取引の安全~売買の信頼を守るために~

取引の安全~売買の信頼を守るために~

司法書士試験で最も重要な出題科目の1つ、民法では「利益衡量」という本質に基づき、2つの利益を比べてより大きな利益をもたらす手法がとられます。

取引の安全

CさんがAさんに出来る主張として、「資本主義の世の中では、買ったものが自分の所有物にならないなんてことはおかしい。それが守られなければ安心して売買することが出来ないから、Aさんがその仕組みを破って売買の信頼性を低めることは許されない」ということがあります。

この、「安心して売買」することを「取引の安全」といい、資本主義社会にとっては重要な前提です。
取引の安全とは、取引をする人の利益を図る法理で、表面上の嘘に騙されて取引をしてしまった者を保護する考え方でもあります。
Cさんはこの場合、時計を売ってくれる、つまりお金を払えば時計がCさんのものになるというBさんを信頼したことになりますが、その信頼は守られなければなりません。

時計がAさんに戻ったとすると、Cさんは買ったものなのに手に入らないということになります。
これではCさんの信頼は守られず、今後Cさんは安心して売買を出来なくなってしまうかもしれません。
そうならないよう、取引の安全の法理から主張し、資本主義社会の前提にのっとった行動をAさんに求めることが可能になるのです。

しかしこれでは、帰責事由・取引の安全という2点から主張されたAさんが負けてしまう可能性が高くなってしまいます。
Aさんだって善人ですから、その利益をはかりにかけなくてはいけません。

Aさんの利益を主張するという点で重要となるのは、A・B・Cさんがどのような関係であるかということです。
この時、AさんとCさんに全く面識もなく互いのことを何一つとして知らなかった、というような状況だとAさんが勝つことは難しいでしょう。
しかし、3人が友人関係、知人関係で、特にお互いを取り巻く事情を把握している程度の関係にあった場合には、Aさんが主張出来る事項が発生するのです。

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