行政書士の主要業務「在留期間更新」〜 新型コロナウイルスの影響で申請業務はどう変わる?

行政書士の主要業務「在留期間更新」〜 新型コロナウイルスの影響で申請業務はどう変わる?

新型コロナウイルス感染症で、出入国の問題が今までになく注目を浴びています。外国人の在留資格業務といえば、行政書士の主要業務の一つ。2020年現在の緊急事態により、業務をおこなうにあたりいくつか臨時の変更点も生じています。

この記事では、外国人の在留資格と在留期間、期間満了に伴う更新申請について調べ、現在政府がおこなう時限的な取り組みもあわせて詳しく解説します。

1 在留期間更新許可申請とは?

在留資格という言葉は、外国人労働者と関わりがある方ならよく耳にする言葉でしょう。

「出入国管理及び難民認定法」(以下、入管法)によると、在留資格のいずれかに該当していなければ、外国人は日本に上陸・在留することはできません。

(1)そもそも「在留資格」とは?

在留資格 できる仕事
永住者
日本人の配偶者等
永住者の配偶者等
定住者
どのような仕事に就くことも可能です。
どんな仕事内容で雇っても問題ありません。
外交/公用/教授/芸術/宗教/報道

投資・経営/法律・会計業務/医療/研究/教育/技術

人文知識・国際業務

企業内転勤/興行/技能

在留資格の範囲内の仕事しかできません。仕事内容が限定されています。
文化活動
短期滞在
留学
就学
研修
家族滞在
特定活動
原則として仕事をすることができません。ただし、資格外活動許可を持っていればアルバイトをすることができます。

*資格外活動許可書をもっていても、どんな仕事でもできるわけではなく、
a. 1週間28時間以内(長い休暇は除く。聴講生、研究生、就学生はより短時間)、
b. アルバイト先が風俗営業でないこと、
が条件です。

東京行政書士会資料を基に作表

これら27の在留資格のいずれかを有する外国人は、原則として、法務大臣に指定された在留期間に限り日本に在留できます。例えば「技術」の在留資格の場合の在留期間は、5年、3年、1年、3か月の4通りがあります。この違いは、その外国人の資質や生活状況等を考慮して、いずれかの在留期間が指定されることから生じます。

在留期間内に在留目的を達成できない場合もあります。その場合、在留期間の更新を申請することができます。

(2)ビザと在留資格の違いとは?

外国人の採用にはビザが必要だとよく言われますが、これは実は「在留資格」のことを指していることが多いのです。外国人に日本への滞在を許可しているのは、ビザではなく在留資格だからです。

目的 発行 関係省庁 有効期限
ビザ(査証) 外国から日本の空港に上陸し、入国審査を受けるためのもの 外国にある日本大使館や日本公館
(外国)
外務省 3か月間
(延長不可)
在留資格 ・外国人が日本に滞在するためのもの

・在留資格で許可された活動を日本国内でおこなうことが可能に

日本国内で審査・発給
(日本)
法務省
(入国管理局)
無制限、5年~3か月
(延長可)

①ビザ(査証)

ビザを一言でいえば、「特定の国への上陸するための申請書類」です。

ビザ=上陸許可であり、ビザがおりていない状態だと飛行機に乗れなかったりします。また、外務省が発行するビザがある場合でも必ず入国できる訳ではなく、最終的に入国の可否を判断するのは入国管理局であり法務省です。

ビザの有効期間は発給の翌日から3か月間で、この間の1回のみ入国が許可されます。外国人はこの期間内に来日し、日本での入国審査を受ける必要があります。入国審査が終われば「ビザ」の役割はなくなります。

②在留資格

在留資格を一言で言えば、「日本国内でおこなう事が許可された内容を証明するもの」です。在留資格の関係省庁は外務省ではなく法務省(入国管理局)なので、日本国内で申請をおこなう必要があります。

在留資格は現在27種類存在します。それぞれ許可されている活動が異なり、例えば、観光に来ている外国人は短期滞在の在留資格を所持していますが、就労は許可されていないので働くと不法就労となってしまいます。短期滞在においては親族訪問や観光は許可されていますが、許可範囲外の活動をおこなう場合は別途申請をおこなう必要があります。

この在留資格を証明するものが「在留カード」です。

短期滞在の場合は発行されず、就労や留学などの適法な中長期間の在留資格を所持している場合に発行されます。在留カードは、2012年の新しい在留管理制度の導入に伴って発行されるようになり、最長在留期間も3年から5年になりました。この時、従来の外国人登録制度は廃止されています。

また、27の在留資格は、大枠として以下のように分類できます。

就労系 定められた範囲の就労が可能な在留資格
身分系 就労制限がない在留資格
留学系 学校での勉学を行うための在留資格
短期滞在系 日本への観光や親族訪問などが可能な在留資格
技能系 技能実習生などが就労するための在留資格

(3)在留期間更新とは?

