利益衡量~2つの利益をはかりにかける~

利益衡量~2つの利益をはかりにかける~

司法書士試験の科目の1つ、民法はとても重要な分野です。
では、その本質を見ていきましょう。

利益衡量

衡量とは2つのものを量りにかけることです。「衡」とは量りを意味します。
つまり利益衡量とは、2つの利益をはかりにかけて量るということになります。

民法を用いて裁判をする場合、誰がどう考えても善人と悪人がはっきり分かれていれば話は簡単です。裁判もすぐ終わるでしょう。
しかし現実はそう単純では無く、どちらとも善人ととれる場合やどちらも悪人と捉えられる場合、中には、善人が2人と悪人が1人ということもあります。
こういった場合、判決を簡単にすることは出来ません。

また、どの場合においても真理は1つだけでなく、複数存在していることも忘れてはなりません。
法的判断をする際、当事者間の相対する利益を比較することによって、より大きな利益をもたらすことになる結論を導き出さなくてはならないのです。
この作業こそが、利益衡量です。

2人の善人が被害者である事例

たとえば、こういうことがあったとします。

Aさんは高級な時計を持っています。
これはAさんの大学入学祝としてAさんのおじいさんがくれたものであり、同時に、今はもう亡くなってしまったおじいさんの形見でもあります。
時計はAさんの宝物ですが、ある時、Aさんは友人のBさんに「パーティに出るからその時計を1日だけ貸してほしい」と頼まれます。
Bさんがどうしても、と言ったのでAさんは時計を貸すことにしました。

しかし、Bさんはその時計を友人のCさんに売ってしまいました。
実はBさんはサラ金にした借金に困っていて、時計の代金を返済にあてていたのです。
その上かなり困窮していたようで、今は無一文です。

一方、Cさんは恋人へのプレゼントとして時計を買いました。
良い時計がないかずっと探していたので、Bさんの申出は渡りに船だったのです。

さて、この場合、Aさんは親切心でBさんに時計を貸しただけですし、Cさんもそれが誰の物かなど知らずに時計を買っただけです。

悪人はBさん1人で、AさんとCさんは善人というわけです。
裁判で問題になるのは、この善人二人の利益衡量をどうするか、ということになります。

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