行政書士とは?仕事内容や資格の魅力を徹底解説!

行政書士とは?仕事内容や資格の魅力を徹底解説!

1 行政書士とは?

行政書士法第一条の二によると、“「行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。“とあります。

日本国内における手続き書類の種類は1万種類以上ともいわれ、行政書士は「行政手続きのプロフェッショナル」「書類作成のプロフェッショナル」といえます。

 

また、“市民にとって最も身近な町の法律家”などといわれており、ビジネスの場で大変頼れる存在です。

起業時のサポートはもちろんのこと、起業後においても円滑な運営を進めていくためには、国(行政)に対して多種多様な申請が都度必要になることも少なくありません。

煩雑かつ専門知識を必要とする事務手続きを一手に引き受けるのが「行政書士」の役割です。

 

ビジネスシーンだけではなく個人を相手とする業務も行います。

例えば、相続の手続きや金銭消費貸借の契約書・示談書などを作成するケースなどが挙げられます。やはり、このようなケースでも専門知識が不可欠ですので、迅速かつ適切な書類作成や申請には行政書士のサポートが功を奏します。

令和3年10月1日現在、およそ50,000人ほどの行政書士会員がさまざまな幅広い分野で活躍しています(参照:行政書士連合会「単位会所在地・会員数等」)。

 

 

2 行政書士の仕事内容とは

町の法律家として親しみやすく頼りになる存在の行政書士ですが、いったいどのような仕事内容なのでしょうか?

行政書士は、行政書士法(昭和26年2月22日法律第4号)に基づく国家資格者で、他人の依頼を受けて報酬を得て、官公署に提出する許認可等の作成並びに提出手続代理、遺言書等の権利義務、事実証明及び契約書の作成、行政不服申立て手続き代理等を行います。

(日本行政書士会連合会「行政書士とは?」より一部引用抜粋)

 

(1) 行政書士にしか認められていない「独占業務」

医者だけに医療行為が認められているのと同じように、行政書士にしかできない独占業務があります(行政書士法業務第1条の2、3)。近年では、社会生活が複雑高度化されており作成するにあたって高度な知識を求められることが多くなってきています。それだけ社会的意義・ニーズが高く、社会貢献の側面からも、とてもやりがいの大きい職業です。

〈行政書士の独占業務〉

官公庁に提出する書類作成(ex.飲食店などの営業許可書)

権利義務に関する書類作成(ex.会社定款、公正証書、遺言書)

事実証明に関する書類作成(ex.車庫証明などで使う見取り図)

 

(2) 手続きの代行や相談業務

先述した書類作成だけではなく、依頼人に代わり書類を官公庁に提出する代理申請や、依頼人が抱えるトラブルに対して、書類作成に必要な範囲内で法的アドバイスをすることも行政書士には認められています(※当事者間で争いのある案件に関しての法律相談は行うことができません)。

〈専門性のに特化した業務内容例〉

・帰化許可申請

・ビザの取得代行業務

・農地転用の許可申請

・著作権登録申請

・企業コンサルティング など

社会人受験生の方であれば、これまで従事してきた分野で得た経験を活かすことができます。社会経済の変遷とともに、専門領域の需要も変化していきます。行政書士は、マルチプレーヤーですが、専門性に特化することで他士業との差別化を図ることができますので、一層のニーズが見込まれる可能性があります。

(3) 行政書士の活躍のフィールドはたくさんある!

◆成年後見人◆

認知症や知的・精神障害などの理由で十分な判断ができない方の生活や財産を守るため「成年後見制度」が2000年にスタートしました。成年後見人は、介護サービス施設への入所や財産の管理をはじめ、悪徳商法等の被害に遭った時の取消しなどをご本人の代わりに行う責任の重い仕事です。

後見制度は、行政書士の独占業務ではありませんが、法律の知識が必要とされるケースが多く代理人としての業務範囲も広いため行政書士に向いている仕事の1つといえます。

◆裁判外紛争解決手続(ADR)◆

民事の紛争において、訴訟手段に頼らずに話し合いによる解決を目指す手続を「裁判外紛争解決手続(ADR)」といいます。

ADRでは、長期化傾向にある裁判ではなく、話し合いによるスピーディーな解決が求められます。行政書士ADRセンター東京において、研修・トレーニングを積み、認定された行政書士は、ADRの調停人として活動することができます。