在留期間の更新とは、法務大臣に対して在留期間の更新許可申請をおこなうことです。在留期間の満了にあたり、在留資格はそのままで在留期間のみを延長します。これは車の免許に例えて考えれば分かりやすいでしょう。

在留期間の更新は外国人を雇用する場合などに必要な手続きで、これを怠ると不法就労となりますので、企業等の担当者は注意が必要です。もし在留資格が失効すれば、その外国人労働者は日本にいることができなくなります。

2 在留期間更新許可申請書の手続きの流れ

在留期間更新の許可を申請は、外国人自身または代理人が、地方入国管理局に出頭しておこないます。

(1)概要

在留期間更新の許可(Extension of Period of Stay)について司る法律は、入国管理法第21条です。

①概要

在留期間を徒過した場合、不法残留として「退去強制」の対象となります。そのほか、刑事罰の対象となり「3年以下の懲役もしくは禁固または300万円以下の罰金」が課せられます。

②特別受理

ただし不法残留の期間が短期間で、不法残留の理由に悪意がなく、また在留期間内に申請がきちんとおこなわれていれば許可されたであろうと認められる場合には、「特別受理」という扱いになります。これは特別に申請を受理して、在留起案の更新を許可することを指します。

(2)必要書類

・申請書
・写真1葉
・申請期間内に申請することが困難な事情が、長期間海外に渡航すること以外の場合は、必要に応じて当該事情を示す資料
・旅券(又は在留資格証明書)を提示
・現に有する在留カードを提示
※申請人以外の方が、当該申請人に係る在留カードの有効期間の更新申請を行う場合には、在留カードの写しを申請人に携帯させてください。

・旅券(又は在留資格証明書)を提示できないときは、その理由を記載した理由書
・身分を証する文書等の提示(申請取次者が申請を提出する場合)

※在留カードが即日で交付されず、後日改めて在留カードを受領するときは、次の書類を提出してください。
・申請受付票
・旅券(又は在留資格証明書)
・現に有する在留カード
・身分を証する文書等の提示
・入管手数料 印紙代4000円

※転職は新規の審査と同じと考えます。「就労資格証明書」(転職中間チェック)を取らないで転職した場合、慎重な立証資料の提出を要します。

※(就労資格証明書を取らずに)同一の在留資格内で転職し次の会社が決まるまでに相当の日時を要した場合は、どのような就職活動をしたか、その間の生活費はどう賄ったかなどの「陳述書」の提出を求められることがあります。

詳しくは、法務省ホームページ「在留期間更新許可申請書」でご確認ください。

(3)更新申請から許可までの流れ

在留資格認定申請の際は、企業の人事が「取次者」として入国管理局に申請をおこなうことができました。

更新申請の場合は、申請者が日本にいることが前提であるため、本人もしくは行政書士が窓口に申請をおこないます。ただし、企業の人事担当者が企業内の取次者としての登録を受ければ、申請者本人の取次者として更新申請をおこなうことができます。

申請者本人、または企業の人事担当者や行政書士等の取次者が、必要書類(申請書、添付書類等)を準備して、入国管理局に提出し、「在留期間更新許可」を申請する。

書類審査の後、在留資格の更新が許可されると、「通知書」が送られてくる。

パスポートと通知書を持って地方入国管理局へ行き、新しい在留カードを受け取る。

(4)在留期間更新許可申請をおこなう時期

在留期間更新許可申請は、現在に有する在留期間の有効期間が、おおむね3か月以内になる時点以降に受理されます。許可が下りるまで日数(2週間から1か月程度が標準)がかりますから、ある程度余裕をもって申請しましょう。在留期間の更新、または在留資格の変更に伴う在留期間の変更を怠り在留期間を経過して日本に滞在すると、不法残留になります。

