司法書士の試験科目より 危険負担の問題~双務契約の両者に帰責事由が無いとき~

司法書士の試験科目より 危険負担の問題~双務契約の両者に帰責事由が無いとき~

司法書士試験に出題される民法では、債権について定められています。

債権に関わる事項として、「危険負担」というものがあります。
簡潔に言うと、言葉通り『危険を負担する』という意味ですが、問題になるのは誰が、つまり契約関係にある債権者と債務者のどちらが危険を負うのかということです。

危険負担の問題

Aさんは、Bさんに自分の持っている家を売る契約をしました。
しかしAさんがBさんへ家を引き渡すよりも前、家は地震によって倒壊してしまいます。
もはや住むことも不可能になってしまいましたが、この場合、AさんはBさんから売買代金をもらうことができるのでしょうか。

言うまでもなく地震は自然災害、2人に予測のつくものではありませんから、売買の当事者いずれにも帰責事由はありません。
また、売買契約よりも前に建物が倒壊していたのなら契約は無効となるのですが、このケースでは契約当初に「無償の建物」だったものが売主の「過失なく」滅失・損傷しているため、契約上の責任をどちらかに求めることはできないのです。
契約当初から建物に欠陥があれば、契約の「原始的一部不能」の問題となり、売主の無過失責任から瑕疵担保責任の問題とできるのですが、地震による倒壊は契約当初の欠陥ではないので当てはまりません。

危険負担は、「双務契約における契約締結後の債務者の責めに帰する事由のない履行不能」を指します。
債務者の帰責事由がなく、債権者に帰責事由がある(債権者の故意や過失で目的物が滅失・損傷)という場合もこの定義に当てはまるため、一応は危険負担の領域にあると言えるのですが、民法536条2項よりこの時は債権者に責任を取ってもらうことが当然とされています。

引渡し前に建物が倒壊したため、BさんがAさんに持っていた「建物の引渡し請求権」は消滅してしまいました。
引き渡す家がなくなった以上、その目的物をいくら請求しても仕方ありません。
しかしAさんがBさんに持っている代金請求権が履行されるとなると、Bさんは大損することになってしまいます。

このとき、契約はどうなるのでしょうか。

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