◆不服申立代理業務

平成26年の法改正により、行政書士会の所定の研修(特定行政書士法定研修過程)を終了した「特定行政書士」は、依頼人に代わって行政不服申立手続をすることができるようになりました。

具体的には、行政書士が作成した官公署に提出する書類のうち、許認可等に関する審査請求、異議申立て、再審査請求等、行政庁に対する不服申立ての手続の代理及び関係書類の作成を行うことができます。

3 行政書士資格取得のメリットとおすすめポイント

行政書士資格は、さまざまな分野で活躍ができる法律系国家資格ですので、社会的信頼も厚く転職やキャリアアップの際にメリットのある魅力のある資格の一つといえます。

 

〈行政書士はこんな方におすすめ!〉

◆士業の中では、比較的取得しやすい万人向けの資格

◆独立開業・女性の新たなキャリア形成になる

◆転職・キャリアアップの強力なバックアップになる

 

決して簡単な試験ではありませんが、試験は3時間の択一式中心の構成となっており、比較的対策しやすい資格であるといえます。また、他の士業には論述式、口述式などの2次試験があることが多いですが、行政書士は1度の試験のみで合否が決まるので、どなたでも気軽にチャレンジすることが可能です。

 

また、行政書士登録を行えば、自宅を拠点として独立・開業が出来ることも大きな魅力の一つです。行政書士事務所に所属してキャリアをスタートさせる方は稀で、多くの方が独立・開業からキャリアをスタートしているケースが殆どです。近年では、女性のセカンドキャリア形成の一環としても行政書士資格が注目されています。

 

個々の置かれた環境やライフスタイルに馴染みやすい国家資格であるともいえます。

 

独立・開業以外でも、法律知識や専門的な書類作成の知識を備えていることで、就職活動や転職、キャリアアップなどで有利に働くことも期待できます。

 

4 行政書士になるには

将来性豊かな行政書士になるには、年齢や学歴、国籍等に関係なく誰でも受験することができます。ここでは、行政書士試験の概要をご紹介していきますので、是非ご参考になさってください(※詳細は一般財団法人行政書士試験研究センターのホームページでご確認ください)。

 

【試験日・受験料など】

試験日 毎年11月第2日曜日

試験時間は午後1時から午後4時まで(3時間)

受験料 7,000円(令和3年度試験)
出願期間 例年8月1日から1ヵ月程度

(令和3年)

郵送:7/26~8/27消印有効

インターネット:7/26~8/24午後5時

※最新情報は行政書士研究センターのHPにてご確認ください。

 

【出題科目・出題数】

筆記試験のみ(マークシート+記述)で、口述試験や面接等はありません。各科目の基準点をクリアし、試験全体で60%以上の正答率があれば合格することができます。なお、記述問題は3問程度で、解答は40字程度です。

出題形式 科目 問題数 配点
法令等 5肢択一式 基礎法学 2問 8点
憲法 5問 20点
行政法 19問 76点
民法 9問 36点
商法・会社法 5問 20点
多肢選択式 憲法 1問 8点
行政法 2問 16点
記述式 行政法 1問 20点
民法 2問 40点
一般知識 5肢択一式 政治・経済・社会 8問 32点
情報通信・個人情報保護 3問 12点
文章理解 3問 12点
合計 60問 300点

 

【受験者・合格者・合格率】

近年、合格率はおおよそ10%前後で推移しています。 ただし、試験が難化傾向にあるので万全の対策をおすすめします。

年度 受験者 合格者 合格率
2014 48,869 4,043 8.27%
2015 44,366 5,820 13.12%
2016 41,053 4,084 9.95%
2017 40,449 6,360 15.72%
2018 39,105 4,968 12.70%
2019 39,821 4,571 11.48%
2020 41,681 4,470 10.72%
2021 47,870 5,353 11.18%