在留期間更新許可申請の手続きは、「申請者本人が、更新される前の在留許可期限日には、日本に在留していること」が要件にあります。

3 在留期間更新許可申請のその他の注意点

在留期間更新については、以下の内容も押さえておきましょう。

(1)もし不許可になったら

もし更新申請が認められず、不許可になってしまった場合は、次のような流れになります。

出頭命令

不許可になった場合、入国管理局から外国人本人へ出頭命令が出されます。不許可の「通知書」が渡された後、出国の意思を尋ねられます。

変更届出書の提出

引き続き日本に在留したい場合には、先に提出していた「在留期間更新許可申請」を「在留資格変更許可申請」に変更します(具体的には「申請内容変更届出書」を提出する)。

特定活動

外国人に在留資格「特定活動」が与えられます。

これによって就労できないことを条件に、1か月間の在留が認められます。この間に、他の在留資格を得るための在留資格変更許可を申請する等の方法を、取らならければなりません。

それでも不許可の場合

他の在留資格が不許可になった場合には、強制送還となります。自国に帰らなければならず、この場合その後5年間は日本に入国できません。

※出準の特活
在留期間変更を不許可とされた場合、不許可となった本人が出国する意思を有するときは、在留資格を「特定活動」に変更許可して適法状態の下で出国させるという実務的運用がおこなわれています。不許可処分時に在留資格を(出国準備のための) 「特定活動」に変更することは、在留資格変更許可申請があれば可能で、 これを「出準の特活」と呼びます。

(2)在留期間更新許可申請中の再入国は?

在留期限満了時点で外国人が日本に在留していないと、在留資格が失効してしまいます。

①ビザ免除国の場合

ビザが期限切れで失効しても、新たに「短期滞在」90日で上陸できるため、在留に問題がないと誤認されやすいです。この場合は誤認による”特別な場合”に該当しますので「短期滞在」⇒「従来の在留資格」に在留資格変更許可申請することが可能です。そして従来の在留資格を回復する手続きをします。

②更新申請中に突然一時帰国しなければならない場合

出国は可能ですが、条件・制限があります。

③更新許可がおりる前に、従来の在留期限が満了してしまった場合

“APPLICATION”(更新中)という状態のみになり、更新可能性がある状態になります。入管が「応答」に要する物理的時間内は、外国人は日本国内に留まることができるという考えのもと、退去強制事由とはなりません。

(3)早期更新許可の願い出

在留期間満了時に、やむを得ない事情により日本に在留していることができない特段の事情がある場合は、どうするのでしょうか。

①現在許可されている在留期間を6か月以上経過しており、
②在留期限日には日本に在留していることができないという確実な立証があった場合は、

6か月以上経過した直後に更新申請をすれば、更新許可を与えてくれる場合があります。

例えば、本国での出産の場合です。  臨月間近の妊婦は飛行機に搭乗できず、首がすわっていない新生児も飛行機に搭乗できません。つまり、出産日の前後3か月、合わせて6か月くらいはまったく移動できない状態になるからです。

4 在留期間更新と新型コロナウイルス感染症対策

2020年に入ってから、出入国の問題は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から大きく注目されてきました。法務省は外国人の在留期間に関して、次のような施策をホームページ上で発表しました。

(1)在留資格認定証明書を、当面の間「6か月間」有効に

出入国在留管理庁は令和2年3月10日付けで、「新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に伴う在留資格認定証明書の有効期間について」をホームページに掲載発表しました。

発表された内容は次の通りです。

①新型コロナウイルス感染症の影響に伴う諸情勢に鑑み、通常は「3か月間」有効な在留資格認定証明書を、当面の間、「6か月間」有効なものとして取り扱うこととする。

②この取扱いにより、6か月以内の在留資格認定証明書は、査証(ビザ)の発給申請や上陸申請の際に使用できることになる。

③交付後3か月以上経過した在留資格認定証明書を使用する場合は、在外公館での査証(ビザ)発給申請時、受入れ機関等が「引き続き、在留資格認定証明書交付申請時の活動内容どおりの受入れが可能である」ことを記載した文書を提出する必要がある。

