もある。

 

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