 

5 他資格との違い

業務範囲が広いことから混同されることも少なくありません。ここでは隣接資格との違いについて見ていきましょう。

(1) 弁護士との違い

弁護士は、弁護士法第3条1項に基づき法律事務全般(法律相談や交渉、裁判、契約書作成など)に及びます。また、弁護士法により「訴訟に関する代理人」という独占業務が定められていることが大きな特徴です。

行政書士は、書類作成に関する範囲内で相談を受けることは可能ですが、弁護士法に抵触するような「法律相談・法律事件」を受けることはできません。また、当事者間の紛争性のある案件に関する業務を行うことはできません。

 

(2) 司法書士との違い

司法書士は、登記または供託に関する手続きについて代理することができます。主な業務内容は登記申請業務(商業登記・不動産登記など)です。登記申請書とともに提出する書類の中に行政書士が作成できるもの(株主総会議事録、定款等)も多数あり、会社設立のケースでは、司法書士と提携して業務を行うことができます。

 

(3) 社会保険労務士との違い

社会保険労務士は、労働保険関係成立の手続きや社会保険の加入手続き、年金関係の事務手続きなどを主に行います。また、行政書士は、社会保険労務士とも提携して業務を行うことができます。例えば、ある企業が建設業許可申請を行う場合、行政書士はクライアントに代わって各都道府県に応じた申請処理を行います。一方の社労士も、社会保険への加入等の証明書作成など労務の観点からさまざまな書類が必要となりますので、ダブルライセンスを取得して企業のサポートを行う方もいらっしゃいます。

6 行政書士資格を活かしてステップアップするには?

さまざまな可能性を秘めている行政書士ですが、行政書士資格を活かしステップアップするにはどうしたら良いのでしょうか?

 

◆ダブルライセンス取得(ex.司法書士・社会保険労務士・宅建士など)

◆専門性に特化した行政書士

◆講師業 など

 

先にも見てきたとおり、業務内容的にも隣接士業との相性は良いので自分の経験分野や興味のある分野を考慮してダブルライセンスを取得すれば、可能性はさらに広がります。

 

また、昨今では専門性に特化した行政書士が増えているようです。「行政書士は食べていけない」などと揶揄されることもありますが、果たしてそうでしょうか。この類の話は何も行政書士に限ったことではありません。例えば、外国人に関する専門的な領域に特化した行政書士や建設業関係の領域に特化した行政書士、交通事故関係に特化した行政書士、企業のコンサルティングに特化した行政書士、予備校などの講師業と兼業している方など大きな活躍を遂げている方はたくさんいらっしゃいます。つまり、行政書士は、やり方次第ではいくらでも可能性がある資格ということは間違いありません。ビジネスセンスを磨き、法改正などにも柔軟に対応できる向学・奉仕の精神がある方でしたら成功することができるでしょう。

 

7 サマリー

行政書士の業務範囲は幅広く、自分の好きな分野を専門領域として特化させることができ、ある意味業務を自由にカスタマイズできる職業でもあります。試験は決して簡単なものではありませんが、比較的取得しやすい試験でもあり、将来性の高い職業といえますのでおすすめの国家資格です。

8 まとめ

  • 行政書士とは、わかりやすくいえば「行政手続きのプロフェッショナル」「書類作成のプロフェッショナル」のこと
  • 行政書士の仕事内容は、官公署に提出する許認可等の作成並びに提出手続代理、遺言書等の権利義務、事実証明及び契約書の作成、行政不服申立て手続き代理等
  • 行政書士資格のメリットとおすすめポイント|士業の中では、比較的取得しやすい万人向けの資格であり独立開業・女性の新たなキャリア形成になる、転職・キャリアアップの強力なバックアップになる
  • 将来性豊かな行政書士になるには、年齢や学歴、国籍等に関係なく誰でも受験することができる(例年11月第2日曜日、筆記試験のみ)
  • 行政書士資格を活かしステップアップするには?|ダブルライセンス取得(ex.司法書士・社会保険労務士・宅建士など)や専門性に特化した行政書士、講師業 などがおすすめ

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