悪意の第三者が勝てる理由~裁判官の意図~

悪意の第三者が勝てる理由~裁判官の意図~

司法書士試験に出題される民法では、物権について定めています。

所有権を主張するために必要なのは登記でしたから、前ページまでの事例において、Cさんが悪意であろうがなかろうが、Bさんが登記をしていない・Cさんが登記をしているという時点で、所有権はCさんにあることになります。
177条では登記による保護の対象を「第三者」としかしていないため、登記さえあれば善意でも悪意でも良いということなのです。

悪意の第三者は何故勝つのか

しかし、ここで疑問に思うのが「あまりにもBさんがかわいそうなのではないか」ということではないでしょうか。
Cさんが善意であったならまだしも、Bさんが住んでいることを知っていたくせに、後からやってきたCさんが「出ていけ」というのは何だかおかしいような気もします。

悪意のCさんが勝てる理由の1つは、資本主義社会の自由競争を守るためというものです。
資本主義では1つの物を2人で取り合う、競争相手がいるというのはごく普通のことなので、その相手の存在を知っていることが権利を取得出来ない理由にはならないということです。

もう1つの理由は、「その人が悪意なのかどうかは裁判官でもわからない」からです。
裁判に持ち込まれた以上、Cさんだって本心はどうであれ、一応は善意を装おうとするでしょう。
はっきりとした根拠が無い場合、その本心を見抜くことはとても困難ですし、また大変な作業となってしまいます。

また、一度でも「悪意の負け」という前例を出してしまうと、登記の無いことによって諦めさせられた事件、善意・悪意が微妙なせいでうやむやにされていた事件が、裁判所に大量に持ち込まれる可能性があります。
訴訟の増加は世の中の乱れに繋がるため、歓迎すべき出来事ではありません。

裁判官は、ルールの運用を厳格にすることにより、そのルールが世間に浸透して争いが減って世の中全体が平和になることを望んでいます。
それに基づいた判断であるため、悪意のCさんが勝つことになるのです。

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