また、令和2年3月11日11付けで、本発表に関するQ&Aも掲載されました。

Q A
なぜこのような取扱いをおこなうのですか。 今般の新型コロナウイルス感染症の影響により,既に在留資格認定証明書の交付を受けた方が有効期間(3か月間)内に本邦に上陸できない場合が想定されるところ,同証明書を6か月間有効なものとして取り扱うことにより,状況が改善した場合の迅速な入国手続が可能となるよう配慮したものとなります。
いつからこの取扱いがはじまるのですか。 3月10日(火曜日)から実施しています。
本件取扱いは,全ての外国人に対して適用されるのですか。 本件取扱いは,今般の新型コロナウイルス感染症の影響により,我が国への入国を予定していながら,既に交付を受けた在留資格認定証明書の有効期間(3か月間)内に本邦に上陸できない方であって,受入れ機関等が「引き続き,在留資格認定証明書交付申請時の活動内容どおりの受入れが可能である」ことの確認ができた方が適用の対象となります。
受入れ機関等が「引き続き,在留資格認定証明書交付申請時の活動内容どおりの受入れが可能である」ことの確認はどのようにおこなうのですか。 査証(ビザ)発給申請時,受入れ機関等から「引き続き,在留資格認定証明書交付申請時の活動内容どおりの受入れが可能である」ことを記載した文書の提出をもって確認をおこなうこととしています。
受入れ機関等が提出する文書については,定型様式はありますか。 任意の様式で差し支えありません。
本件取扱いは,査証(ビザ)発給申請時に有効期間を経過した在留資格認定証明書についても対象となるのですか。 対象となります。
本件取扱いは,査証発給申請中に有効期間を経過した在留資格認定証明書についても対象となるのですか。 対象となります。
査証発給後に査証の有効期間が経過し,在留資格認定証明書のみが有効である場合には,入国することは可能ですか。 入管法第7条第1項第1号において「その所持する旅券及び、査証を必要とする場合には、これに与えられた査証が有効であること」と規定されており,査証の有効期間が経過しているときは,入国することはできません。そのため,在外公館において、査証の再申請を行っていただく必要があります。
陸申請時,在留資格認定証明書が有効でなければならないのでしょうか。 有効である必要があります。

出入国在留管理庁の資料を基に作表

(2)当該外国人の在留期間満了日から1か月後まで受け付け

出入国在留管理庁は、令和2年3月17日付けで「新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための窓口混雑緩和策について」をホームページに掲載発表しました。

発表された内容は次の通りです。

①新型コロナウイルス感染症の影響に伴う諸情勢に鑑み、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止する観点から、在留申請窓口の混雑緩和策として、3月又は4月中(注1)に在留期間の満了日(注2)を迎える在留外国人(在留資格「短期滞在」及び「特定活動(出国準備期間)」で在留する外国人を除く)からの在留資格変更許可申請及び在留期間更新許可申請等については、当該外国人の在留期間満了日から1か月後まで受け付ける。

(注1)4月中に在留期間の満了日を迎える方についても新たに取扱いの対象とする。
(注2)本邦で出生した方など3月又は4月中に在留資格の取得申請をしなければならない方を含む。

また 令和2年2月28日付けで、本発表に関するQ&Aも掲載されました。

Q A
なぜこのような取扱いをおこなうのですか。 新型コロナウイルス感染症の影響に伴う諸情勢に鑑み,新型コロナウイルス感染症の拡大を防止する観点から,地方出入国在留管理局における在留申請窓口の混雑緩和を図るためのものです。
いつからこの取扱いがはじまるのですか。 3月2日(月曜日)から実施します。
地方局の窓口の混雑状況はどのくらいですか。 その日の窓口の混雑状況については,各出入国在留管理局の Twitter公式アカウントでも確認ができますが,申請者が非常に多いため,長時間にわたる待ち時間が発生することがあります。

出入国在留管理庁の資料を基に作表

5 サマリー

在留期間の更新について、お分かりいただけましたか。新型コロナウイルス感染症対策が急務である現在、窓口の混雑緩和も重要な取り組みの1つです。

通常の規定に加え、本記事で紹介したような臨時の施策も設けられているので、外国人労働者の担当者は法務省のホームページを頻繁にチェックされるようおすすめします。

6 まとめ

・外国人の在留資格は27あり、これを有すれば法務大臣に指定された在留期間に限り日本に在留できる。

・ビザを一言でいえば「特定の国への上陸するための申請書類」である。

・在留資格を一言で言えば「日本国内でおこなう事が許可された内容を証明するもの」である。

・在留期間の更新とは、法務大臣に対して在留期間の更新許可申請をおこなうことで、怠ると日本にいられなくなってしまう。

・在留期間更新許可申請は、現在の在留期間の有効期間がおおむね3か月以内になる時点以降に受理される。

・不許可だったが引き続き日本に在留したい場合、先に提出していた「在留期間更新許可申請」を具体的には「申請内容変更届出書」を提出すると、「特定活動」が与えられこの期間(1か月)に他の在留資格を取ればよい。

・新型コロナウイルス対策として、在留資格認定証明書が一時的に「6か月間」有効になった。

・窓口混雑緩和のため、当該外国人の在留期間満了日から1か月後まで受け付けを可能にする。

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